たぱぞうの米国株投資

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55歳での早期退職と、不動産から高配当株への資産シフト

続々と早期退職を選んでいる

 様々な立場の人が続々と早期退職を選んでいます。2010年以後は全てのアセットの調子がよく、資産形成に大きく寄与してきました。その果実を受け取る時期に来ているということです。

 

 今回も、50代前半の方からの早期退職のご質問です。

55歳での早期退職と、不動産から高配当株への資産シフト

たぱぞう様

いつもブログで勉強させていただいております。
現在52歳の会社員です。

55歳での早期退職(FIRE)を検討しており、現在の資産構成をどのように整理すべきか、アドバイスをいただけますと幸いです。

【家族構成】

  • 夫(私):52歳(会社員・年収約1,100万円)
  • 妻:45歳(公務員・年収850万円・60歳定年まで勤務予定)
  • 子ども:2人(9歳、5歳)

【資産状況】

■ 金融資産

  • 預貯金・株式:約6,000万円(夫婦合算)
  • 企業型確定拠出年金(401k):1,300万円(新興国・国内インデックス)
  • ジュニアNISA:500万円(オルカン)

■ 不動産(自宅)

  • 都内マンション:時価 約9,000万円
  • 残債:計3,700万円(私800万円、妻2,900万円)

■ 投資用不動産(都内・横浜のワンルーム6軒)

  • 時価合計:約1.1億円
  • 残債合計:約5,400万円
  • 2016年〜2021年にかけて取得。現在、数千万円単位の含み益があります。

【退職金等の見込み】

  • 私:約1,500万円
  • 妻:約2,200万円(15年後)

【相談内容】

 55歳で退職後、公務員である妻の扶養に入り、社会保険料を抑えながら「月15万円程度」の自由なお金を手に入れたいと考えています。

55歳での早期退職と、不動産から高配当株への資産シフト

55歳での早期退職と、不動産から高配当株への資産シフト

 現在は投資用不動産を6軒保有していますが、扶養に入るための所得制限(年収130万円以内)を考慮し、退職までに3〜5軒を売却する方針です。

 

 その上で、住宅ローン(私分800万円)を完済し、残った現金を「新NISA」や「高配当株・ETF」へシフトさせる計画です。

 

 具体的には、以下の点についてご意見をいただければ幸いです。

  • 資産配分について
    不動産を1〜2軒(築浅の物件など)のみ残し、それ以外を売却して高配当株へシフトする戦略は、妥当でしょうか。
  • 401kの運用について
    現在、新興国と国内インデックスが中心ですが、出口(60歳)に向けてスイッチングすべきでしょうか。
  • リタイアの可否について
    教育費(1人2,000万円)を確保した上で、この資産背景で55歳リタイアに踏み切る際、見落としているリスク等があればご指摘いただきたいです。

資産の「守り」と「出口」の作り方について、ご教示いただければ幸いです。

資産の「守り」と「出口」の考え方

 55歳での早期退職と、不動産から高配当株への資産シフトについて、ということですね。全体像を見る限り、現実的なプランだと感じます。

 

 まず、不動産の売却についてです。2016年から2021年にかけて取得した投資用不動産に、すでに数千万円単位の含み益が出ているのは、素晴らしいです。時期も大きく味方しています。

 

 不動産投資は、購入時点では誰でも前向きになれますが、売却となると判断を先送りしがちです。含み益が出ているにもかかわらず、売れずに時間だけが経過するケースは少なくありません。持って良し売って良しの状態だからです。半面、時価評価はあくまで時価であり、実際の成約価格はブレるものです。

 

 そう考えると、ライフステージの変化をきっかけに、早めに利確を検討する姿勢は健全です。

 

 特に、55歳で退職し、配偶者の扶養に入ることを前提とするなら、不動産収入はやや扱いづらい資産になります。不動産は現金収入がある一方で、帳簿上の所得を細かくコントロールするのが手間です。管理や修繕といった実務も、退職後も続いていきます。

 

 その点、株式やETFといったペーパーアセットは、配当額や売却益を調整しやすく、精神的な負担も軽いですね。現在の市況を考えると、実物不動産、とりわけワンルームよりも、ペーパーアセットの方がリスクに見合った利回りを得やすい局面とも言えます。所得圧縮などを狙うケースは別です。しかし、退職されますから、償却メリットも薄いでしょう。

 

 また、横浜エリアのワンルームについては、冷静な見直しが必要でしょう。決して悪い立地ではありませんが、供給が多く、築年数の経過とともに競争力が落ちやすいのも事実です。

 

 家賃の下落耐性や、将来の売却時の流動性を考えると、都心部の物件と同列には語れません。であれば、条件の良い都内物件を1〜2軒だけ残し、それ以外は淡々と売却するという判断は、極めて合理的です。

 

 次に、401kの運用についてです。現在、新興国と国内インデックスが中心とのことですが、出口が近づいてきた段階では、見直しを検討してよい時期に入っています。

 

 新興国は成長余地がある反面、値動きが大きく、政治や通貨といったコントロール不能な要素に左右されやすいです。平たく言えば、中長期での安定性とリターンの蓋然性は高くありません。

 

 60歳という出口を意識するなら、すべてを維持する必要はありません。一部を米国株などへスイッチングすることで、リスクを抑える選択肢は妥当であり、現実的です。

 

 国内株式についても、円安環境が続く中で再評価される余地があります。日本株は成長しないというイメージが先行しがちですが、為替の影響を含めて見れば、必ずしも割高とは言えません。地政学的な地位も変化しています。いわば、巻き戻しフェーズを狙う形です。

 

 とはいえ長期で積み上げてきた401kであれば、一気に動かす必要はなく、時間を分散しながら徐々に調整していくのが現実的です。

 

 最後に、55歳でのリタイアが可能かどうかという点です。ここで最も重要なのは、資産総額に加えて、年間支出を正確に把握することです。

 

 都内居住は、住居費、教育費、生活費のいずれも高くなりやすいです。教育費についても、想定どおりに進むとは限りません。

 

 この支出水準を把握しないままリタイアを判断すると、資産が十分にあっても不安は消えません。CSVなどを使えば、現在の年間収支は比較的簡単に可視化できますから、一度きちんと整理されると良いでしょう。

 

 奥様が公務員として勤務を継続される点は、非常に大きな安心材料です。世の中を見渡せば、全員が共働きを続けられるわけではありません。一馬力で家計を支えている家庭も多いのが現実です。

 

 その意味で、どちらかが先にリタイアすることを、過度にリスクと捉える必要はないでしょう。月15万円程度の自由資金を確保するという目標も、現実的な水準です。高配当株やETFに加え、一部の不動産収入を組み合わせれば、十分に射程圏内にあります。

 

 これから意識すべきなのは、資産をがむしゃらに増やすことではありません。どう守るか。どう使うか。そしてどう終わらせるかですね。

 

 資産形成のフェーズはいずれ必ず終わります。次は出口のフェーズともいえるでしょう。迷って出した結論に間違いはありません。

 

 共に頑張りましょう。