S&P500連動東証ETFは信託報酬がじりじり下がっている
当ブログでもたびたび話題にしていますが、東証に上場するETFには海外資産の指数に連動する商品が増えてきました。
中には外国税の二重課税を調整してくれる銘柄もあり、海外市場に上場するETFを取引するよりも使い勝手がいいと思えるものもあります。
米国株式市場を代表するS&P500に連動するETFも選択肢が増えました。為替ヘッジがない銘柄の代表的なものを4種類挙げてみました。
東証上場S&P500連動ETFのデータ一覧
出典:各運用会社websiteよりたぱぞう作成
注:信託報酬率は税込
実績の分配利回りでは一番新顔の野村アセットマネジメントの商品にアドバンテージがありますが、後発ゆえ純資産は小さいですね。
東証ETFは総じて売買高が小さいものが多いです。しかし、S&P500指数に投資する日本人投資家が増えてきたのか、上記4銘柄に関しては少ない銘柄でも1日数万口の売買があり、流動性の懸念も減ってきています。
さて、今更ながらに東証上場のS&P500連動ETFを話題にするのは、2022年11月、表中で色を付けた部分に変化があったからです。
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF【1655】の約款変更と信託報酬の引き下げ
色を付けた部分はETF投資家の多くが同様の他商品との比較項目にする信託報酬率です。
2022年11月10日にiシェアーズ S&P 500 米国株 ETF【1655】は約款の一部を変更しました。
出典:Nikkei.com
信託報酬率に関する変更点を抜粋しました。右が旧、左が新です。
年率0.15%(税抜き)以内を年率0.07%(税抜き)に変更したのです。
実は【1655】の信託報酬率は暫定的に下げられていて、約款変更前も年率0.15%(税抜き)ではなく、年率0.075%(税抜き)が2023年6月21日まで続くことになっていました。
今回は約款変更ですから暫定的な引き下げではありません。
信託報酬率だけで比較すれば、【1655】の約款変更前まではMAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2558】に優位性がありました。
しかし、【1655】の約款変更で、【1655】と【2558】は肩を並べたことになります。
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF【1655】は【VOO】ともそん色ない信託報酬率水準に
S&P500連動ETFとしてよく知られるVanguard 500 Index Fund【VOO】の経費率は0.03%です。
とはいえ、米ドルでの取引になりますから、為替手数料等を考慮すると【1655】や【2558】は同じような水準になったといえそうです。
プライスが小さい【1655】は4000円程度で取引できますので、一時期より下げたとはいえ、1口350ドル程度(1ドル=145円で5万円強)の【VOO】より気軽に取引できそうです。
米国株口座を開設しなくても取引できるのも、人によってはありがたいでしょう。
【1655】は2022年2月に1:10の受益権分割を行っています。
2021年11月29日から、東証に上場するETF及びETN等について、原則として全銘柄にTOPIX100構成銘柄に適用されている呼値の単位が適用されたことを理由に、【1655】は売買単位を1口から10口単位にしました。
これによって9口以下の保有者の取引を妨げないための分割でした。
呼び値の単位が小さくなったことで大口の取引による利益を出しやすいと考える投資家が多かったのでしょうか。【1655】を2年チャート見ると、2022年2月以降はそれ以前よりも売買高が増加しています。
出典: Nikkei.com
信託報酬率を下げる、取引しやすいような価額にするといった投資家オリエンテッドなルールを設けることで売買高が増え、純資産も増えるといういい流れが【1655】にできつつあるように見えます。
分割されたことで逆に受益権の併合の可能性があります。それもすでに約款に記載されていますので、念のため申し上げておきます。
これは、他のETFでは時折発生している事象で、例えば価額が著しく低下するといったことが理由になるようです。
属性にあまり変化がないように思えるETFもちょくちょく変化しています。そのあたりの確認を怠らずに投資の意思決定をしたいものですね。
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S&P500は各社の旗艦ETFと言ってよい存在です。
こちらは東証上場のQYLDですね。
東証上場のPFFDです。