たぱぞうの米国株投資

米国株/不動産投資ブログ。某投資顧問のアドバイザ。メディア実績多数。当サイトには広告が含まれます。

【SPGI】S&P Globalの銘柄分析。S&P500指数の算出で知られる高収益企業

【SPGI】S&P Globalの銘柄分析。S&P500指数の算出で知られる高収益企業

 【SPGI】S&P Globalは信用格付け、プラッツ分析、株式や債券のインデックス事業などの事業からなります。信用格付けではムーディーズ【MCO】とフィッチレーティングスリミテッド、インデックス指数算出では【MSCI】やFTSE・Russellが競合企業になります。

 

 もともとの母体であるマグロウヒル社は出版社でしたが、スタンダード&プアーズの買収以後は金融サービス業中心となっています。以前の社名はマグロウヒルでしたが、2016年以降はS&P Globalと社名を変えています。

 

 ちなみに、マグロウヒルの由来であるジェームス・マグロウ(James H. McGraw)氏ははニューヨーク州の教師でした。もう一人の設立者、ジョン・ヒル(John A. Hill)は編集者として働いていました。

 

 この両者の保有する会社は20世紀に入り合併し、マグロウヒル社となりました。シーゲル氏の推す、リターンの優れた企業ランキングでもランクインする、優れた企業です。ビジネスウィーク誌の出版元だったといえばわかりやすいでしょうか。現在はビジネスウィークはブルームバーグ傘下になっています。

 

 対するスタンダード&プアーズは、スタンダード統計と、プアー出版が1941年に合併してできた会社です。金融総合サービスとして知られており、今では出版よりもこちらのほうが有名ですね。それは、社名にも反映されています。

 

  傘下のS&Pグローバルプラッツはロンドンに本拠があります。コモディティ、商品市場の市況情報などを配信する情報配信会社です。伝統的に特に石油関係の情報に強みを持ちますが、今では商品系のマーケット全体を網羅しています。

 

 S&P グローバル・レーティングは、信用リスク分析(格付け)を中心としています。いわゆる格付け会社で、世界三大格付け会社の1つです。他の2社はムーディーズ【MCO】とフィッチレーティングスリミテッドです。


 S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは、株価指数などのインデックス算出を担っています。S&P500やダウ平均株価の算出をしています。非常によく知られた指数です。S&P Globalは特に大型株指数に強いですね。MSCIは国際的な指数に強く、ラッセルは小型株指数に強い、という具合に棲み分けがされています。

 

 いずれも、寡占事業であり、参入障壁の高い業務というところに最大の強みがあります。

【SPGI】S&P Globalの基礎データ

 続いて、【SPGI】S&P Globalの基礎データを見てみましょう。

SPGIの売り上げと利益

SPGIの売り上げと利益

SPGIの売り上げと利益

 【SPGI】S&P Globalの売上と利益です。一時的に落ち込んだ年があります。これは、マグロウヒルの教育出版事業の売却に伴うものですね。基本的なコア事業は右肩上がりで、それを示す業績推移になっています。

 

 粗利益率は70%超え、営業利益率は50%近くあります。祖業である出版部門の縮小、売却 を始めてからは特に顕著な好業績ですね。

SPGIの配当と配当性向

SPGIの配当と配当性向

SPGIの配当と配当性向

 配当や増配を期待する企業ではないですが、非常に好調な推移といって良いですね。地味に10年の配当は2倍になっており、増配率は悪くありません。また、配当性向も50%を超えることはなく、業績の慎重に合わせた無理のない増配であることがうかがえます。

SPGIのBPSとEPS

SPGIのBPSとEPS

SPGIのBPSとEPS

 BPSは事業売却などの影響であまり参考になりません。しかしEPSは10年で4倍にも達しており、自社株買いも含めて評価されて良いでしょう。ただし、直近では企業年金と企業買収の影響で減少をしています。

SPGIのキャッシュフロー 

SPGIのキャッシュフロー

SPGIのキャッシュフロー

 営業CFは右肩上がりではないものの好調ですね。また、投資CFの小ささは利益率の大きさを証明するもので、魅力的な推移です。

 

 繰り返しますが、世界的なアクティブからパッシブへの運用の変遷がありました。その最大限の利益を享受した企業のうちの1つです。ただし、米国市場に上場する企業の多くでバンガードやブラックロックなどの運用会社が大株主になっているのを見ても分かるように、コンサバに見ると今後の成長は直近10年ほどではないことが予想されます。今後はESG投資などの流れもあり、インデックスも変容していくのでしょう。

 

 とはいえ、これらのスイッチングコストは安いものではなく、顧客の囲い込みという意味では非常に強いですね。基本的には成長している事業への適切な投資が伝統的に上手い企業で、そこは社風としても面白いところです。

 

 また、不況時においても営業利益率はあまり影響を受けず、赤字にもなっていません。そういう意味では、金融サービス特有のボラタイルな側面はもちろんありますが、比較的安心して長期投資できる銘柄の1つといって良いでしょう。

 

 ただし、金融危機時にはその格付や信用保証などで訴訟リスクがあり、リーマン・ショック後もいくつかの訴訟案件がありました。中立性も含めて、情報の質が担保されるかどうかでリスクが変容する、そういう業態ですね。

 

関連記事です。

  ライバルであるMSCI.incの記事です。こちらは国際的なベンチマークの算出に強みを持ちますね。同様に高収益体質の企業です。

www.americakabu.com

  こちらは世界3大格付け会社のムーディーズです。やはり高収益体質で、業績も安定的です。ただし、やはりリセッションでは神経質な株価変動をします。

www.americakabu.com

  こちらはテーマ株、5G関連銘柄を評価を付けて取り上げています。半導体が強いですね。

www.americakabu.com