たぱぞうの米国株投資

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株式投資家から見た築古戸建て投資の課題と今後

株式投資家から見た築古戸建て投資の課題と今後

 築古戸建て投資は流行っていますが、それゆえに属人性の求められる難しい投資になっていますね。つまり、DIYスキルやデザインセンスなど、付加価値の付けられる人向けの投資になっているということです。

 

 また、最大の課題としては、融資を前提としない場合はどうしてもCCRが悪くなるところです。換言すると、思ったよりも投資スピードが上がらない投資ということです。自己資本と他人資本の合算でバランスシートの拡大を目指すのが不動産投資の側面ですが、他人資本が使えないというわけですね。

 

 さらに、低家賃の場合は修繕費を始めとする固定費の割合が大きくなり、手元にキャッシュが残りにくくなります。それだけでなく、クレームも含めて、労働資本の投下を迫られる可能性もありますね。加えて、あまりに築古で立地も微妙な場合、エグジットも非常に難しくなりますね。

 

 結局のところ、夢のような投資などはどこにもなく、実質利回りとリターンで目線に合えばやるに値し、そうでないならば見送るというごく普通の話になります。これは投資全般における話です。濡れ手で粟というわけではないということです。

 

 一方でサラリーマンへの融資が厳しくなっているため、現金で取り組める築古戸建て投資は注目が集まって久しいです。

 

 しかし、書いた通り内実としては簡単ではありませんね。なにかガラリと人生が変わるような投資になりにくい現実、これは多くの方が実感されているのではないでしょうか。プレーヤーが増えて、競争が激化したことも背景にあります。実需も含めて競合するのが魅力でもあり、弱点でもあります。

 

 また、耐用年数を超えた物件を複数抱え込むことにより、より融資が引きにくくなるケースもあります。耐用年数を超える物件の価値を認めず、家賃収入もカウントしないという金融機関もあるからです。

 

 さて、今日は築古戸建て投資から米国株投資への回帰を図るという方からのお問い合わせをご紹介します。

築古戸建て投資から米国株投資への回帰を図っています

たぱぞう様 

 

1)ご著書拝読御礼:Youtube動画で紹介されていた『米国株で始める セミリタイア投資術』を拝読いたしました。今後の投資の方向性に確信を与えていただきましたこと、御礼申し上げます。

 

 説得力ある実体験に基づく冷静でロジカルなご説明であり、且つ株式投資と不動産投資の両方につき基本的な重要事項が記載されている書籍を読んだのは初めてでしたので、少し興奮気味です。

 

2)自己紹介:50代前半の会社員、妻(50代前半で大学教員)と中1の3人家族です。世帯年収2,000万円超(夫婦年収各1,000万円前後)、金融資産は3,100万円(預金2,100万円+株式保険等1,000万円)。

 

 ご著書の中の「年齢x年収÷10」からすると家計改善の余地があり反省しています。

 

3)投資履歴:150万円程度の株式投資(個別株とeMaxis等の投資信託)を実施しており、小金(こがね)は稼げていました。

 

 不動産投資の「勉強」にシフトし、物件検索、独立系の塾に通い、銀行開拓(融資内諾実績あり)しておりましたが、ご著書でご指摘の物件価格高騰のあおりを受け、レバレッジを効かせた不動産投資は「一旦休み」し、地方築古戸建てを公売で現金買い(2百万円以下)しました。

 

 現在リフォームを準備中ですが遠隔地(片道電車で3時間+徒歩30分)ゆえ大変ですので、再び株式投資への回帰を図り、米国ETF投資を100万円ほど開始しております。

 

 その後、米国ETF買い増しをしなければ、と思いつつも、もたもたしておりました。ご著書を拝読して迷いが雲散霧消しましたので、これから米国ETFを毎月分割購入していこうと思います。現在ある預金2,000万円を全て投入するのは避け、投下資金は最大1,500万円程度に留めようと考えております。

 

4)ETFの「分割購入」金額(※自己責任前提):

 

 そこで、ひとつご相談させてください。ブログ記事「海外ETFの仕組と強み」で「おすすめ」いただいていたVTI・VOO・QQQ・VYMのうち、「サテライト」向きのQQQや、VYMを除いたVTIとVOOの2銘柄に集中投資を考えています。

 

 それぞれ500万円程度を1年以上かけて分散購入しようと思いますが、たぱぞうさんが「分割購入」を実施された際には、1銘柄あたり毎月どれくらいの金額を投入されていましたでしょうか。

 

 自己責任が大前提であり、決して「正解」を求めてはおりません。たぱぞうさんの「考え方」をご教示いただければ幸いです。

 

お手隙の折に、よろしくお願いいたします。

築古戸建て投資も決して濡れ手で粟というわけではない

 冒頭触れたように、築古戸建て投資は優れた投資だから流行っているのではなく、融資状況が厳しいために流行っている投資だとも言えます。融資が以前のようにフルローンOK、サラリーマンOKになれば、たちまち景色も変わると思われます。上手い人はうまい、そういう投資です。

 

 一方でS&P500への投資も基本的にはレバレッジを使いません。しかし、コロナを挟んでますます加速したリターンは驚異的でした。年ごとのばらつきはありつつ、この10年で年率10%にもなります。CCRベースでもなかなかこれだけのリターンを示すアセットは多くありません。

築古戸建て投資の課題と今後

築古戸建て投資の課題と今後

 そういう意味では、航路を守り、コツコツと投資してきたすべての米国株投資家に大きな恩恵があったのではないでしょうか。一方でリスクとはプラスだけでなくマイナスとも表裏一体です。いつかドカンと暴落する可能性もないわけではありません。

 

 さて、ご質問にある「私ならばどうするか」というところです。私は、タイミングを見て一気に投入、あるいは離脱ということもしてきました。コロナショックの時にはそれこそ億を超える金額を一気投入しています。それほどにチャンスと感じたわけですね。

 

 しかし、リスク許容度は意識しています。つまり、余裕資金を残すということです。

  • 200日線割れ
  • 20%ドローダウン

 良く言われたこのあたりは目安になりますが、絶対ではないですね。実際、長らく割れ続ける日々がありました。やはり一撃離脱を基本としてお勧めするには無理があるのです。需給や相場の空気感が大きいですね。

 

 投資対象としては、VTIとVOOならどちらかでよいように思いますよ。というのも、VTIとVOOはほとんど同じだからです。例えば7:3など比率を決めて、淡々と年月をかけて、誰もが勝てる投資術を続けるということになります。

 

 選択肢は少なくありません。今までのご経験とご知見を活かし、アンテナの感度を高めつつ、共に頑張りましょうね。

 

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