たぱぞうの米国株投資

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ハイパーインフレーションと株式・不動産・外貨の関係

ハイパーインフレが起きたらどうなるのか、という議論

 日本円の信認が無くなり、ハイパーインフレが起きたらどうするのかという議論は良くされますね。その論拠としては、1000兆円を超える国債が1つの有力なところになっています。

 

 国債を実質チャラにするにはインフレというのは確かに手っ取り早い側面はあります。日本円の価値を下げてしまえば、借金もそのまま希釈化されるからです。特に固定金利だと効果は大きいですね。

 

 とはいえ、リスクのほうがはるかに大きく、恣意的に行き過ぎたそういう状態を作り出すことはまずないと言っていいでしょう。

 

 また、モノの価値と通貨の価値のバランスでインフレになったり、デフレになったりするわけですが、日本のように生産供給力があり、債権国で通貨価値もある国だと、どちらかに行き過ぎる可能性は殆どありません。

 

 ちなみに、ハイパーインフレが起きると現金の価値が急激に下がるわけですから、預貯金や定額の年金生活者などは大きなダメージを受けることが予想されます。ハイパーインフレになれば国内経済は大混乱をきたし、社会不安を引き起こすことはジンバブエやベネズエラの例を見ても明らかです。

 

 日本においては、まだまだそこまでの切実な危機というのは迫っていないと判断しています。さて、ハイパーインフレに関連したご質問をご紹介します。

ハイパーインフレが起きたら株式はどうなるのか

たぱぞう様

 毎朝、通勤電車の中でブログを拝見しております。

 

 私は、投資歴一年の28歳会社員(独身男性)で、たぱぞう様、ウォーレン・バフェット氏、ジェレミー・シーゲル氏、ジェシー・リバモア氏の影響を受けて、下記のポートフォリオで、資産運用しています。


【ポートフォリオ】

  • 楽天VTI 40%
  • JT(日本たばこ産業) 50%
  • cash 10%

【会社の401K、マッチング拠出】

  • MSCI連動の外国株式インデックス

→こちらは限度額を上限まで設定し、極力数字を見ないようにしています。

※マッチング拠出加入企業の為、idecoの利用は不可。


【メリット】

  • 100%円での資産管理の為、管理が楽。
  • つみたてNISA、マッチング拠出を最大限利用することでの税金対策。
  • 特定口座で、JTの配当金狙いのポートフォリオである為、確定申告の事務手間が無い。


【デメリット】

  • JTが減配した時の損失→減配したら、即損切り予定。


 元手の資金が少ない為(奨学金の返済が、残り400万円ある為)、一点突破の集中投資でしばらくは資産運用したいと考えています。

 

 ところが、このポートフォリオには、大きな欠点があります。それは、日本でハイパーインフレが起こった時の影響です。もしも、ハイパーインフレ→急激な円安(1ドル220円位を想定)という危機的状況に陥ったとき、このポートフォリオだとどのくらい影響を受けると思いますか?

 

 纏まりのない文章で申し訳ありませんが、ブログのネタの一つとしてご回答いただけると助かります。

ハイパーインフレでは株式は有効なヘッジになる。外国株は殆ど最強と言ってよい

 さて、ご質問のハイパーインフレ時の株式リスクですね。楽天VTIに関しては、為替ヘッジをしていませんので、もし日本円がハイパーインフレになるようなことがあれば、円安ドル高、暴騰ということになります。海外に資産を分散させるという意味はそこにあるということですね。

 

 ちなみに、この20年近くドル円相場はボックスです。日本は長らくデフレ状態でしたが、米ドルは年率2%ほどのインフレを続けてきました。日本にいると気が付きませんが、そのため相対的に円の価値は下がっています。

 

 やや行き過ぎていますが、今年は特にそのことを感じる一年でしたね。

 

 かつては外国の人が日本に観光に来るのは高くてお話にならず、一部の富裕層のみでした。物価も相対的に安いと言われます。同じアジアでも、シンガポールや香港のような都市部のほうが物価ははるかに高いですね。この傾向は続くでしょうから、少なくとも2%を超えるような金融商品に投資したいというのが心理です。

 

 ハイパーインフレではないですが、国際的な目線では世界的なインフレ傾向の影響は受けているのです。

 

 次に、JTなどの日本国内の株式ですね。直近で言うとベネズエラの例を見てもわかるように、現地通貨建ての株式は暴騰します。不動産もそうですね。通貨に対するモノの価値が上昇するので、金も含めて資産は通貨に対して暴騰します。

ハイパーインフレと日本円

ハイパーインフレと日本円

 とはいえ、これは円ベースです。ドルベースなどではあまり変わらない、影響で業績が下がれば安くなるということです。JTの場合は、国際売り上げの比率が高く、多国籍企業です。そのため、ハイパーインフレの影響はあるでしょうが、リスクヘッジは内需中心の企業よりもされやすいと判断します。

ハイパーインフレに対応するというよりも、国際的な感覚を備えておきたい

 戦後の安定した経済成長のおかげで、日本円は信認があります。そのため、私たち日本人は資産の多くを円建てで持っています。しかし、海外では金やドルなどの外貨に分散させておくのは常識です。

 

 中国やベトナム、タイなどでは街中で金地金屋を見ることができますし、ドル建てで決済するほうが喜ばれる国もあります。コロナショックで起きた、急激な金融緩和は金相場の上昇、株式の上昇を短期的に見せてくれましたね。

 

 世界の均質化は今後も避けられないところで、日本円のみで資産形成していく時代は徐々に終焉していくのではないかと予想します。ハイパーインフレに備えるというよりも、世界的な感覚でドル資産、株式資産、そういったもので分散を図っていくというのは理にかなっていると思いますよ。

 

 ハイパーインフレという方法ではなく、コントロール可能なゆっくりとした速度で通貨の価値は下落していくのですね。もっとも、これは円だけでなく、ドルも含めてです。だから投資が必要になるわけですね。

 

 集中投資に関しても書きたいところですが、紙幅の都合でまた別の機会に。ご質問ありがとうございました。

 

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