憧れのFIRE、憧れの退職が意外と覚悟を要するわけ
FIREを考えたことがある勤め人は少なくないでしょう。もちろん職場ではそのような気配は見せません。頑張っている周りに言いにくい、失礼ですし、言いかたによっては反感を買いかねないからですね。
私の以前いた職場でも、何名か退職、あるいは転職を選んでいます。管理職含めてです。人数は少ないものの、率にするとずばり、4割です。退職して何年か経ちますが、「みんな、それぞれに思うところがあったのだな」という感想です。
在職中に、退職の話、現状の職場の課題などをシェアできれば、もっとより良い職場が作れていたのかもしれませんね。私は割と早めにやめたため、ある意味では嚆矢となったところがあります。
しかし同時に、キャリアを重ねるのとは別の生き方モデルを示せたことは、よかったのではないかという思いもあります。生き方は実はいろいろですからね。
また、悩まずにスパッとやめられる人は見ていると少ないですね。たいてい、何年か逡巡し、えいやっと思い切ってやめるのですね。私たちは学生のころから、何か、あるいはどこかに所属することに慣れています。
所属を失うことによる漠然とした不安は、慣れない無所属生活への不安と換言することもできるでしょう。逆に、そういった不安が全くない人は、退職、FIRE生活に適している可能性があります。
条件を満たしたとしても憧れのFIRE、憧れの退職が意外と難しい決断になるのはそういうことですね。漠然とした不安が頭を離れないのです。さて、長くなりましたが今回は退職、FIREに関してのご質問です。
現実味を帯びる退職、FIREに対しての漠然とした躊躇
たぱぞう様、いつもブログ楽しく拝見しております。
2馬力で働いており入金力も維持していたため、1年前よりも資産は着実に増えております。「r>g」を身にもって感じています。目標としていた1億円も間もなく達成できそうです。
そろそろ資産的には仕事を辞めても大丈夫かな?と思っているのですが、どうしてもお金への欲が捨てきれずに、退職のタイミングを掴めずにいます。具体的には以下の欲が払拭できずにいます。
- 資産形成のスピードが鈍化する。もしくは目減りする事への抵抗感。
- 取り崩しの時期に、果たして本当に取り崩せるのか。→頭では理解できていても、いざ実行できるのか不安
- ふるさと納税やiDeCoの所得控除が使えなくなるのが勿体ない。→年数万円でも勿体ないと思ってしまうケチな性格です
- 単純に、退職を後悔しないか。→社会との繋がりがなくなる事への不安、時間を持て余さないか
子育てしながら、頑張ろうと思えば仕事を続けられなくもない為退職を踏みとどまっている状態です。かといってそんなにお金を増やして何になる?でもお金はあればあるだけ良いと思っている自分もいます。(資産額が心の余裕に繋がっているのは確かです。)
副業はしておらず、趣味で株式売買を少しする程度です。
幸せな悩みだとは思うのですが、たぱぞう様が退職へ踏み切った経緯や、退職までにすべきアドバイスや考えなどあれば教えて頂きたくメールをさせてもらいました。ぜひ、参考にさせてください。
退職の選択肢があるということ自体が僥倖という考えもある
退職の決断をするのは簡単ではありませんね。何かを選ぶということは何かを捨てることです。仕事を辞める、独立することを選ぶというのはそういうことです。安定した地位、安定した給与であれば、より手放しにくくなります。
私はやめようと思ってから6年ほど要したでしょうか。海外に赴く後輩に「戻ってくる頃にはすでに私は辞めていると思う」といったことを覚えています。実際に、彼が2年後に戻ってきたときには辞めていましたね。
そして、その彼もその数年後に辞めました。
最後の1年はマインドマップ風に「なぜ退職するのか」ということをまとめましたね。まとめたといっても、A4の紙に箇条書き風に思いをつづったにすぎません。
- やりたいこと・やりたくないこと
おおむねこのような内容になるのですが、これを1年かけて書き溜めました。何か残しておきたいことがあるたびに、淡々と書き留めておくのです。といっても、難しいことではありません。箇条書きですからね。
退職後も時々見返しますが、やりたいことは意外と半分ぐらいはやっていませんね。未来とはその程度のものです。不確実なのです。
しかし、なぜやめてしまったのだろうとブレることはもうありませんね。当時の気持ちを書き綴っているから、見ると動機を思い出すのですね。
資産形成のスピードは、意外と鈍化しない例のほうが多いです。1億円を作るということは、何らかの能力に恵まれている可能性があります。それに集中する環境が整うため、むしろ収入が増えているケースもあります。
2,3の取り崩しや控除枠は実はあまり気にならなくなります。社会との接点は確かに減るケースもあるでしょう。しかし、時間というリソースがあります。それを生かして新たに作ればよいのです。
私はそのようにしました。今では、社会的なつながりも退職前よりも広く、深くなっています。勤め先の繋がりというのは、実はその程度のものです。とはいえ勤め先の繋がりも、当時からプライベートでもつながっていれば続きます。そうでないならば、仕事を通して繋がっているように見えるだけで、実は繋がっていません。
たった一度の人生、やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい。そのように私は考え、行動のベースとしています。ゆっくり考え、答えを出していかれるといいですよ。
関連記事です。
リスクを取った結果が、人生の選択の多さとも言えます。
退職により年金が少なくなるならば、自分で年金を作るという発想が必要になります。
共働きは、実は2年分の働きともいえます。