ニューヨークダウ30種、S&P500、ラッセル2000とは
ニューヨークダウ30種、S&P500、ラッセル2000、これらは米国株市場の株価を指数化したものです。この中で最も有名な指数はニューヨークダウ30種です。米国株価が話題になるときはほとんどこの指数が用いられています。
NYダウ30種とは
NYダウ30種は正式にはダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)と言います。米国市場はNYSEとNASDAQに分かれますが、この両市場から選ばれた企業がダウ30種というわけです。ウォールストリートジャーナルの関係者、シカゴ・マーカンタイル取引所、ダウ・ジョーンズ・インデックスの関係者が選出しています。
ちなみにかつてはNYSEからしか選ばれませんでした。NASDAQは選考外だったのですね。しかし、時代の変遷を経て、今ではNASDAQ銘柄も含まれています。
他にも、マイナーですがダウ輸送株20種やダウ公共株15種などもあります。これも、ダウ30種のように人の手によって恣意的に選出されたものです。時代を代表するセクター指数ということになります。
S&P500とは
S&P500(Standard & Poor's 500 Stock Index)もNYSE、NASDAQから選出されます。大型500社を精選しています。日本の日経平均が225社ですので、それよりも多い企業数です。文字通り、500銘柄の株価を基にした時価総額加重平均型株価指数です。
※画像はNYSEから
S&P500が圧倒的に有名ですが、他にもS&P 100、S&P 400、S&P 600、S&P 1500などがあります。
ラッセル2000(Russell2000)とは
ラッセル2000指数(Russell2000)とは、アメリカの小型株指数の1つです。アメリカ市場に上場する3000の銘柄のうち、時価総額1000位から3000位の企業を集めた指数です。簡単に言うと、小型株を集めた指数ということです。
ラッセル指数では2000が最も有名です。他にラッセル1000があります。ラッセル1000は上場する企業の時価総額上位3000銘柄のうち、上位1000銘柄で構成されます。そのため、ラッセル1000は大中型株指数と言えます。
ラッセル3000は、これらラッセル2000とラッセル1000を足したものです。つまり、米国上場株式時価総額上位3000銘柄の指数ということです。
NASDAQ総合指数とは
NASDAQ市場にはマイクロソフト、シスコ、オラクルなどのかつてのハイテク企業から、Google(アルファベット)やアップルなどインターネットやモバイルに強みを持つハイテク、ネット最先端企業が上場しています。
かつてはNYSE上場企業のティッカーは3文字、NASDAQ上場企業のティッカーは4文字という暗黙の縛りがありましたが、今はこれにこだわらなくなってきています。とはいえ、アップルAAPL、マイクロソフトMSFT、オラクルORCL、シスコCSCO、アルファベット(Google)GOOGなどに見られるように伝統は生きています。
NASDAQに上場する企業は3000銘柄以上になりますが、それらの銘柄すべてを指数化した数値がNASDAQ総合指数です。関連したNASDAQ100はNASDAQ上場の時価総額上位100銘柄を集めた指数です。
さすが金融先進国だけあって、株式市場の指数は各国と比べてもかなり多いです。さて、これらの米国株に関わる指数を踏まえた上で、頂いたご質問を紹介します。
NYダウ30種やS&P500にはクズ株が紛れている?
はじめまして。
2015年夏頃から投資というものを始めました。また、それよりも少し前から、たぱぞう様や他の諸賢のブログを参考にさせて頂いております。
質問させて頂きたいことが二つほど。たぱぞう様だけでなく他の諸賢の皆様も、個別株だけでなくETFでの投資を紹介し、投資なさっています。
しかし、ETFは数十から数百の銘柄に連動しているものですので、DOW30種でもなく、かつMO、PEP、Tといった所謂「鉄板銘柄」でもない、あまり旨味の無い個別銘柄も含まれているのではないでしょうか?
むしろ、ETFの連動銘柄としては、そもそも投資妙味の無い銘柄の方が多いのでは、とも勘ぐってしまいます。どうせ買うなら、DOW30種や上記のような「鉄板銘柄」の個別銘柄のみを購入していくほうが、実績もあるし、今後の成績もより多く見込めるのではないかなと考えてしまうのですが、いかがでしょうか?
