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ETF、投資信託、個別株、資産形成に適しているのはどれか

ETF・投信・個別株。資産形成に適しているのはどれか

 ETFや投資信託というのは株式や債券の集合体です。このETF・投資信託の登場が投資を一気に身近にし、だれでもできる投資術を可能にしたといっても良いでしょう。そういう意味ではETFと投資信託は似ています。しかし、両者は違う点がいくつかありますので、ETFを主語として改めて整理しておきます。

 

  1. ETFは市場売買、市場価格である
  2. ETFは一般的には経費(信託報酬)が投資信託より安い
  3. ETFは元本からの払い戻しが無い。

  それぞれ説明を加えていきましょう。

ETFは市場売買、市場価格である 

 株式と同じように、市場が開いている時間に市場で買い付けることができます。これに対し投資信託は非上場ですから1日1回決められる基準価格で買うことになります。

 

 ETFが証券会社を通した市場売買なのに対し、投資信託の販路は銀行や郵便局の窓口、証券会社などです。 

ETFは一般的には経費率(信託報酬)が投資信託より安い

 同じ連動指数ならば、ETFのほうが経費率(信託報酬)が安いです。バンガードの主力ETFが軒並み0.03%程度の経費率程度なのに対し、投信の最安は0.1%程度です。約3倍ですね。

 

 しかし、この程度の差ならば外国税額控除の手間などを考えると、決定打とはならないでしょう。 この差はこの数年で急激に小さくなりました。

ETFは元本からの払い戻しが無い

 質の悪い投資信託が時々『特別分配金』という形で元本払い戻しをしてしまうのに対し、ETFではそういうことがありません。評判の悪い元本払い戻し、タコ足配当は全て投資信託で行われてきました。ETFはそのようなことが法律上できないのです。

 

 とはいえ、優れたETFは多くありません。商品選びは間違えないようにしたいですね。

 投資信託のメリット

  今までの流れを見ると、ETFのほうが優れているように見えます。しかし、投資信託が持つメリットもあります。

  1. つみたてNISAなど円でのつみたて投資がしやすい
  2. バランスファンドがある

 この2点は投資信託の大きな特徴です。例を示しつつ、もう少し具体的に説明します。

円での積み立て投資がしやすい

 つみたてNISAは円での投資しかできません。ドル建て商品の購入は不可になっています。また、各証券会社でも投資信託での自動積立は歴史があり、サービスは充実しています。初心者でも買いやすい仕組みになっています。

 

 例えば、月々2万円の自動積立投資をしたい、こういう場合は投資信託が適しています。ETFは証券会社によっては手動で買付注文を出さなくてはいけないからです。米ドルで買付したい場合は円からドルへの両替の手間もあります。

 

 ただし、ETFでの自動積立サービスに対応する証券会社も出てきていますから、この分野は劇的に状況が変わりつつあります。 

投資信託はバランスファンドがある

 例えば、先進国債券・新興国債券・先進国株式・先進国債券、こういうポートフォリオを組みたいとします。ETFだとそれぞればらばらに買付、リバランスをしなくてはいけません。しかし、投資信託だとバランスファンドがありますので、それ一本で良いということになります。

 

 こうした特徴を踏まえて、今度はETF・投資信託と個別株との比較をしてみます。

ETFと個別株はどちらが運用に適しているのか 

 それでは、ETFと個別株はどちらが運用に適しているのでしょうか。

 

 「誰もができる」という視点で結論から書くと、万人の資産形成に適しているのはズバリ投資信託といえます。ここはこの2,3年で大きく変容したところです。以前はETF一択でした。投資信託で良い商品が増えたからですね。

 

 理由を書いていきます。

個別株のメリット・デメリット

 個別株の良さについてまとめてみます。ここでは長期投資を前提にしています。

  1. 企業の好業績がダイレクトに反映される
  2. 優れたビジネスモデルを持つ企業の利益をそのまま株価や配当で享受できる
  3. 売買する楽しさが一番味わえる

 こういうことです。投資信託やETFに比べると、個別株はハイリスクハイリターンであるとも言えるでしょう。

 

 長期の個別株売買で大事なのは「経営者の資質を買う」面もありますが、むしろその優れたビジネスモデルを買うという発想です。極端な話ですが、誰が社長をやっても安定的に好業績を上げられる企業を選ぶとよいですね。

