資産運用と資産承継を同時に考える
資産運用の大事さは法定通貨の大きな減価と共に、一部には完全に根付いたように見えます。一部には、というのは言うまでもなく自分の接する社会では、という意味ですね。
一方で資産承継はどうでしょうか。これは個人的な畏友である児島氏の訳書である『DIE WITH ZERO(ダイウィズゼロ)』のような考えもありますし、承継していくという考えもあります。
私は承継したほうが良いという考えです。理由は、普通の人にとっては資産を築くのは簡単ではなく、特に若い時には効率的な稼ぎ方が難しいからです。運用は率と額であり、率を高めるとリスクが大きくなります。
額が最初から大きければ、比較的安全な投資先を選択できます。一代で考えるのではなく、二代、三代と重ねて承継していくのが理想、そうすれば非効率な運用期間を飛び級できるという考えです。
お金は言うまでもなく人生の選択を増やします。選択の自由は尊いですね。
15年の資産運用を経て、資産承継を意識する額となった
たぱぞう様、はじめまして。
迷ったとき、悩んだときにはいつもたぱぞう様のブログにお邪魔しております。
当方、投資の重要性は理解しながらも、残念ながら管理する能力も時間もないため、主に米国株や先進国株の投資信託を、長いものでは15年近くほぼ放置状態で運用しています。
定年退職や老後が近づく中、昨年は夫の定年退職、今年は住宅ローンの借入れなど、ライフプランを見直すべきイベントが続き、おだやかな老後に向け今後どのように運用を行うべきか、たぱぞう様のご意見をおうかがいしたくメールさせていただきました。
◆家族構成
- 夫:60歳(昨年定年退職、65歳まで嘱託職員として働く予定)
- 妻(私):53歳 年収800万円(会社員、65歳まで働けますが60歳で退職希望)
- 子供:28歳(会社員・独身)
◆資産内訳(夫婦別会計につき妻のみ)
- 預金 3800万+4000万(住宅ローン融資分)
- 投資信託 2200万(旧NISA、新NISAつみたて投資含む)
- ideco 200万
- 保険 200万
- 負債(住宅ローン残債) 4400万(20年固定金利1.58%、最初の5年間は0.58%)
- 退職金 1600~1700万(60歳退職)
- 個人年金 60歳から10年間 月額10万円程度
※夫は投資に関心がなく預金もほとんどない(と思われる)ので、妻の資産=世帯の資産
◆希望
- 退職後、特別な贅沢は望んでいないのですが、子供や孫に(まだいませんが)気持ちよくおこずかいをあげられるくらいの暮らしがしたい。
- 年金だけでは心もとないので、何らかの不労所得を得たい。
◆ご相談したいこと
ローンの借り入れもあり、預金が一定程度あるので、NISA成長投資枠も活用して米国株や先進国株の投資信託にまわしたいと思っております。ついては、
- 期間や商品はどの程度分散すべきでしょうか。
- 預金はどのくらい残しておくべきでしょうか。
- たぱぞう様のおすすめの運用方法などもお聞かせいただきたいです。
また、ローン返済時期はどのように考えるべきでしょうか。
- 0.58%の優遇金利が終了する5年後
- 退職する(住宅ローン減税のメリットがなくなる)7年後
- 繰上げ返済せず20年後
最後に、iDeCoの出口について、退職金の額や個人年金の受給によっては課税対象になるのでは?と思い、いったん停止すべきか悩んでいるのですが、たぱぞう様はどのように思われますか?
ご相談したい内容は以上です。長文となり大変恐縮です。ぜひたぱぞう様のご意見をお聞かせいただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
名前は本名を書くべき?と迷ったのですがいったんニックネームとさせていただきました。
資産承継を考え始めるにはちょうどよい時期
ご資産からすると、相続税控除の枠を大きく超えてくるので、今後は相続対策なども課題となってきますね。その上で、世代を超えたご子息への資産の移転は大事にしたいところです。
また、最初に申し上げておくと本件は絶対というものはありません。
例えば資産に関しては相続せず生涯で使い切るという発想もありますし、アセットの中身についても様々な意見があります。私も同じテーマで日々考えておりますので、1つの土台として参考になれば幸いです。
一つひとつお答えしていきます。
・期間や商品はどの程度分散すべきでしょうか。
これはNISAを5年で満額使い切るのが良いでしょう。生活防衛資金以外は私はリスク資産に全振りしています。株7,その他債券や金、BTCなどで3割というのが目安になります。
・預金はどのくらい残しておくべきでしょうか。
半年間の生活防衛資金が目安となります。ただし、やはりリスク許容度次第ですので、無理の無いポジションを投資する中で探られると良いでしょう。3割あるいは4割を現金とするという考えもあります。伝統的なPFなどはそうです。
・たぱぞう様のおすすめの運用方法などもお聞かせいただきたいです。
ご自身の運用だけでなく、お子さんへの資産の移転が前述の通り大きなテーマとなりますね。私もすでにその観点で動いています。
住宅ローンですが、
・0.58%の優遇金利が終了する5年後
・退職する(住宅ローン減税のメリットがなくなる)7年後
・繰上げ返済せず20年後
20年後がよいです。特に団信があればそうです。ただし、金利条件が運用条件に劣るようならば7年後の返済を意識してよいでしょう。私も不動産事業では30年ローンを引いています。売却を視野に入れれば、全く問題のない期間です。
通貨は減価します。これはblogを始めた当初から申し上げている通りです。そして、その流れは加速しています。株式、暗号資産、都区部の土地やマンション、これらが同時に上昇しているのはそういうことです。
相続を意識すると金融資産だけだとかなり税が発生します。よって、早いうちから教育資産の都度贈与などを意識しておくと良いでしょう。
ただし、それはご自身の可処分資産が減ることを意味しますから、よくよくお子さんと話し合い、生活の質が落ちないような結論を出しておくといいです。
ぼやっとした書きぶりですが、あとはメールをした通りです。
ともにがんばりましょうね。
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