少子化が叫ばれて久しいが、打つ手はなし
少子化が叫ばれて久しいです。日本だけでなく先進諸国が直面する課題です。一子誕生ごとに1千万補助金、などの施策があれば歯止めがかかるかもしれませんが、このような具体策は政策として通らないでしょう。
今の日本は歳出の大きな割合を社会保障費と国債利払いに充てています。これらは未来への投資というよりは消費に近く、人口構造のいびつさがマシになるまではのらりくらりと凌ぐのでしょう。
つまり、1次、2次のベビーブーマー世代が自然減しないとなかなか変わらないということです。しかし、新生児の誕生が激減していますから、人口構造が高齢者に偏ったいびつな形はなかなか改善されようとしません。
さて、少子化著しい中にあって、今日は第三子の誕生を計画されているという方からのご質問です。
第三子を持ちたいが家計が気になる。
はじめまして、Micchelと申します。普段からたぱぞう様の投資哲学、人生に対するお考えに感銘を受けており、またブログ読者の皆さまに対する示唆に富むご意見を大変参考にさせて頂いております。さて、僭越ながら以下質問させて頂きます。
<質問内容>
現在、子供二人を授かり幸せな日々を送っておりますが、妻が第三子を希望しております。そこで、以下の私の現状の経済力及び公的機関の教育補助などの観点から第三子を持つことの妥当性を評価頂きたく存じます。
結婚当初から資産運用に取り組み、長期投資の恩恵に授かった背景から日本の同世代または同じ属性と比較すると金融資産は順調に増加していると認識しており、今後も大きく取り崩す事なく、毎年100万円程度を投資に回す形で老後資産の形成に努めます。
他方で、日々のキャッシュフローではあまり余裕がなく、コンサバな日系企業のサラリーマンのため将来的な年収は最大900万円程度で、子供小さい事から妻もしばらくは専業主婦の予定です。
最後に教育方針については妻に任せており、できれば中学受験で高校まで一貫校に通い、大学に進学する事を望んでいます。上記点を踏まえて、総合的に評価頂けますと幸いです。
<現状>
・家族構成:私(夫35歳)、妻36歳、長男5歳、次男3歳
・世帯収入:額面700万円(妻は専業主婦のため収入なし)
・平均支出(月額)35万円
・すまい:持ち家(マンション)※ローン残債約6,000万円
<金融資産>
株式:7,500万円(米国株式が約6割)
仮想通貨:250万円
預金:50万円
以上、お手数ですが、ご検討のほどよろしくお願い致します。
第三子誕生は決して不可能な選択ではない
結論から申し上げますと、可能です。
まず、資産・収入構造から見ていきましょう。金融資産は株式7,500万円、仮想通貨250万円、預金50万円と合計で7,800万円を超えています。
35歳という年齢でこれは非常に優れた水準です。収入から比べても、かなりの成績と言ってよいでしょう。株式比率が高く、米国株を中心に長期的な成長力が見込める点も強みです。現状のままでも老後資金が不足するリスクは低いと考えられます。
課題はキャッシュフローと教育費ピークの集中です。世帯収入700万円(将来最大900万円)に対し、月35万円の支出と住宅ローン残高6,000万円はやや重めです。
住宅がタワマンなどで、さらに利が乗るとしてもです。
第三子を含め全員が中学受験から私立一貫校に進学し、大学まで進む場合を想定してみましょう。
教育費のピークが高校〜大学にかけて3人同時期に重なる可能性があります。この場合、年間学費だけで400〜500万円、生活費も含めると年間700〜800万円のキャッシュアウトが見込まれます。
対応策としては、まず教育方針の柔軟化が挙げられます。
例えば、公立中学校から高校受験を経るルートや、大学まで国公立を視野に入れることで、総コストは半分近くまで抑えられます。

教育費については、リスクがありますが必要時期までインフレ耐性のある資産、たとえば株式や金、暗号資産などで運用し、購買力の目減りを防ぐ、とする考えもありますね。
使う時期まで成長性のある資産で運用し、その後必要時期に合わせて現金化するという考えです。実際、私もそうしています。教育費など必要資金は投資に回さないのが王道ですので、期間とリスクを勘案して方針を決めると良いでしょう。
第三子を迎えるかどうかの判断軸は、老後資産が守れるかだけでなく、「教育費ピークにキャッシュが足りるか」にあります。現在の資産規模であれば、教育費プランとキャッシュフロー管理を固めれば第三子は十分可能です。
ただし、全員私立・全員中学受験という方針であれば、資産を一時的に取り崩す覚悟も必要になります。
資産形成という点ではすでに同世代の何歩も先を進まれています。これからは、お金の総額に加えてお金が出ていくタイミング管理も重要なテーマになります。
進路に合わせて、3人同時進学時の教育費ピーク負担を数値化したシミュレーションをされてみると良いでしょう。。それにより、安心して家族計画を進められるはずです。
場合によっては、お子さんが手がかからなくなる年齢に合わせ、共働き体制にしてもよいでしょう。公立を視野に入れ、資産の取り崩しを想定し、共働きをする。この3か条のように、ライフプランに柔軟性を持たせると、違った景色が見えてくるかと思います。
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