投資詐欺は後を絶たないが、避けることは可能
投資詐欺は後を絶ちませんね。今後も無くなることはないでしょう。実際、blogを始めてからよく相談を受けます。「こういう案件で話があるのですが、どうでしょうか」というわけです。
だいたいダメです。中には明日にでも500万振り込めと言われている、ということで相談を受けたこともありますね。切迫感のある追い込み、これだけで異常さを感じるものでした。
しかし、渦中にいると気づかないのですね。そこまでに撒いている信頼の種が育っているのです。騙されるはずがない、詐欺にはひっかからない、というバイアスのようなものが働くのも事実です。
心のどこかに引っ掛かるものがあり、しかし背中を押してほしいために、セカンドオピニオンを求めるわけですね。しかし、人に相談しないと買えないようなものは、基本的には投資商品全般に共通しますが、手を出さないほうが良いのですよね。
さて、今回は合同会社の社員権売買ということでご質問を紹介します。
投資詐欺かどうかわからないが、信頼がおけるように感じる
初めて投稿させていただきます。
33歳男性独身、子供無し、結婚予定無し、実家暮らしです。たぱぞうさんをはじめ、様々な方の著書やブログを参考にして自分なりに納得のいくポートフォリオを組めていると思っています。
本当に感謝しています。
今回ご相談させていただきたいのは、そのポートフォリオに大きな影響を与える案件に投資すべきかどうかです。
案件内容はPDFの資料があるのですが、Googleフォームでは添付できないようなので要点だけ記載させていただきます。
- 2023 年中に某国証券取引所に上場する企業
- 現地の証券口座を開設せず、合同会社社員権を保有
- 株式と同じく、売却可能
- 2024年末までに3倍の価値向上を目指す
PDFが必要な場合、他の方法でお送りいたします。
こちらの企業さんの別の複数の案件にこれまで6年ほど投資しており、利益は1年あたり8〜16%ほど出ています。事前に事業計画・内容は調べており、過去の案件ごとの説明通り、利益は支払われていますので、信用はしております。
ただ、今回の案件は自分の
- 資産額に比して今回の案件への投資金額が大きいこと。
- これまで買ったETFを売却してキャッシュを確保しなくてはならないこと。
- ようやく安定したポートフォリオを大きく崩すことになること。
- 急激な円安の影響が続いている中で、今後の為替次第で大きく利益に影響しそう。
- 米国の個別株は過去に触れたが、自分には合わなかった。
これらの理由で二の足を踏んでいます。また、現在のポートフォリオは以下になります。
- キャッシュ…50万
- ETF①maxis s&p500『2558』 330万
- ETF②maxis nasdaq100 『2631』 250万
- 投信 emaxisslim s&p500 300万(うちIdecoは30万)
- 上記企業の案件 70万
計約1000万
※ETF・投信は全て含み益が出ています。
※上記企業の案件は3年後に利益が確定します。
月10万を投信に積立て、余剰をキャッシュで保持しています。また、今は増やす時期と思い、キャッシュは少なめです。掛け捨ての医療保険と個人賠償責任保険にのみ入っています。
Idecoは一年ほど積み立てた後、将来の自分の状況や税制度の改正による影響を鑑みて積み立てを停止しています。労働収入は年間約350万です。
たぱぞうさんならば、この状況でこの案件に投資されますでしょうか?
ポートフォリオをあまりいじると効率が下がることは承知しつつも、リスクを取らないとなかなか増えないのも事実で、判断に困っております。
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答いただければ幸いです。
投資詐欺と決めつけはしないが、非常に微妙な案件
本件、Voicyでも回答していますが、非常に危ない案件と見ます。私は立場上非常に多くの微妙な案件を目にします。いくつか共通することがあります。
1つめは流動性です。東証や米国市場のような流動性のあるところで取引が成立するものではなく、流動性の少ないものは注意が必要です。合同会社の社員権、流動性は殆どありませんね。この時点で運命は相手に託されるのです。それは著しく不自由であることを意味します。
2つめは、成功体験です。いきなり損を出すような商品もありますが、それは概して金額が小さいです。何回か配当や分配金を出し、大きく投資?をさせて返金しないという例が少なくありません。それまでの分配金は信頼を育てる種なのです。いきなり小銭を得てクロージングという例は逆に少ないです。
3つめは不自然な利回りです。年率5%を超える利回りは何らかの問題があるケースがあります。もちろん、高配当株に見るようにすべてではないですが、警戒するに越したことはありません。
投資は心穏やかにコツコツ続けられるものを選ぶとよいですね。不安になるようなものは向かないということです。
あまりブログには書きませんが、このような案件は有名無名問わず非常にお問い合わせをいただきます。だいたいだめです。
本商品だけでなく、勧めた人も含めて気を付けられるに越したことはないと思いますよ。
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攻めと守りのバランスが大事ですね。いつも無理する必要は無いのです。
手堅い投資の代表格、米株インデックスです。
分散性は大事ですが、ましてやコアにするものはリスクリターンが命です。