米国債券をポートフォリオの中心に据えて投資をするということ
長らくパッとしなかった債券投資ですが、金利高の影響で妙味が感じられる水準になっています。長期債は特にキャピタル的にも面白い水準になっており、ETFによっては10年来のキャピタルを昨年1年で失うような相場です。
また、伝統的な6:4ポートフォリオがそういう意味でも見直されつつあります。2022年は債券本来の期待される役割を果たせませんでした。これからはどうでしょうか。
ここでいう債券に期待される役割とは、株式との逆相関性、ポートフォリオの値動きをマイルドにする、これらを指します。
政策金利のターミナルレートが意識される今、債券投資はどのように考えたらよいのでしょうか。ご質問を紹介します。
米ドル建て債券中心のポートフォリオにシフトしていくのはどうか
質問: 米ドル建て債券中心のポートフォリオにシフトしていくのはどうか
数年前からたぱぞうさんのブログ、去年からはYouTubeも楽しく拝見させていただいております。私はもうすぐ60歳になる米国在住のサラリーマンで、18年位前から株式投資を行ってきました。コロナショック時にも「落ちてくるナイフをつかむべきか」という質問をたぱぞうさんに送り、アドバイスを戴いた者です。
最近とある理由から金とプラチナの現物をすべて売却したため現金が積み上がっていて、そのお金を何に振り向けようかと考えているうちに、米国株式を含めたポートフォリオ全体を見直しても良い時期に来ているのではないかと思い始め、再度質問させていただいた次第です。
年収は約22万ドルありますが、3年後にはリタイアして日本に帰ろうと考えています。家族構成は、専業主婦の妻と二人暮らしで子供はいません。4年前までは日本で働いてきたので、65歳からは日本の年金がもらえます。
現在の金融資産は以下のように総額2.5億円になり、積極的にリスクを取らなくても老後の生活にはまったく心配の要らないレベルになってきました。とは言え、少し前までは次のリセッションが来ればVTIを積極的に買い向かい、資産を増やそうと目論んでいたのも事実です。
私の中では次の3つの選択肢があるのですが、最近見たあるYouTubeの影響もあり、かなり低いリスクで約5%の利回りが取れる今なら米ドル建て債券中心にシフトしても良いのではという気がしてきています。
(1) 5%程度の利回りが取れる米ドル建て生債券にシフトする(株式類は順次売却する)。
(2) 株式および株式ETFはお金が必要になるまで売らないが、買い増しもしない。余剰資金は債券ETFなどに投資する。
(3) 余剰資金は債券ETFで運用し、それを原資にタイミングを見てVTIなどを買い増す。
金融資産
現預金(うち半分は米ドル) 1億円
ETF (VYM, VTIなど) 7,000万円
ETF (BND) 1,000 万円
米国個別株 1,700万円
個人年金(60歳から受け取り可) 2,500万円
401k(日米合わせて) 3,000万円
以上のような家族構成、金融資産の場合、これからの投資をどう進めていくのが良いと思われますか。
久々に復活した債券投資、この地合いならば妙味あり
債券投資は復活しましたね。昨年まではFF金利が低く、そのため債券利回りも為替リスクを加味すると全く面白くないものでした。
しかし、MMFなども含めて利回りが復活しましたね。妙味があります。
特に債券は急激な利回りの上昇を受けて価格が下落しています。債券ETFであるTLTやバランスの取れたBND、AGGなどは軒並み10年前の水準まで取引値が下落しており、面白い存在になっています。
もちろん、金利はしばらく上昇を続ける流れですが、長いスパンで考えれば違った景色が見えてきます。
冒頭申し上げた通り、ターミナルレートが意識される展開です。年単位で見れば巻き戻しの利下げが意識されます。そうなると、債券価格は上昇しますから、インカムだけでなく、キャピタルも狙える、そのような相場になります。
とはいえ、もともと株式のような爆発的な伸びはないアセットです。そこを踏まえつつの投資ならば、面白い展開が期待できるのではないでしょうか。数年後に企図するリタイアへ向けても、良い資産分散になりますね。
株式以上に債券は政策次第なところが大きいので断言は避けますが、妙味ありというのは私も感じているところです。
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インカムとキャピタルのバランスは永遠の課題ですね。
長らく債券はインフレ負けしかねないリターンだったのも事実です。
新NISAではやはり株式を中心に据えたいですね。