資産を増やす投資と、圧縮する投資
資産を増やすのは簡単です。情報が多く、手法も選び放題です。
一方で相続など資産を圧縮する投資は簡単ではありません。情報の非対称性が大きいことと、チームとして機能する人脈が必要になるからです。
すでに私もどこまでも資産を増やしていくというフェーズから、どのように圧縮していくかというフェーズに移行しつつあるのかもしれません。年齢としては50歳を境とするのでしょうか。

これは私の周囲を見回してもそうで、ある程度の年齢になると意識してくるところです。これは、厳しい税制をもつ、日本独特のものかもしれませんね。
さて、今回は相続を見据えた賃貸併用住宅ということでご質問を頂戴しています。
資産圧縮を目的とした賃貸併用住宅に興味あり
たぱぞうさま
いつも有益な情報配信をありがとうございます。たぱぞうさまの投資に関する考え方はいつも示唆に富んでおり、参考とさせていただいています。
今回ご相談したいのは、夫の実家の建替え計画(賃貸併用住宅)についてです。不動産投資としてはとても踏み切れる内容ではないという印象を持ったのですが、一方で「土地を守る、一族の結束を守る」といった数値にできない部分では、共感する面もあります。
不合理な選択をする余地が私たち夫婦にあるか、ご判断いただけますでしょうか。
我が家の状況(夫婦とも40代後半)
【家族】
夫、妻(私)40代後半
夫:会社員年収800万、配当金120万 10年後退職金1500万?
妻(私):パート年収100万 配当金40万(金融業界で約20年勤務し、数年前退職)
こども2人 私立大学生と私立中学生(学費は用意済で、資産に計上していません)
【資産】
・夫婦共有名義マンション(都心から1時間以内の某県)
現価格推定 5000万円(ローン無し)
・夫金融資産 8500万(内訳:預貯金2500万、日本株4000万、米投資信託1500万、払い済み保険500万)
・妻金融資産 6000万(内訳:預貯金3000万、日本株1800万、米投資信託500万、ゴールド200万、払い済み保険500万)
自宅は双方の親から援助があり購入、且つ20年近い共稼ぎ生活でハイペースで投資していたこと、夫婦とも教育費以外は節約思考なことが奏功し、ここまで資産を増やしました(夫の日本株の大半は贈与です)。
本題の夫の実家ですが、現在80歳近い夫婦(今のところ健康)が築70年近い古家にて生活しており、できれば同じ場所にできるだけ長く住みたいという意向と相続税対策から、賃貸併用住宅での建替えを計画しています。
土地は高級住宅街、市場価格3~4億円で、両親の金融資産と合わせて算出してもらった推定相続税は7千万円(すでに土地の名義の半分は夫のため、安くなっています)でした。
ハウスメーカー3社に見積もりをお願いし、一番惹かれたのは設計力、デザイン、金利(そのメーカーは住宅金融支援機構で35年固定2%未満で借りられるとのこと)面でS社でした。
ただ、家賃設定も高ければ建築費も相当高額(値引き交渉前)で、自宅部分を除いた賃貸部分の表面利回り6%、実質利回り(キャッシュフロー)は1%未満です。
ならば土地を分筆し半分駐車場、残りの土地に平屋でも建てればいい、とも思いますが、それでは相続税対策になりません。
ハウスメーカーの賃貸部屋は分譲マンション並みに立派なプランで、同じ広さを近所で買おうとしたら築10年でも倍の値段です。
それなら、私たち夫婦にもお金はあるし、将来オーナー部屋に私たち夫婦が移り住み(土地の相続人は夫)、金利2%未満の今のうちに家を子どもに用意したと思えば、インフレ対策、相続税対策にもなるし、私たちも老年期に子どもの近くに住める可能性が高くなるし、価値がある選択なのでは?と考えてしまいます。
たぱぞうさまのご意見をぜひ、お伺いしたいです。
賃貸併用住宅に長けた工務店と組み、資産圧縮を図る
ご相談ありがとうございます。内容を拝見し、かなり丁寧に検討されていることが伝わってきました。
今回のテーマは、不動産投資としての合理性と、家族資産としての意味合いが重なるご相談ですね。順を追って整理していきましょう。
まず最初に確認しておきたいのは、ご夫婦全体の資産状況です。すでに文面の中で丁寧に書いていただいていますね。
共有名義のご自宅マンションは、推定で約5,000万円とのことです。ローンは完済されています。
ご主人の金融資産が約8,500万円。
奥さまの金融資産が約6,000万円。
現時点で、合計すると約1億9,500万円になります。これに将来の退職金が加わる可能性もあります。教育費はすでに確保されており、住居費の負担もありません。生活スタイルも堅実とのことです。
こうして見ると、ご夫婦の老後や生活そのものについては、数字の上ではかなり余裕がある状態だと感じます。この点は、今回の判断において大切な前提になります。
次に、ご主人のご実家について考えます。土地は高級住宅街にあり、市場価格は3〜4億円程度。すでに名義の半分はご主人に移っており、相続税の試算は約7,000万円とのことです。
金額としては大きいものの、ある程度の対策は進んでいる印象です。一方で、土地をどう活かすかについては、まだ選択の余地がある段階だと思います。
ここで視点を分けて考えます。不動産投資として見た場合と、家族資産として見た場合です。まず、不動産投資として見た場合です。賃貸併用住宅で、表面利回りが約6%。
実質のキャッシュフローは1%未満。
率直に言えば、投資としてはやや厳しい数字です。空室や修繕、将来の家賃下落を考えると、利回りの余裕はあまりありません。純粋にインカムで評価する投資案件として判断するのであれば、慎重になる水準だと思います。
ただ、売却を目線に入れるとガラリと変わるでしょう。大きなキャピタルを生む可能性があります。利回り6%はエリアによっては高いですし、なおかつ相続を視野に入れるとインカムなどは殆ど意味をなさないぐらいのインパクトになる可能性もあります。おそらく、そのような土地であると推察されます。
今回の計画は、投資だけを目的にしたものではありません。親御さんが住み慣れた土地で、できるだけ長く暮らしたいという希望。土地を手放さずに次世代につなぎたいという考え。相続を円滑に進めたいという意図。
これらを加味すると、取り組まれたほうが良い物件となります。
ただし、ここで重要になるのが建築コストです。ハウスメーカーの提案は、安心感や設計力の面で魅力がある一方、どうしても価格が高くなりがちです。賃貸併用住宅では、軽量鉄骨でもRC並みの見積もりになるケースは珍しくありません。
今回の利回りが伸びない最大の要因も、そこにあります。また、相続の税制ルールに知悉しているかも大きなポイントとなります。
そのため、進め方としては、少し選択肢を広げてみてもよいでしょう。建て方や依頼先は様々あります。
数字と気持ちの両方を整理した上で、納得して決められる形に近づけていく。それができる状況に、今のご夫婦はおられると思います。
目指していく方向性は間違いありませんから、あとは価格面での折り合い、ご主人の思い、ご両親の思い、その調整ですね。
小規模宅地等の特例であとは用途をどのようにするかなどですね。私の友人知人たちもよく活用しています。あとはメールした通り突っ込んだ相談はクローズドということになりますね。
共に頑張りましょう。
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