エヌビディア【NVDA】のシンプル銘柄分析
エヌビディア【NVDA】はLSIロジックを退社したジェン・スン・ファン氏が1993年にクリス・マラコウスキー氏らと設立した半導体のファブレス企業です。
ファブレスとは「ファブ(工場)+レス(もたない)」を意味し、自社で製造せず、半導体の開発・設計に特化していることを指す用語です。
エヌビディア【NVDA】が手掛けるのは、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)です。
画像表示用の計算などを行う処理装置です。
エヌビディア【NVDA】はこの分野のリーディングカンパニーで、前述したようにファブレス企業、製造はファウンドリーと呼ばれる受注生産をする企業に外部委託しています。
同社の製品は主にゲーム機に採用されており、日本企業と縁が深いです。古くは1995年に発売した最初の製品はセガに採用されています。2005年にはソニーのプレイステーション3用プロセッサも開発しています。
Nintendo Switchの共同開発も行っていますし、トヨタ自動車と自動運転分野の提携もしています。近年では、仮想通貨のマイニング用、AI、など幅を広げていますね。
エヌビディア【NVDA】とS&P500の比較チャート、配当金
5年チャートを見ると、赤のS&P500を大きくアウトパフォームしていますが、コロナ禍以降は浮き沈みが大きい銘柄でした。2022年秋に底をつけてから反転してきました。
無配ではありませんが、近年の配当は年0.16ドルです。配当を期待する銘柄ではないですね。
<エヌビディア【NVDA】の基礎データ>
- 本社: カリフォルニア州サンタ・クララ
- ティッカー: NVDA
- NASDAQ上場
- 決算期: 1月末
エヌビディア【NVDA】の売上と利益
コロナ禍以降の業績拡大が著しいです。2022年1月期に売上高が大きく成長したのはイスラエルの半導体企業Mellanoxの買収と米国のネットワーキングソフトウェア会社Cumulus Networksの買収が寄与しています。
2023年1月期に、前年度比で売上高に大きな変化がなかったにもかかわらず、営業利益が大きく減少したのは、研究開発費の増加とArmの買収を断念して発生した費用によるものです。
エヌビディア【NVDA】ののEPSとBPS
EPSとBPSの変化は営業利益の変化とほぼ一致しています。ファブレス企業故、利益を左右する要素はシンプルです。
エヌビディア【NVDA】のキャッシュフロー
ファブレス企業ですから、設備投資は少ないです。よってフリーCFが潤沢です。キーエンスなどもそうですが、設備投資によるキャッシュアウトの小ささが大きな強みとなっています。
エヌビディア【NVDA】と「cuLitho」
2023年3月にエヌビディア【NVDA】が主催する恒例のGPU技術関連イベントで発表したのが半導体製造技術向けのソフトウェアライブラリ「cuLitho」です。
「cuLitho」をひとことでいえば半導体開発にかかる期間を大幅に短縮でき、計算で使うコンピュータのリソースも削減できるものです。
コンピュータは使うと熱を出しますが、「cuLitho」はコンピュータの使用を減らすことが可能になるので、二酸化炭素の排出量も大幅に削減できるとエヌビディア【NVDA】はアピールしています。
エヌビディア【NVDA】は、同社のファウンドリーであるTSMCに加えて、半導体製造で用いる露光機でトップシェアを持つ企業のASMLや、半導体設計に関わるEDA分野でトップに立つSynopsysという業界を代表する3社をパートナーとして、「cuLitho」を推進していくつもりだそうです。
「cuLitho」が浸透すれば、エヌビディア【NVDA】の新たな収入源になるかもしれません。
AIに欠かせない、エヌビディア【NVDA】が強みの持つGPU
「ChatGPT」の話題を耳にする機会が増えました。
「ChatGPT」はAIを研究する非営利団体のOpen AIが開発した大規模言語モデルをベースとするサービスです。AIは他の分野でも進化していて、画像や音楽を生成するAIも誕生しています。
これらのように,なんらかのコンテンツを生成する機能を持ったAIを、「Generative AI」といいます。それを実現する演算をこなしているのがGPUです。
まさにエヌビディア【NVDA】のビジネス分野です。
AIは今後積極的に活用されるでしょう。しかし、企業が導入するとなるとハードルがあります。
たとえば、ある企業のカスタマーサポートをAIチャットボットに置き換える場合,一般的なAIデータだけではなく,それまでにその企業が蓄積してきたデータを加えてカスタマイズしたAIを構築する必要があります。
このような課題の解決策としてエヌビディア【NVDA】が発表したのが,Generative AIの導入を支援する「NVIDIA AI Foundation」です。AIモデルのカスタマイズと,それを利用するクラウドサービスを組み合わせたものです。
利用する企業はエヌビディア【NVDA】のサポートを受けられるそうです。
企業にとって、Generative AIの導入を容易にするサービスとして今後注目を集めそうです。半導体の開発・設計だけではなく、ソリューションサービスも提供できるならば、事業セグメントの増加になり、業績へのプラス寄与を期待できます。
2022年秋に株価が底をつけて反転してきているのは、半導体需要だけではなく、将来の期待値も加味されていそうです。
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こちらも利益率が高い企業のうちの1つです。
成長か、成熟か、好みが分かれるのは事実ですね。
住宅ローンを借りるときに知っておきたい戦略です。