米国の景気拡大期間が過去最長になりそう
2009年7月に始まった米国の景気拡大期間ですが、いよいよ過去最長が見えてきました。2019年7月まで続けば、まさに「景気拡大10周年」というわけです。
※図表は時事通信社の記事から
今までの最長記録は、1991年4月から2001年3月までの120か月、10年間でした。その後のITバブル崩壊は大きなインパクトがありました。リセッションの直撃を受けたNasdaq総合指数は15年間新高値を更新することが無かったほどです。
米国のイノベーションを支え、経済をけん引してきたGAFAを始めとするIT企業をもってしてもそれだけ時間がかかったというのは記憶しておきたいところです。
ちなみに、2001年11月から2007年12月までの景気拡大期間は金融が景気を先導していました。その後の金融危機、リーマンショックは世界金融の枠組みにも影響を及ぼす大きな出来事でした。
覚えておいてよいのは、いずれも景気拡大の中心になったセクターが、その後大きくダメージを受けたということです。いうまでもなく、今の景気拡大はIT・ハイテクが主導しています。もしリセッションになれば、どのような影響を及ぼすのかは注目したいところですね。
さて、こうした市場環境の中、どのように投資活動を行えばよいのかということでご質問を頂いています。
米国株にコツコツ投資をしてきたが・・・
はじめまして。55才の男性です。45才までは病院勤務の医師でしたが、過労と上司からのパワハラでメンタルを崩して退職を余儀なくされ、以後医師免許を生かしたアルバイトで生計を立てております。
現在も体調はすぐれません。病院勤務からアルバイトになったことで年収は約半分に減りました。現在パートにでている妻と、大学生の子が二人おります。貯金は700万ほどですが、これは大学生の子らの学費に消えて行く見込みです。
これではいけない、と遅まきながら老後に備える意味で昨年から投資を始めました。無駄な生命保険を解約するなどしてかき集めた資金で米国の個別銘柄の高配当株を12銘柄ほど買い付け、500万ぐらいになりました。
投資を始めた時は、配当金生活を目指しておりましたが、いろいろと見聞を広めるうちに、個別銘柄オンリーのポートフォリオではリスクが高いのではないかと心配になり、これからは、インデックスファンドやETFを主軸とした運用へ舵を切ろうと思っております。
ここからが質問の本題ですが、現在毎月、イデコ(開始した時期が遅かったので元本保証型にしました)で68000円、積み立てNISA(S&P500など)で33000円、課税口座でインデックスファンド(S&P500など)で25000円、合計126000円を積み立てておりますが、イデコとNISAは続けるとして、課税口座の方は、より信託報酬の安いVTIやVOOにしていった方がよいのかどうか迷っております。
ちなみに妻は投資アレルギーで銀行預金以外は信じていません。たぱぞう様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
米国景気拡大期間がさらに続くと思うか、それともそろそろ終わりとみるか
結論から申し上げますと、VTIやVOOのほうが良いです。誰でも腹落ちするからです。高配当株は、悪くは無いですがそれでも指数よりはリスク、つまり上下動が大きいです。例えばタバコ株などは収益が比較的安定していて読みやすいですが、それでも5年でかなりの上下動がありましたね。比較チャートがありますので、下図ご覧ください。
納得したうえで、確実に配当を取りに行く、配当金拡大投資術を採用するというならば良いでしょう。要は、腹落ちなのです。
米国景気拡大期間がさらに続くと思うか、それともそろそろ終わりとみるかによっても結論は変わるかもしれませんね。しかし、過去の統計というのはあくまで過去に過ぎず、未来をぴたりと当てるものではありません。
米国株は決算期を迎えようとしていますが、注目された非農業部門雇用者数は前月比19万6000人増となり、市場予想を超えてきました。前回悪かっただけに、よい材料でしたね。また、トランプ大統領のFRBへの口先介入も続いており、さらなる利上げというのはやりにくい展開になっています。
また、4月の決算ラッシュを目前に控えており、S&P500が再び高値を超えるかどうかも注目されている状況です。
このような状況下で、個別の決算を読みつつ個別株投資をしていくというのはそれなりのリスクと相場観が求められるということですね。やはり安心・安定を望むならば、誰でも腹落ちさせやすいETFが一番ですよ。VTIやVOOというのはその代表格と言ってよいでしょう。
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配当を求めるならばVYMという手もありますね。着実な分配金成長、取引値成長が確認できた10年でした。
鉄板ETFと言ってよいVTIですね。米国市場そのものに投資をするということです。
期待リターンをどう見積もるかということですね。