たぱぞうの米国株投資

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定年後に住宅ローン4,000万円残るのはアリか?“買い時”と“返し方”

高騰する住宅価格が購入者を悩ませる

 都市部における住宅価格が高止まりしています。すでに住んでいる人からすると、売却益が見込めるために悪いことばかりではありません。ただ、ライフステージに応じた買い替え、あるいは新規の購入などは大変です。

 

 ヤドカリのごとく、売却と利確を繰り返してグレードアップさせている人もいます。一方で、住宅価格の高騰とは全く縁のないエリアで穏やかに暮らしている人もいます。今回は、住宅ローンの組み方、考え方についてご質問を頂戴しています。

定年後に住宅ローン4,000万円残るのはアリか?

たぱぞう様

いつもブログ記事を拝見して、勉強させていただいております。


子どもが来春小学校へ入学する前に、同じ市内で自宅の購入を検討しています。
ご多忙のところ恐縮ですが、ローンの選択や返済についてご意見を伺いたく、質問いたしました。

 

・家庭構成

  • 私(47歳)メーカー勤務 年収800万円
  • 妻(46歳)パート勤務 年収150万円
  • 長男(5歳)

・背景

 現在、築30年アパート(65㎡)に自己負担4.5万円/月で居住しています。検討している家は同程度の規模の新築マンションです。場所は大阪駅までJR快速電車で5分程度、駅から約3分の立地です。


 購入費用は諸費用込みで6,800万円あたりとなります。

・資産

  • 現金:1,000万円
  • 投資信託:3,000万円(オルカン、S&P500系インデックス投信を新旧NISA、特定口座で保有)
  • 債券ETF:500万円(米国20年超長期債ETF)
  • 積立保険:500万円(運用利回1%/年程度、現金化可能)
  • 企業DC, iDeCo:500万円(オルカン、S&P500系インデックス投信、定年まで50万円/年を積立予定)
  • 仮想通貨:200万円(ビットコイン)
  • 退職金(見込):1,500万円(現在の会社で勤務の場合)
  • 親族資産譲渡: 1,000万円(住宅購入時の資産移転を予定)

・住宅ローン事前審査(ディベロッパー経由で見積)

変動33年、元利均等、フルローンで申請したところ現在2行から回答がありました。
事務手数料はいずれも2.2%でした。
緑の銀行: 6,300万円、1.025%
ネットバンク: 5,300万円、0.7%

 

・質問
1)

住宅ローンの利用について、ネット銀の方が金利は安いですが、貸入可能金額が
緑の銀行よりも少なかったです。

 

不足分について頭金で充当した方がよいか、金利は高いがフルローン(手付を除く)を利用した方がよいでしょうか?また事務手数料は同条件でしたが、他に住宅ローンで検討すべき項目はあるでしょうか。

 

2)

住宅ローンの返済について、定年までは給与所得からの充当を予定していますが、そこからは(60歳時点の残債4,000万円程度?)退職金および定年までに運用するインデックス投信を切り崩しながら返済する予定でいます。


定年後の残債が多く不安を感じていますが、今回の住宅購入は身の丈に合った内容になっていますでしょうか。(今のところ1馬力での返済の予定です)

住宅ローンによる住宅購入は不動産投資の1つ

 住宅購入は不動産投資の1つですね。交通至便で、良い立地と思われます。ズバリ、どの物件か分かってしまいました笑

 

 また、お子さまの就学を控えてのご決断ということで、ご家族の未来を見据えた前向きなご計画であると拝察いたします。

定年後に住宅ローン4,000万円残るのはアリか?“買い時”と“返し方”

定年後に住宅ローン4,000万円残るのはアリか?“買い時”と“返し方”

 今回は、ローン選択の考え方とあわせて、特に「この購入が本当に身の丈に合っているのかどうか」についてが重要ですね。

 

 まず、ローンの金利比較については、ネット銀行の提示する水準は、現状の金利環境の中でも非常に低いです。返済総額を抑えるという意味では大変魅力的です。

 

 一方で、借入可能額がやや低めであるため、不足分を手元資産から充当しなければならないという事情があります。

 

 これにより、1,500万円ほどの頭金が必要となります。保有されている投資信託や現金の一部を取り崩すことになりそうです。

 

 これに対して、みどりの銀行のフルローン案は、金利はやや高いものの、手元の運用資産をそのまま温存できるという点が大きな利点となります。

 

 運用益を生かして生活防衛資金を厚くしながら、必要に応じて繰上返済を行うという戦略も考えられるため、こちらを選ぶことで生活の柔軟性を保ちやすくなります。

 

 私ならば後者を選びますが、他行の目線を示して「御行第一志望ですが~」という文脈で交渉してみても良いでしょう。

 

 同時に、金利や融資額以外にも見ておきたいことがあります。住宅ローンを選ぶ際は、繰上返済の自由度や、団信(団体信用生命保険)の内容、さらには保証料の有無なども慎重に見ておくといいでしょう。

 

 特に団信は、ご家族の将来を守るという意味でも見過ごせない要素です。50歳以上になると組めませんので、良いタイミングです。

 

 さて、ここからがご質問の本質でもある、「この購入は本当にご家庭にとって無理のない範囲なのか」という点についてです。

 

 まずご年収を拝見すると、ご夫婦合わせて約950万円。住宅ローンの毎月返済額は金利にもよりますが、概ね18万円から20万円ほどにおさまりそうです。これはご年収に対する返済比率としては、30%未満にとどまり、住宅ローン審査上も実務上も「健全な水準」と言えます。

 

 ただ、現状おそらく家賃補助が出ているのでしょうか、現在のご負担が月4万5千円であることを考えると、ローン返済額はその4倍以上の水準です。数字だけを見ると、「これは大丈夫なのか」と感じるのも無理はありません。

 

 冒頭書いた通り、不動産投資としての目線がここで大事になります。その物件は将来的に間違いないアセットかどうか、です。


 例えばインフレ下にも関わらず残債の減り以上に資産価値が減るような物件であれば、慎重になりたいところです。長期の元利均等はそのようなことがあり得ますから、元金均等と見比べて判断されても良いでしょう。私は投資に関しては非常に保守的なので、一部に批判はありつつも元金均等を好んでいます。

 

 とはいえ、ご資産状況を拝見すると、現金・投信・債券・仮想通貨・企業DCなどを含めて、およそ5,700万円相当の資産を既に築いておられます。これに加えて、今後の運用継続、親御様からの資金援助、さらに退職金見込などを加味すると、老後に向けた備えも不足しているとは感じません。

 

 特に注目したいのは、投資信託において長期のインデックス投資を着実に積み立てられている点です。まさに王道の運用スタイルであり、これが将来の大きな安心材料となりますね。

 

 定年時点で4,000万円程度のローン残債が残るかもしれないとのことですが、退職金1,500万円と、それまでの15年間の投資成果を合わせれば、十分に対処可能な範囲となる可能性が高いです。

 

 ちなみに、もう売却してしまいましたが私は世帯年収の2倍弱の自宅(売却済み)で暮らしていました。これは、大きな値上がりが見込めない場所だったからです。こういう場合は、年収から逸脱しない住宅ローン額が肝要です。


 繰り返しになりますが、自宅とはいえ世帯年収の7.2倍は不動産のポテンシャル次第の座組になりますので、よくよく物件を精査されてくださいね。

 

 最後に。定年まで働く勤労意欲は大きな財産です。FIREが珍しくない昨今ですが、勤労意欲から生み出されるリターンは無視できません。

 

 共に頑張りましょう!

 

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