外国源泉徴収課税、投資信託とETFにおける課税分について
税金は複雑で、いろいろな解釈を生みますね。今回は、米国株や米国株ETFの配当金・分配金に関するお話です。
一般的に私たちが個人で米国株ETFを買うとこのような課税がされます。100ドルの分配金を得たとしましょう。計算を簡略化するために、震災復興税は除いています。
- 100ドル-米国における源泉徴収課税10%=90ドル
- 90ドル-日本における配当課税20%=72ドル
ただし、米国における課税は二重課税になりますので、外国税額控除により一部を取り戻すことができます。
米国上場ETFの外国税額控除メリット、投資信託による国内課税繰り延べメリット、これがどちらがオトクかということで時々盛り上がります。
さて、このことを踏まえて、今回は「投資信託って損じゃない?」ということでご質問をご紹介しますね。
投資信託の分配金が国内課税されていれば、損になるのではないか
たぱぞう様
いつもためになる記事をありがとうございます。
今年から投資に目覚めたこぺんと申します。本日は記事のネタにでもなればいいなと思いつつご相談させていただきます。
今まで私の中では投資信託の分配金は国内課税されずに再投資されるという認識でおりました。たぱぞう様の記事でもそのような記載がありましたので、投資信託において元本を削らない(普通)分配金は国内課税されずに再投資なのだと認識していたのです。
これは証券会社に聞かねばと問い合わせてみたところ、やはり普通分配金には課税されるとのこと。とすれば、投資信託でもETFでも分配金には約30%弱税金として支払いをしており、ETFの場合、外国税額控除ができる分メリットがあるとしか思えないのです。
信託報酬も投資信託は実質コストで高くなりがちですしね・・・。こうなると投資信託の利点は「少額から取引可能」「ドル転の手間がない」という面しかないのではと感じています。
「楽天VTI」or「楽天VYM」のように結局為替の影響を受けるのであれば、最初から本家ETFでいいや~という気持ちになっているのですが、たぱぞう様はどのようにお考えでしょうか?
投資信託は日本国内での課税をせず、再投資をしています。
ご質問をありがとうございます。証券会社にお問い合わせもされたということで、社会的にも大変ニーズの高いご質問と思います。結論から申し上げますと、ご懸念の事実はなく、課税はされていません。
例に示しながらお答えしますね。例は米国ETFのVTIです。
- VTIから分配金が出る
- 米国において源泉徴収課税10%が引かれる
- その後、日本においてこの分配金にさらに20%の配当課税が行われる
- 残りの分配金を再投資する
個人での再投資だとこれが一連の流れかと思います。以下の2つ、「どちらなんだ」ということですよね。
- 日本国内分に関しては、「配当課税されずに繰り延べされて」再投資されている。
- 日本国内分に関しては、「配当課税されて」再投資されている。
これが、前者ならば米国の源泉課税の取戻しができなくても相殺されます。後者ならば、日本分が課税されるという状況にETFも投資信託も変わりないので、外国税額控除分の取戻しを考えるとETF直接買い付けが有利となりますよね。
しかし、冒頭申し上げたように、国内では課税されていません。理由は、公募投信は個人の法律とは違う枠組みで動いているからです。日本国内の公募投信は、個人と違って、前述の3の段階での課税がされません。
では、証券会社のサポートの説明はなんだったんだ、ということですね。おそらく、あまり聞かれたことのないご質問で、混乱されたのだと思いますよ。それぐらいに税制は複雑だということですね。
ちなみに、今年からこの二重課税が解消された商品がいくつかあります。S&P500で言うと、1655や2558がそうです。前者はブラックロックさん、後者は三菱さんの商品です。いずれも米国における源泉徴収課税10%が制度上かからないように設計された商品です。
退職した直後など、所得がない状態ではこれらのETFが選択肢に入りますね。ご質問ありがとうございました。
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