事業売却を視野に入れた資産運用とはどういうことか
事業家、起業家だと永遠に働けるような気になる方も多いですね。一方で、従業員さんを雇っていると、やはり負荷も大きく、引退を考える方も少なくありません。たぱ社は完全なる業務委託なので、そのようなことはありません。
しかし、それは一般的ではないですね。多くの事業体は人を雇い、ある意味ではレバレッジをかけて社業を大きくしているのです。
さて、今回は事業売却を視野に入れた資産運用術ということでご質問を紹介します。
事業売却を視野に入れた資産運用を心がけていきたい
いつも貴重な情報ありがとうございます。
雪国北陸の下請け製造業経営者(49歳)です。
起業歴は14年です(個人事業主9年を経ての法人経営5年)。
コロナ禍の折、大幅受注減に悩み初めて自分の資産形成を考えながら、1人だけの社屋で筆を執りました。慣れないメールで恐縮です。
【質問】お聞きしたいのは「20万/月程度の自分年金の形成をどう行うのか?」です。
できれば「法人を有効活用できれば」と考えています。
現在自分の年金定期便より推定年金受給額(税引前9.5万/月)を知り、「生涯現役で死ぬまで働けるのか?」、という疑問に悩んでいた時、たぱぞうさんのHPに出会いました。「自分年金」を考えるのは個人のバックボーンを確立し本業に専念する為です。自分の生業にすら才も無く、FIREに舵を切る自信もありません。
因みに事前確定届を使った「社会保険料の削減」を行っています。「社会保険料の削減」に踏み切ったのは9年間の個人事業主期間が有る為、厚生年金には期待できないと考えたからです。起業時から法人化しておけば良かったです。浅はかでした。
個人資産を充分に積めたものの無駄な税金をかなり払いました。「社会保険料の削減」が厚生年金の低下を招いているのは理解しています。
現状の金融資産は以下です。
- 個人名義預貯金 11,500万
- 学資積立金 2,200万
- 法人貸付金 2,500万
- 建更共済5年後 4,300万
- 建更共済10年後 2,500万
以上、個人合計 23,000万です。(建更共済は今から5~10年後の返戻金額)他には
「始めたばかりの積立NISA(全て楽天VTI) 」、「5年経過iDeCo」、「10年経過小規模企業共済」「個人事業主時のセーフティー共済満額」が有り、作りたての証券口座で米国ETFの積立を検討していますが、、、。
法人余剰資金は 10,000万です。(運転資金及び個人からの借入金は含みません)
法人は証券口座すら有りません。別枠で社員・役員の退職金目的の法人保険有りです。
その気になれば社員を解雇し、「資産管理会社に変更できるのではないか?」と考えています。
日々の実務に追われてキャッシュと保険のみのカタチになってしまいました。個人法人共に金融機関等第三者からの借入はありません。口座で定期になっている程度で直ぐに動かせます。法人設立時より長男に株を譲渡し持ち株比率は51:49です。
家族は妻50歳、長男18歳、次男16歳、三男8歳で子供たちには今から4,000万程の学費が必要だと考えています。
【現在の自分なりの考え】
「個人・法人共に米国高配当ETFを90万/月で5年で買付ける」程度しか思いつきません。リスク分散の観点から買付期間を2倍の10年にして月額投資金額を半分の45万/月にする事の方が確実だとは思うのですが体力精神力から考えて長期間は厳しいです。
以上のような現状から可能な手法はどれ程あるでしょうか?
不躾で長文なメールに御解答頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。
事業を継続するか、それとも売却して悠々自適な道を選ぶか
素晴らしい事業のご実績ですね。事業というのは、安定して長く経営するという見方もできます。しかし、同時に取れるときに取ってバッファを作っておくというのも大事です。
そういう意味では、法人と個人ですでに3億を超える金額があるということは安心ですね。
方向性としては3つあると思います。
- 事業を続けつつ、コツコツとETFや投資信託へ投資をする
- 事業を縮小しつつ、将来的な事業アセットを株式などに変化させていく
- 今までの付き合いのある銀行などと協力し、不動産や太陽光を事業のサブにする
という手ですね。1,2は似ています。大きな意味では3も同じ目線です。法人は将来的なことを考えると持っておくと良いでしょうね。事業所得を代わりのアセットで出すようにすればよいわけです。
個人から法人に貸し出し、法人で利益を出しても良いですし、個人は個人として2割の税制でやりくりしていくというのも手です。いずれにしても、選択肢は多いですね。
せっかくここまで資産を築かれましたから、攻めだけなく守りも大事です。
一方で、従業員さんの存在も気になりますね。自分だけならば、資産の入れ替えをして資産管理法人という手もあります。借り入れが無いですから、今からコツコツ取り組めば十分可能でしょう。
もし、社業を継ぎたい方がいられるならば、法人から退職金を個人に出すという条件で売却する手もありますね。しかし、個人所得でがっつり税金が発生するのは間違いないところです。しかし、継ぐ方からすれば、自分で払うわけではないですから、割と条件としては飲みやすいですね。
いずれにしても、個人で考えて結論付けるより、従前のお付き合いある税理士さんや私など、いろいろ意見を聞いて判断されるのがベストですね。どの世界でも、セカンドオピニオンというのは大事です。
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