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バンガード・超長期米国債ETF【EDV】は20年~30年長期債に投資できるETF

バンガード・超長期米国債ETF【EDV】は20年~30年長期債に投資できるETF

 上昇し続ける米国の金利の変化が緩やかになりつつあります。ぼちぼち金利の天井を意識する投資家が増えてくることでしょう。


そんな局面を見据えた米国債ETFをご紹介します。2022年の米国マーケットを語るうえで避けて通れないのが金利の変化でした。米国の代表的短期金利のフェデラル・ファンド金利の変化がわかりやすいですね。


2022年は階段を駆け上がっているような状況でした。

フェデラル・ファンド金利の変化

フェデラル・ファンド金利の変化

出典:SBI証券

 しかし金利の上昇幅が緩やかになりつつあります。

 0.75%->0.5%->0.25% といった具合です。

 政策金利が上昇すると、価格が下がるものがあります。当該国の債券価格です。

 

 債券そのものはFixed Incomeともいわれ、購入してから償還まで持つならば、発行通貨ベースでリターンが確定するアセットです。


 高金利時は債券価格が下がっていますから、将来のリターンが魅力的に見えるわけです。債券は償還までの期間が長いものほど、金利の変化がプライスに与える影響が大きくなります。


 金利の変化が小さくても価格が大きく動くということです。裏を返せば、政策金利上昇のピークを迎えつつあり、今後引き下げに向かうとすると、長期債の価格は金利引き下げをよりポジティブに受け止めるものになります。


その性格を考慮して、バンガード・超長期米国債ETF【EDV】に注目してみました。

バンガード・超長期米国債ETF【EDV】とは?

 【EDV】は、「ブルームバーグ・バークレイズ米国債STRIPS(20-30年)均等額面インデックス」の動きに連動する投資成果を目指す米国ETFです。


 このインデックスは、残存期間が20~30年の米国財務省証券ストリップス債のパフォーマンスを測定する指数です。

 

 バンガードのレポートによれば、【EDV】は残存期間20年以上の米国債のみで運用されていることがわかります。

【EDV】は残存期間20年以上の米国債のみで運用されている

【EDV】は残存期間20年以上の米国債のみで運用されている

出典: Vanguard website

 ストリップス債は、聞き慣れないかもしれません。


 ストリップス債は、“STRIPS = Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities”の略称です。

 

 利付債の元本部分とクーポン(利息)部分が分離され、それぞれの部分がゼロクーポンの割引債として販売される債券を指します。


 利付債は通常、元本部分とクーポン部分で構成されますが、元本部分をこの利付債の償還日を満期とする割引債、各クーポン部分をその支払期日が満期の割引債として販売するものです。

 

 ストリップス債は利息が貰えない代わりに額面金額より低い価格で発行される債券で、長期になればなるほど低い価格となります。

【EDV】の経費率と利回り、出来高を見てみる

 経費率は0.06%です。バンガードの商品らしく非常に低い水準です。分配は四半期に1度で、直近の実績分配利回りは約2.9%です。


 純資産は20億ドル強ぐらいですので、日本円にして2600億円と米国ETFとしては決して規模が大きくはありません。


 とはいえ、1日当たりの売買高は20万口~40万口程度ありますので、流動性の問題は特に気にしなくていいでしょう。

【EDV】と米国国債 20年超 ETF【TLT】の比較チャート

 チャートを確認します。水色が【EDV】です。比較のために、ブラックロックのiシェアーズ米国国債 20年超 ETF【TLT】を赤で掲載しました。


 【EDV】のプライスは2021年末あたりに高値を付けてから、2022年秋まで下落傾向ですが、以降は切り替えしてきています。金利の変化が緩やかになったことに【EDV】への投資家が反応しているということでしょう。


 2022年以降は【TLT】に見劣りする推移ですが、裏を返せば【EDV】で出遅れを拾うというストラテジーも想定できます。

【EDV】と米国国債 20年超 ETF【TLT】の比較チャート

【EDV】と米国国債 20年超 ETF【TLT】の比較チャート

出典: US版 Yahoo Finance

EDVに関連して知っておきたい言葉:「デュレーション」

 債券投資でよく聞く言葉ですが、何のこと?と思われるかもしれませんので、一応書いておきます。


 英語表記はDurationです。


 債券を保有することによって利子および元本(=キャッシュフロー)を受け取ることのできるまでの期間を加重平均したもののことで、債券投資の平均回収期間を示しています。


 クーポンや最終利回りが高くなるほど、デュレーションは小さくなります。つまり債券投資の回収までの期間が早くなるということです。

 

 デュレーションは、債券投資の平均回収期間を示す以外に、金利への感応度という性格もあります。金利がある一定の割合で変動した場合、債券価格がどの程度変化するかを示すものです。


 デュレーションが大きいほど、金利の変化に対する価格の変化が大きいということです。

 

 【EDV】のデュレーションは24年余りです。債券ETFとしてポピュラーなバンガード・米国トータル債券市場ETF【BND】のそれは6.2です。


 今後、金利が下がる局面になった時、【EDV】の方がプライスの上昇が大きいということがわかると思います。
このような性格を理解して債券投資を行うと、より楽しめますね。

 SBI証券楽天証券マネックス証券等が取り扱っています。

 

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