米国株、注目の5G銘柄と今後
ネットワークは4Gから5G【第5世代移動通信システム】ということで、関連銘柄も盛り上がりを見せています。特に、2018年末に底打ちしてからの反発は著しく、目先のイノベーションとして確実性の高さが再認識された形となっています。
- 高速大容量
- 多接続
- 低遅延
これらがキーワードになっています。5Gが始まれば、ハードディスクなどにデータを格納するという必要がほとんどなくなり、クラウド化が常識となります。今でもテキストやドキュメントはそうですが、精密な映像でさえもそうなりますね。
Apple【APPL】とクアルコム【QCOM】の知的財産紛争はこの5G対応の動きが影響していました。クアルコムの特許使用料及び半導体が高いので、アップルとしては使いたくなかったわけですね。クアルコムはCDMAなどネット回りの特許を多く持っており、世界標準を作り出す側の企業と言ってよいでしょう。
代替半導体メーカーとしてインテルやファーウェイなどがあがっていました。しかし、インテルは開発を断念、ファーウェイは政治的に難しいということで、和解せざるを得なくなったというのが真相です。
このように熱い5G関連銘柄の流れにあって、最大の勝者はどこになるのでしょうか。候補としては、以下のような業種が恩恵を受けると見ています。
5Gに関連する米国株セクター
- 半導体
- 通信キャリア
- 測定器
- 光ファイバーケーブル
- プリンティング
- 動画コンテンツ
こういったセクターが本命になってきます。
中でも半導体は注目されています。大容量で、遅延の少ない通信である5Gは技術的に大変高度です。そのため、現在の4G関連で強みを持つ企業でさえも技術的なハードルは低くなく、インテルの開発撤退というのは1つの裏付けと言ってよいでしょう。
インテルはもともとはパソコンやデータセンターでのチップ開発に定評がある企業ですから、専門外といえばそうなのです。むしろそちらにリソースを割いたほうが強みを発揮しやすいでしょう。
Appleは自社開発もあきらめていませんが、投じるコストの大きさとかかる時間の長さを考えると、それまでの間のつなぎとして他社製品の採用というのは避けられないところです。
5G関連銘柄と評価、本命銘柄はどれか。
それでは、セクターを踏まえた上で、どのような銘柄群があるのか見てみましょう。並びはティッカーのアルファベット順です。
ティッカー | 社名 | テーマ | 評価 |
---|---|---|---|
ADI | アナログ・デバイセズ | 半導体 | ◎ |
ANSS | アンシス | ソフトウェア | 〇 |
ATUS | アルティスUSA | ケーブル | △ |
AVGO | ブロードコム | 半導体 | 〇 |
CDNS | ケイデンス・デザイン・システムズ | ソフトウェア | ◎ |
CSCO | シスコシステムズ | 通信機器 | 〇 |
COMM | コムスコープ | 光ファイバー | △ |
JNPR | ジュニパーネットワークス | 情報通信全般 | △ |
KEYS | キーサイドテクノロジー | 計測器 | 〇 |
OLED | ユニバーサル・ディスプレイ | 有機EL | 〇 |
PANW | パロアルトネットワークス | セキュリティ | 〇 |
PWR | クアンタ・サービシーズ | 送電設備 | △ |
QCOM | クアルコム | 半導体 | 〇 |
QRVO | コルボ | 半導体 | △ |
SBAC | SBAコミュニケーションズ | 無線通信 | 〇 |
T | AT&T | 通信キャリア | △ |
VIAV | ビアビ | 計測器 | 〇 |
VZ | ベライゾン | 通信キャリア | △ |
XLNX | ザイリンクス | 半導体 | 〇 |
ZBRA | ゼブラ・テクノロジーズ | 印刷機 | 〇 |
多くの人にとってなじみがあるのはAT&Tやベライゾンといった通信キャリアでしょう。しかし、これらのキャリアは5G対応の通信網を整備するために設備投資をせねばならず、先行投資が利益に反映されるには時間がかかりそうです。
また、利益に反映させる過程においては同業他社との価格競争が付いて回るため、寡占業界ではありますが、収益化はまだまだ先になるでしょう。2025年時点でも4Gが主力という見方がありますので、かなり時間がかかるということです。なおかつ、設備投資に見合った資金回収は簡単ではありません。
また、ケーブルや送電設備などのインフラ系の企業も恩恵を受けると思われますが、やはり競争の激しい世界で、特需が生まれたとしても継続的なものにはなりにくいですね。しかし、一応表には入れてあります。
大本命になるのが先ほどから取り上げている半導体セクターということになります。半導体メーカーも得意不得意があり、インテルが5G向けの半導体開発から撤退したのはその象徴的な出来事と言ってよいでしょう。
対応のプリンティングメーカーや測定器メーカーも面白いですが、その中でも特殊性があるのが特に以下の2社かと思っています。近年の売り上げも好調で、各種マージンも悪くありません。今後の業績の変化に注目したいところです。
ただ、全体的に5G関連はテーマ株として買われすぎ傾向にありますから、そこは割り引いて考える必要があることを申し添えておきます。
注目の5G銘柄の1つ、アナログデバイセズ【ADI】
売り上げも利益も非常に伸びています。そのため、株価は常に割高傾向にありますが、どの時点で買っても利益が乗る形になっています。今後も5G関連の本命の1つであることは間違いなく、注目です。
意外に古い企業で、かつてはアンプなどを作っていました。そのため、オーディオ関連にも強みを持ちます。容量デジタルコンバータ、ブロードバンドコーデックを取り扱います。
注目の5G銘柄の1つ、ケイデンス・デザイン・システムズ【CDNS】
こちらはソフトウェア開発で定評があります。内容はやや特殊で、半導体開発用ソフトウェアメーカーとなります。広い意味での半導体関連企業ということですね。EDA、ソフトウェア、ハードウェア、検証IP製品、これらの開発をしています。
この2社に限らずですが、どこも年明けからかなり動意づいていますね。 ケイデンス・デザイン・システムズ【CDNS】で60%、アナログデバイセズ【ADI】で40%の値上がりです。
ここから参入するには勇気がいりますが、チェックしておいて良い銘柄の1つですね。
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いつ買っても良い、そういう安心できるETFや個別株を買っていくことが大事ですね。そうしないと、目先のうねりで右往左往することになります。
米国株ETFはそういう意味ではパッケージで買えるので誰でもできる投資術を具現するものです。
一部では今回の株高局面をQEバブルと表現していますね。特に先進諸国において金融緩和傾向は顕著です。