 

 例えば自動車業界や電機メーカーが難しいのは、ビジネスモデル自体が大変な競争で、10年、20年先に業界地図がガラリと変わっている可能性があるからです。これら組立系の産業に経済的な濠はほとんど無いと言って良いでしょう。

 

 これは日本の電機業界が好例になっています。自動車業界は、ハイブリッドや電動化の流れが業界地図を今後一気に塗り替える可能性があります。これに対して、マイクロソフトで販売される商品はこれからも買われ続けるでしょうし、Googleの検索は使われ続けているでしょう。

 

 独占的、あるいは寡占的であり、永続性のある企業を選好していくというのは長期投資を想定した個別株売買の鉄則と言えます。しかし、それを明確に見抜くことは極めて難しいです。なぜならば、その企業の永続性を見抜くということ自体が知識やセンスを求められるからです。

 

 よく、定性分析と言われますが、定性分析が的確にできれば株式売買で失敗することはほとんど無いと言えるでしょう。逆に言うと、そんなに簡単なことではないということです。時間もかかりますから、株が好きで分析にも自信がある、上級者向けの投資が個別株投資であると言えるかもしれません。

 

 企業、あるいは業界の将来が的確に見抜けたら大きなリターンを得られる、しかもそういう株式を持つ喜びを味わえます。そういうメリットとデメリットが個別株取引にはあります。

 

 特に小型株の時にそれを見抜くことができれば、企業の成長がそのまま資産の成長になり、莫大な利益を手にする可能性もあります。

投資信託・ETFのメリット・デメリット

 次にETFの特徴について簡単にまとめてみます。

  1. 金融商品の集合体なので1つの銘柄で分散投資が可能である
  2. 価値がゼロになることは無い
  3. その国の市場、あるいはセクターを丸ごと買える

 こういうことです。

 例えばバンガードの主力ETFであるVTIなどは4000以上の米国の大中小企業すべての企業株をまとめたものです。個人で4000以上の企業株を持つことはほとんど不可能と言って良いでしょう。しかし、ETFや投資信託ならばできます。

 

 ETFに含まれる企業のうち、どれか1社が倒産したとしても、他の企業の成長でカバーできます。そのため、アメリカという国自体が成長を続けるならば、VTIも成長を続けることになります。価値がゼロになることは国自体が消し飛ばない限りありません。

ETFの網羅性は大きな魅力

ETFの網羅性は大きな魅力

  ETFや投資信託はその国の市場、あるいはセクターを丸ごと買える商品です。そのため、購入にあたって気を付けることが限られます。

  1. 成長が予想される国か
  2. 法整備がされている国か
  3. 成長が予想されるセクターか
  4. 対象市場が過熱していないか

 これだけです。個別株の売買よりもはるかにおおざっぱ、マクロ的です。成長が予想される国は若年人口が多く、人口増加が見込まれる国です。そうなると、おのずとアメリカや一部の新興国などに限られてきます。

 

 ただし、新興国ETFはアメリカのETFよりも難易度は上です。右肩上がりにならず、政治の問題やインフレの問題など諸問題が関係するからです。これは2の「法整備がされている国か」が適合しないことになります。

 

 ETFは動きが個別株に比べて鈍重です。セクターETFはまだ動きがありますが、何千銘柄あるVTIやS&P500連動のVOOなどは一日に数パーセントも動くことは稀です。そのため、ゆっくりと資産形成をしていくということになります。デイトレなどとは真逆を行く投資です。

 

 「株式投資で資産を増やしたい」のは共通の願いです。焦らずゆっくりとリスクを分散させて成長させていくにはETFによるリスク分散は現実的といえるでしょう。勝つことも大事ですが、それ以上に大負けしないことが、困難な時代を生き抜く投資術の根幹であると言えます。

 

 まとめます。腕に自信があり、株好きであるならば個別株です。私も個別株を多く買っていましたし、これからも買うでしょう。投資歴が浅くリスクを好まないか、時間を投資に割きたくないならばETFです。場中の値動きにとらわれず資産形成をするならば投資信託です。

 

 個人の属性に即した投資をすることが生活を豊かにするということですね。

 

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