以上がご質問です。
いつもありがとうございます。質問は、私にとっても思考を深める良い機会になりますので、大変うれしいです。
指数連動ETFの魅力と個別株の魅力
さて、指数連動ETFのメリット、デメリットについて少し掘り下げてまとめてみます。これにより個別株のメリットとデメリットも見えてくるからです。
ETFのメリット
- リスクの分散ができる
- 思いもよらない銘柄の成長を取り込める
- 市場全体の成長に賭けられる
- 時代に合った銘柄に自動で入れ替えてくれる
1「リスクの分散ができる」 これは、たとえばS&P500であれば、500社に分散投資していることになりますから、1社が倒産しても指数がダメになることはありません。これが個別株ならば、最悪は上場廃止、資産ゼロということになります。
2「思いもよらない銘柄の成長を取り込める」 中小株、成長株というのは思いがけないパフォーマンスを発揮することがあります。そういった成長の果実をETFというのは取り込む可能性があります。VTIなどが好例でしょう。
中には確かにダメな株も紛れ込んでいます。しかし、当たった中小株の成長はそれこそ株の醍醐味である、〇〇バガー、つまり株価が何倍にもなるという夢を体現するものもあります。
3「市場全体の成長に賭けられる」 例えば個別銘柄を知らなくても、『アメリカは有望だから、アメリカ市場全体に賭けてみよう』とVTIを選んだり、『アメリカの大企業に投資をしよう』とVOOを選んだり、こういう大雑把な投資を可能にするということです。
一企業の未来を見通せなくても、国レベルの未来ならばまだ見通しやすいのではないでしょうか。
4「時代に合った銘柄に自動で入れ替えてくれる」 S&P500やNYダウ30種の場合は当然ながらその方針に合った銘柄の入れ替えがあります。NYダウ30種でいうならば、指標発足時から残っている銘柄がGEしかないのは有名な話ですね。
さらに落ち目の銘柄に関してはS&P500からも当然抜けることになります。その入れ替えを自動でやってくれるので、常に時代に即した銘柄群を間接的に保有できることになります。この手間のかからなさは信託報酬を考えると、素晴らしいと言えます。
以上の点から、ダウ30種はともかくとして、S&P500関連ETFは最高の投資になりえると一応結論付けておきます。
ETFのデメリット
- 「大きなキャピタルゲインが期待できない」
- 「大きなインカムゲインも期待できない」
ETFのデメリットはこの2点に尽きます。分散投資をしているからです。
1「大きなキャピタルゲインが期待できない」 株式市場指数ETFが株の集合体である以上、個別株のようなキャピタルゲインは期待できません。市場と共にゆっくり成長していく、それが株式市場指数ETFだからです。
2「大きなインカムゲインも期待できない」 個別株ならば高配当を狙えば7%や8%の配当を狙えるような株式もあります。しかし、株式ETFではまずありません。ハイイールド債ETFや優先出資証券ETFならば5%を超えるものもありますが、それは債券的なもので、米国株の最大の魅力の1つである増配、配当成長はあまり期待できません。
やはりここでも、株の集合体ということが関係してきます。
優れた銘柄選定眼を持っている自信があるならば個別株
ここで、S&P500やダウ30種を上回るパフォーマンスを発揮する銘柄選定眼を持っていると思うならば、個別株を投資の主力に据えるべきという結論が導き出せます。反面、自分の銘柄選定眼にそこまでの自信がないならば、市場への投資であるETFを選好するということになります。
結局のところ、財務諸表やチャートは過去の軌跡に過ぎません。未来を予測するのが投資です。この不確実性を自分なりにどのように消化するのかというところが、自分のポジションの取り方に関わります。
私の場合はそれなりに投資歴も長いです。そして、良い思いもそれなりにしてきました。そのため、どうしても個別株投資のおもしろさから逃れられず、ETFだけでなく個別株も購入しています。
リターンに関しては、買った時期が大きく左右します。個人的にはETFは買った時期が良かったので、優秀な成績を出しています。一方、個別株は高配当で欲をかいた「キンダーモルガン」で損失を出しています。
体験的にも、特徴的にも万人におすすめできるのはETFということになります。ただし念のため申し添えておきますが、私のポートフォリオはかなりの部分を個別株が占めます。私の場合は、自信があるというより個別株の楽しさを知ってしまったというところに尽きるのですけどね。
これは株歴の長さも関係するのでしょう。
関連記事です。ETFが良いという結論はここに示したものと殆ど同じです。
投資信託はここの記事のメリットがあります。しかし、一般的にはETFのほうが優れていると思います。
実は近年極めて優秀なNASDAQです。成長株の魅力の一端を知ることができます。ITバブルの痛手から立ち直ったと言って良いでしょう。