ゼロクーポン債、割引債投資とは
債券というと、利付債のイメージが強いかもしれませんね。定期的に利金が受け取れる、そういう債券です。中には、利金を出さない債券があります。事前に決められたディスカウントをして、償還時に額面金額を払い戻す債券です。
これは割引をして販売されるということで、割引債と言われます。ゼロクーポン債とも言いますが、意味は同じですね。さて、今日はその割引債、ゼロクーポン債のご質問を紹介します。
ゼロクーポン債、割引債投資の売買スプレッドに驚いています
債券投資に関するご質問が多くなっています。
毎日更新を楽しみにしております。過去に何度か質問をさせて頂いたのですが、今回は米ドル建て債券投資について質問させてください。
債券の話は株式に比べて情報が少なく、難しくて調べてもよく分からない事が多かったため、おかしな事を言っていたら申し訳ありません。
私はアラフィフでITフリーランスをしておりますが、最近はインフレ、インボイスによる実質増税、年齢などにより労働で資産を増やすのが難しくなってきたと感じます。
一方で、年を取って体の衰えをひしひしと感じるようになり、自分の残り時間を考えるともっとお金を使って残りの人生を楽しみたいと思うようになり節約が緩んできました。
さらに、私は致命的に投資センスがありません。直近15年以上イデコを継続していますが僅か25%増です。これまでのスイッチングを振り返ると購入する商品の選択や売買のタイミングが常に裏目に出ていました。
また、株式が暴落したら全力で買おうと常に待ち構えているのにコロナショックの時には殆ど買えませんでした。それどころか所有ETFを一旦はすべて売却してしまう始末でした。
いつまでどこまで下がるかわからないのに資産の多くを投入するなどとてもできませんでした。一時的でも大きく資産が減るのは心が耐えられそうもありません。
そこで眼を付けたのが米ドル建て債券投資です。たぱぞうさんも債券は今妙味アリとのことでしたので。株式の上下はタイミングも大きさも全く分かりませんが、債券はある程度読めると思うのです。
調べたところでは、これ以上米国の金利が上がる余地は僅かだし、近いうちに下がり始めるのは確実で、それがいつになるかと言うだけの事らしいのです。要するに今の債券価格は底値に近く、まだ少し下がるにしても数年以内には必ず大きく上昇するだろうと言うことです。
資産が一時的に下落しても、近いうちに上昇することが分かっていれば何とか耐えられそうですし、この様なタイミングは自分の残りの人生で最後なのかもしれないと思いました。
そこで質問させてください。
- 質問1
米国割引債に着目して調べてみると2042年償還の既発債が50%で販売していました。20年持ち続ければドル建てでは2倍になるし、今から数年の間にはまず間違いなく金利が下がり債券価格が上昇する訳だから、その時に売却することもできる。
この様に考えたのですが間違っていないでしょうか?これが実現するならばもう自分の資産運用をこれで終わりにしてもいいと思いました。
- 質問2
SBI証券で実際にこの債券を購入して次の日に売却して見たのですが、提示された金額で売り買いするほかありませんでした。
おおよそで購入は50ドル、翌日の売却は47.5ドルで、5%も差があり驚いたのですが、個人投資家にとっての債券市場とはこういうものなのでしょうか?
・質問3
現物債券は取引が不透明でよくわからないので債券ETFはどうか思ったのですが、調べたところではたぱぞうさんお勧めのBNDやAGGは金利への反応が弱く、今の局面ではではうまみが少ないようでした。そこで残存期間が長いEDVではどうかと思ったのですが、どう思われますでしょうか?
私が思うには今の米ドル建て債券で落とし穴は為替レートだけだと思うのです。しかし以前のような円高になるとはどうしても思えないのです。今債券投資をすれば、長くても数年待てば確実な利益が期待出来ると思われて、このチャンスを逃す手があるだろうか?という思いが強くなり焦燥感を感じじ始めてめています。
お手数ですがご回答よろしくお願いいたします。
久々に債券投資に妙味があるのは事実
1について。確かに長期の債券は今は安い、久々に妙味がある展開です。ただし、懸念が二つあります。1つは集中投資になること。もう1つは持ち切りの目線だと、20年で他のアセットやインフレに劣後するリターンである可能性もあることです。
よって、分散投資の1つとして採用するのが無難ではあります。
冒頭申し上げたように割引債はゼロクーポン債とも言われますね。利息が無いですが、決められた期限で額面を回復するという性質のものです。長らく株式に劣後するリターンでしたが、たしかに妙味はあります。
2について。売買スプレッドで引かれていますね。大体において日本の多くの証券会社だと買値しか見えないため、売値を意識せずに買うことになりがちです。
債券の性格上、持ち切ってしまえば売値は確かにあまり意識することはありません。
しかし、頻繁な売買だとスプレッドは大きな負担です。
このスプレッドはご経験された通り実は結構大きく、株式売買の比ではありません。各証券会社に確認されてから買われたほうがいいでしょう。特に日本国内においてスプレッドが大きいのは、債券売買自体がマイナーであまり知られておらず、競争が働きにくいという背景もあります。
3について。EDVは面白いです。ただし、BNDやAGGのような安定感はありません。リスクは振れ幅ですが、上下動が大きくなるのは不確実性を内包する長い時間、これがリターンに反映されるわけですね。同じく、TLTなどもトータル債券系に比べると値動きは大きいです。
私は個人的には生債券などよりは、流動性や手数料がはっきりしているETFをお勧めしています。
いずれにしても長期債はリスクを許容できるか、できないか、というところですね。とはいえ、私の周りの投資家はやはり同じ理由で長期債ETFを選んでいますね。
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米国マーケットは商品の幅広さが魅力の1つですね。
それでも株式は魅力ということですね。
住宅ローンも金利に本来は敏感です。