高止まりするペーパーアセットの本質的な上げの理由
日米ともにペーパーアセット、特に株は高値圏にあります。米国株は再び高値チャレンジをしており、その動向に注目が集まります。偶然か必然か、4月の決算ラッシュの前にこのようなポジションにあるということですね。
ほんの4か月前の2018年末には大きな調整がありました。2018年は久しぶりにS&P500が年率でマイナスだったことを考えると、その影響は大きかったと言ってよいでしょう。
ちなみに、前回マイナスだったのは、2015年チャイナショックのころで、-0.73%でした。2018年は-6%超でしたから、やはりそれなりのインパクトがありましたね。
そのため、2018年末はS&P500のPE/レシオは久しぶりに17台まで下がりました。2016年以後20から25近辺で落ち着いていた昨今からすると、久しぶりに訪れた買い場でした。
その後、トランプ大統領のFF金利への口先介入や悪化の兆しが見られない経済統計などで相場は持ち直しました。アップルの中国におけるiPhone減産が1つの調整のクライマックスだったわけです。
目先のチャートを見ても分かるように、ほとんど上値のレジスタンスにタッチしようかというところです。次の節目である2930ポイントを抜けるかどうかというのは非常に注目されるところです。
ただし、抜けたから青天井かというとそういうわけではないでしょう。やはりそれには企業決算や経済統計資料などの裏付けがしっかりと付いてこないと継続した上昇にはなりません。
米国はまだしも、日本・ヨーロッパなどは低金利による金融緩和での経済押上げをし続けており、先進国における経済緩和というものが従来よりもより甘い条件での株価上昇を招いています。米国においても、2%半ばですでに利上げができなくなってきていますから、かつてと比べるとやはり成長は限りが見えてきているのです。
つまり、先進諸国は経済発展を支えるために、無理くり金融緩和で支えている状態が続いているということです。これは言うまでもなく、将来的には何らかのバブルを醸成するものですから、私たちは常に自分のポジションを心地よい水準に置いておく必要があります。
少なくとも短期的には「米国株は右肩上がり、いつ買っても安心!」という水準ではなくなりつつあることは知っておいて良いでしょう。
そういう意味では、以下の2つはやはり鉄板なのです。
- 時間の分散
- 対象の分散
一気に買わず、ETFや投資信託をコツコツ積み上げていくというのが「誰もができる投資術」ということになるわけです。チャートの過熱感や、経済指標を気にせず、毎月のように淡々と買い進められる。それがシンプルであり、正解です。
さて、今日のご質問を紹介します。
つみたてNISAを買うにあたって、何を押さえておいたらよいでしょうか。
たぱぞう様
いつも拝見しております。25歳のサラリーマンです。
年収550万円ほどになります。金融知識など全くなく、現在、とりあえずウェルスナビにて毎月3万円積立しております。物欲もないのですが、独身でもう少し余裕があるので、お金を貯金して眠らせておくのももったいないかなと思いまして、楽天証券において、つみたてNisaを始めようと思っています。
年間40万円?まで使えるそうなのですが、いろいろと調べてみて「楽天・全米株式インデックス・ファンド」「eMAXIS Slim 米国株式【S&P500】」「楽天・全世界株式インデックス・ファンド【楽天VT】」などがおすすめとのことで、「なるほど、そうなんだ」という感じでおります。
なんか周りの人がみんなやってるし、私も始めなきゃと思ったのですが、銘柄選びなんてよくわからないというのが現実です。臆病な小心者でもこれさえ買っとけば、まあ良いんじゃないか、という銘柄をご紹介願えませんでしょうか。
またこういうのは、毎月積み立て、あるいは、毎日積み立て、どちらが良いのでしょうか? 毎日だと、いろいろと煩雑でしょうか。もし、お時間等ありましたら、ご教示いただけますと幸いです。
ギョームさん
どのような状況でも淡々と積み立て投資をし続けることに価値がある
ギョームさん、ご質問ありがとうございます。
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- eMAXIS Slim 米国株式【S&P500】
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド【楽天VT】
つみたてNISAは、年間の積立額が40万円と小さいですね。そのため、以下の内容で私はお勧めしています。
- 米国株式100%
- あわよくば楽天証券と楽天カードでポイントを付ける
米国株式100%というのは、日本のインデックス投資においてはマイナーです。普通は全世界投資を志向します。しかし、私の場合は日本を含む先進国の成長性に悲観的であり、新興国の株式市場においても楽観していません。
そのため、シンプルに米国株式一本としています。考え方としては、僭越ながらバークシャーのバフェット氏やバンガード創始者のボーグル氏に近いです。つまり、米国市場が最も効率的であり、株式指数を上昇させるための環境が整っているという理解です。
GDP成長率などの経済指数では米国を上回る国が多くあるのは事実です。しかし、株式を上昇させるということにおいて合理的なのは米国企業であり、米国株指数であるということですね。
ただ、これは千差万別ですから、ご自分で腹落ちすることが最も大事です。
楽天証券と楽天カードのコラボは地味ですが確定利益になります。
楽天証券と楽天カードでポイントを付けるというのは、細かいですがおススメです。楽天証券では投資信託の買い付けを楽天カードで行うと、クレジットのポイントが付きます。月々5万円までという縛りはありますが、画期的なサービスです。
つまり、つみたてNISAならば月に3.33万円ですから満額ポイントを付けられます。
買い付け手数料がかかる投資信託はありましたが、買うだけでキャッシュバックのような形でポイントが付くのは初めてですね。これは、買った瞬間に確定利益になります。年率1%のパフォーマンスが約束されるということで、利用しない手はありません。
関連記事です。
より詳しくポイントや楽天証券について書いた記事はこちらです。これが普通になり、マイルなど付き始めると、「つみたてNISA戦国時代」となります。
投資信託を選ぶ際には、何か柱を自分で決めると良いですよ、というお話です。最初に述べたように、市場動向によって右往左往すると高いときに買い、安いときに売るということになりかねません。
たぱぞうは一貫して分割投資を勧めています。わざわざ過去最高値水準でドカンと買う必要は無いという考えです。精神衛生上の問題が大きいですね。