シノプシス【SNPS】のシンプル銘柄分析
シノプシス【SNPS】はEDA(Electronic Design Automation:電子設計自動化)ツール開発・販売の世界3大大手の1社です。他の2社はケイデンス・デザイン・システムズ【CDNS】、メンター(シーメンス傘下、非上場)です。
EDAは電気系の設計作業の自動化を支援・補助するためのソフトウェア・ハードウェアです。主な顧客は半導体製造企業です。無くなったら困るのにライバルが少ない、ワイドモートな企業です。
1986年、現CEOのAart J. De Geusらによって創業されました。1992年にNASDAQに上場しています。その後米国企業らしくM&Aを積極的に行って事業を拡大してきています。
同社の技術は半導体製造企業のみならず、近年は自動運転、AI,IoTなどのこれから発展が見込まれる分野にも用いられています。
S&P500採用企業です。
シノプシス【SNPS】の株価チャートと配当
S&P500と比較した5年チャートです。水色のS&P500を大きくアウトパフォームしています。負けないどころか、かなり好調です。1株400ドルを超え、分割を期待する水準になってきました。
無配銘柄です。
出典: US版 Yahoo Finance
シノプシス【SNPS】の基礎データ
- 本社: カリフォルニア州サニーベイル
- ティッカー: SNPS
- NASDAQ上場
- 決算期: 10月末
シノプシス【SNPS】の売上高と利益
売上と営業利益は理想的な右肩上がりで推移しています。足下は営業利益率が20%を超えてきました。
高い技術力を必要とするため、他社の新規参入が難しい分野です。シェアを見ても分かるように、シノプシス【SNPS】が提供しているツールは一度使い始めると、容易に他製品にスイッチングできません。よって、今後のバージョンアップ等で価格を引き上げても収益が落ちにくいと考えられます。
今後も安定成長が見込まれると考えています。
シノプシス【SNPS】のEPSとBPS
理想的です。特に近年堅調に推移しています。
シノプシス【SNPS】のキャッシュフロー
2021年以降のCFの成長が著しいです。ソフトウェアツールを作っているため設備投資額が小さいです。潤沢なフリーキャッシュフローはM&Aの資源になります。
シノプシス【SNPS】のAIベースのEDAツール群
2023年3月29日、シノプシス【SNPS】はユーザー会で最先端のデジタル/アナログ半導体の設計/検証/テスト/製造に向けたAIベース設計ソリューション Synopsys.aiを発表しました。
システム・アーキテクチャ開発から設計、製造までの半導体開発のあらゆる段階でAIを活用可能になり、AIが持つ経験値を踏まえて開発期間の大幅な短縮を可能にしたツールです。
既にエヌビディア、TSMC、ルネサス・エレクトロニクスといった企業がSynopsys.aiを使い始めています。ユーザーの1社、日本のルネサス・エレクトロニクスは半導体製品性能の向上と開発コスト削減を実現しつつ、開発期間を数週間単位で短縮しています。
エヌビディアらとの協業するシノプシス【SNPS】
AI用のGPU設計で知られるエヌビディア【NVDA】は2023年3月21日、オンラインで開催したユーザーイベント「GTC(GPU Technology Conference) 2023」で計算リソグラフィ向けのAIライブラリ「cuLitho」を、ASML【ASML】、TSMC【TSM】、シノプシス【SNPS】の3社と共同開発していることを明らかにしました。
リソグラフィは半導体製造の最初のプロセスで、欠かすことができません。エヌビディア【NVDA】創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏はこの工程に関して「物理学の限界ギリギリのところで画像を処理する作業である」と説明しています。
リソグラフィ工程を円滑に実現するための計算リソグラフィは、半導体の設計と製造における最大の演算負荷がかかるもので、そのための設備投資も莫大な金額になります。
「cuLitho」は、エヌビディア【NVDA】の最新GPUとAI技術を活用して計算リソグラフィを40倍以上高速化するものです。挙げた4社が協業して約4年をかけて開発しました。
演算の高速化により、電力使用量も削減可能なため環境負荷を小さくできます。今後の普及が期待できる製品でしょう。
シノプシス【SNPS】の直接的な売り上げに寄与するわけではないかもしれませんが、シノプシス【SNPS】なしで半導体製造ができないことの裏返しでもあると考えます。
半導体は産業のコメと呼ばれます。その産業に深く浸透しているのがシノプシス【SNPS】です。覚えておいていい企業ですね。
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こちらも業績が以前とガラリと変わりましたね。
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コツコツ投資で資産も育てていきたいですね。