借金には生活の質を高める良い借金と悪化させる悪い借金がある
多くの人にとって借金は嫌なものですね。
- 奨学金
- 家のローン
- クルマのローン
- クレジットのキャッシング、リボ
- 消費者金融
個人でも上記のお世話になった人は少なくないのではないでしょうか。金利が1%に満たないようなものから、リボ払いのように年率15%にもなるものもあります。
借金にも質があります。奨学金や家のローンは比較的低利で借りられ、生活の質を高める可能性のあるものです。逆にリボや消費者金融は他で借りることが難しい人向け、金利を犠牲にして借金する面があります。これらは問答無用、早く返したほうがいいですね。
リボや消費者金融を頻回に使わないと生活が成り立たないならばどうでしょうか。どこかその生活は破綻している、あるいは破綻する蓋然性は低くないと言えるかもしれません。
一方で多くの人が迷うのが、奨学金や家のローンの繰り上げ返済ではないでしょうか。理由は、金利が低く、借り手に有利な条件となっているからです。さて、今回は年利0.03%の奨学金の返済に関してのご質問を紹介します。
奨学金返済、良い借金であると思うが返済で悩む
たぱぞう様
初めまして。
いつもブログ記事での考察や分析参考にさせていただいています。奨学金の金利見直しにあたり投資をはじめようかと思い、ご意見伺いたく質問させていただきます。
もしお時間ありましたら、回答いただけますと幸甚です。現在30歳、子供なしの共働き夫婦の夫です。
日本奨学生支援機構から第二種奨学金を借りており返済中で、残額が約260万円になります。
今までは奨学金といえど借金なのだから早めに返済しようと積極的に繰上げ返済を行ってきました。
毎月10万円を繰上げ返済用に確保、賞与を加えて年に1度、約150万円を毎年繰り上げ返済に充てていましたが、利息は1000円にもなりません。
これくらいだと、無理に繰り上げ返済をせずに投資に充てても良いのではないか?と思うようになりました。本格的な投資経験はありません。iDecoは勤務先が対応していないため、未加入です。
いま考えているのは、NISAで毎月の積立です。個別株に手を出すよりは長期で資産形成が可能なNISAで増やしていこうかなという次第です。
毎月30000円は元々の奨学金返済額としておき、残りは勉強してから投資に回そうかと思います。
そこで質問です。もしたぱぞう様が同様の状況であるとした場合、どのような投資戦略を取られますでしょうか?
ご多忙と思いますが、ご回答頂けましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
借金の管理、使い分け、リスクバランスが生活の質を高めるという事実
奨学金の現状金利は素晴らしいですね。この十年以上これだけ各アセットが上昇してきた中での、この金利です。そう考えると、実質的に寝かせているだけで借金が目減りしているのではないかと思うほどですね。実際そうです。円での資金調達はそういう側面があります。
私ならば、長期で返済する、つまり繰り上げ返済をしません。月の返済額は最も小さい額にします。借金は悪とみられがちですが、活用次第で生活を豊かにしてくれます。特に低利だとそうです。
ただし、そっくりそのまま投資をするならば、リスクもしっかり知っておきたいですね。例えば、銀行さんに「株式投資をしたいから融資をしてください」といっても貸してくれませんね。これは株式投資は高リスク、つまり不確実性が高いからです。
銀行さんの目線だと株式は資産として見る場合に掛け目があります。つまり、割り引いて評価されます。これは、株式特有の即時的な価値の増減があるからです。やはり高リスク資産というわけです。
事業経営だと借金をすることが多いですね。特に、サラリーマンから法人経営者に転じた人ほどそうです。経営に必要な資本が無いことが多いからです。1億円、5億円、10億円、借り入れが大きくなればなるほどリスク管理が大事になります。
しかし、同時に借入金利と投資先の投資利回りにギャップが生じます。それが例えば3%であれば、1億円借りれば300万円、10億円借りられれば3000万円のフローです。これは正の回転ですね。
逆に、投資をして、ポンコツなものばかり買っていればたちまち経営難になります。負の回転になれば同じだけマイナスになるのです。
現金のみで生活をしていれば、このような振れ幅はありません。どれだけの振れ幅を許容し、どのような借金の活用をするのか。うまくいけば生活の質を高め、失敗すれば残念なことになる。このようなバランスで私たちは生きているのですね。
私の資産管理法人も融資を受けています。借金はセミリタイア後の経営を安定、拡大させてくれている要素の1つです。しかし、予測できないアクシデントがあれば、これもたちまち負担となる可能性もあるのです。不測の事態を迎えたときに屋台骨がぐらつかない自信と根拠があるかどうか、自らに問うておきたいですね。
個人はそれぞれの家計を、法人はそれぞれの経営を、バランスに配慮しながら営んでいくことになります。やはりここでも個々のリスク許容度というわけですね。ご質問ありがとうございました。
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資金調達は投資の永遠の課題ですね。
ETFと投資信託の毎月分配は性質が全く異なります。
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