世界鉄道産業時価総額ランキングとは
典型的なインフラ産業である鉄道は、容易に他社が新規参入できない分野でしょう。
線路を敷設するためには、土地を買収し、工事する必要があります。場合によっては電線も必要です。さらに車両を作るか買うかして、それを動かす人がいて初めて収益になります。
故に、地位を築くとなかなか揺らぎにくい特徴はありますが、「何を運ぶか」、「鉄道の何に携わっているのか」によって、業績が大きく左右される特徴も持っています。
この記事では、世界の鉄道産業時価総額ランキングTop10をご紹介します。時価総額ランキングですので、どこかの証券取引所に上場している企業に限られます。
世界鉄道産業時価総額ランキングTOP10
上位10社について、簡単にご紹介します。
1位:UNION PACIFIC CORPORATION
1862年設立の米国最大の鉄道輸送会社です。貨物輸送を手掛けています。線路網は米国西部から中部・南部までの23州、約52,000kmで、カナダやメキシコに接続しています。
NYSEに上場しています。ティッカー【UNP】。S&P500に採用されています。ブラジル、サンパウロ証券取引所にも上場しています。
2位:SIEMENS
ドイツのバイエルン州ミュンヘンにある電機メーカーです。
もともと電信、電車、電子機器の製造会社から発展し、現在では情報通信、交通、防衛、生産設備、家電製品等の分野で製造、およびシステム・ソリューション事業を幅広く手がけています。世界で最初に電車を製造した企業でもあり、鉄道分野は歴史があります。
フランクフルト証券取引所に上場しています。
3位:CANADIAN NATIONAL RAILWAY
カナダのモントリオールに本社がある貨物鉄道会社です。アメリカを南北にメキシコ湾まで接続する約2万マイルにもわたる長い鉄道網を持っています。
NYSEに上場しています。ティッカー【CNI】。トロント、サンパウロ証券取引所にも上場しています。
4位:CSX CORPORATION
アメリカ東海岸に基盤を持つ鉄道会社です。製品輸送が主な事業です。
Nasdaqに上場しています。ティッカー【CSX】。
S&P500、Nasdaq100採用企業です。
5位:NORFOLK SOUTHERN CORPORATION
1982年にNorfolk and WesternとSouthernが合併して誕生した米国東海岸に基盤を持つ鉄道会社です。主な貨物は南東部で算出される石炭のほか、自動車とその部品、化学品、農産物です。
NYSEに上場しています。ティッカー【NSC】。S&P500採用企業です。
6位:CANADIAN PACIFIC RAILWAY
本社をカルガリーに置き、カナダと米国の大陸横断鉄道を運営しています。
2021年米国のKANSAS CITY SOUTHERN(9位に登場)との合併を発表しています。陸上運輸委員会が承認すれば、CPはKCSを正式に支配下に置くことになります。
統合会社「CPKC」(カナディアン・パシフィック・カンザスシティー)が誕生します。NYSEに上場しています。ティッカー【CP】。トロント証券取引所にも上場しています。
7位:BEIJING-SHANGHAI HIGH-SPEED RAILWAY Co.,LTD
ペキンシャンハイ・ハイ・スピード・レイルウェイ(京滬高速鉄路股分有限公司)は、旅客鉄道会社です。
北京上海高速鉄道及び沿線の駅の投資、建設、運営を行い、委託輸送を通じて北京上海高速鉄道の輸送を管理しています。上海証券取引所に上場しています。
8位:MTR CORPORATION
香港の鉄道会社です。旅客輸送のみならず、不動産開発も手掛けています。
香港証券取引所に上場しており、ハンセン指数採用銘柄です。
9位:KANSAS CITY SOUTHERN
6位のCANADIAN PACIFIC RAILWAYとの合併が予定されています。米国中西部と南東部からメキシコを結ぶ路線を持っています。
また、メキシコ国内の工業都市間の路線運行、パナマ運河鉄道は合弁事業として運行しています。
10位:CRRC CORPORATION
世界最大の鉄道車両メーカーです。正式社名は中国中車股份有限公司です。2014年12月に、中国国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある中国南車集団と中国北車集団が合併して誕生しました。
2018年、アメリカのマサチューセッツ州の車両組立工場が稼働開始しました。ボストンのマサチューセッツ湾交通局向けの地下鉄車両製造を手掛けます。
世界鉄道産業時価総額ランキングのまとめ
車両を製造するメーカーを除くと、米国、カナダ、中国の企業しかありません。
あれ? 日本は? と思いますね。JR東海が11位、JR東日本が13位に登場します。
ヨーロッパには鉄道が多いですが、多くは国鉄故、上場していないので、このランキングには登場しません。
また、総じていえば貨物輸送の方が時価総額の世界では主流だということもこのランキングから分かりますね。
貨物輸送は例えばCOVID-19のような事態になっても、そうそうサービスが止まらない故、売上高が大きく変わりにくいという特徴があります。そういった背景もありますね。
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