ポートフォリオの組み換えで生じる確定利益、売却損
投資を始めたばかりだと、考え方が定まらず、軌道修正に迫られることがありますね。それは悪いことではありません。いつも流行りに飛び乗るのはパフォーマンスを下げますが、株式指数の場合はある程度過去と未来からわかることがありますね。
少なくとも10年、若ければ20年、30年と積み重ねる投資をしたいですね。いわば、今は通過点にすぎません。積み立て投資ならば、30年後も今と変わらぬ価値観で持ち続けることができるアセットを選ぶのが大事です。
さて、今回は多様なアセットを整理したいという方からのご質問を紹介します。
目先の確定利益、実現損、複利の関係をどう考えるとよいのか
はじめまして。投資歴4年ほどで、1年ほど前から毎日ブログを楽しみに見させていただいています。
突然の連絡で失礼しますが、誰に聞いていいかわからずメールさせていただきます。「複利」について質問させてください。
現在投資信託でいくつかのファンドを保有しています。全世界、日本、先進国、新興国、S&Pなどの投信やETFで、信託報酬はいずれも安いものばかりで長期保有のつもりで購入していました。
しかし、ちょうど先日の記事でもありましたが、私も最近多くのファンドを持つのが面倒になってきてシンプルに全世界株と米国株の2つだけにしたいと思うようになってきました。
現在保有している先進国や新興国ファンドを売って利益確定させ、米国株ファンドに買い換えた場合、「複利運用ではない」ということになるのでしょうか?
もちろん今後のパフォーマンスは保有するファンドで違いますし、一旦売却益に課税もされてしますのは承知しています。
実は今年40万ほどの売却損と、60万ほど含み損を抱えた売りたい個別株があるので、しっかり含み益があるニッセイ外国株式インデックスファンドとeMAXIS Slim先進国を売って、米国株投信に買い換えようか迷っているのですが、買い換えることによって株を長期保有することの最大のメリットである複利運用が享受できなくなるのであれば、それは嫌だなという思いもあります。
今後のパフォーマンスが同じとした場合、
- 安く買ったものをずっと持ち続ける
- 一旦売却して利益確定させてから、同時に買いなおして今後長期保有していく
この場合、①は複利だが、②は複利ではない、のでしょうか?
税を引かれる投資効率悪化を考えないでいい場合(今回の私の場合やNISAで保有しているファンドの場合など)、利益を確定させて多くなった元本を再投資しても複利になるという考え方でいいのでしょうか?
もしよければ教えてください。よろしくお願いします。
確定益と確定損で考えると、複利にこだわるより目先を取りたい
この場合は乗り換えたほうがいいですね。損失をすでに今年のどこかで確定させており、利益と相殺できるからです。配当もそうですが、確実に得られるメリットを確実に得るのも大事なことです。確定利益を確定損で清算していくことを優先してよいです。
先進国と新興国株式で利益が出ているならば、すでに損失が出ている部分で損益通算し、目先の20%の税金を圧縮するというのは理にかなっています。
複利というのはある意味では将来にかかわる利益で、これはこれから積み重ねていけばよいでしょう。
ところで、新興国や先進国ファンドを積み立てる根拠として、上記のモーニングスターさんの表があります。様々なアセットが入れ替わり立ち代わりリターントップになっています。一見すると、様々なアセットを組み合わせるのが最善と思われがちです。
しかし、これはあくまで単年でのリターンを見るもので、経年での成長を見取る表ではありません。積み立てて投資をしていくならば、経年で最も大きくリターンを示すアセットに加重した投資をしていくということに合理性があります。
そういう意味では、米国株や全世界投資に妥当性があります。新興国や先進国ファンドをあえてトッピングし、加重させていくというのは単年では効果があるかもしれません。しかし、長いスパンを意識したい長期投資では、とにかくシンプルなポートフォリオでコアサテライト投資をしていくというのが肝要ですね。
つまり、目指されているポートフォリオの再構成の方向性は正しいということです。複利であるなしにかかわらず、軌道修正してより分かりやすいポートフォリオ、より効果的な資産形成を目指されるとよいですね。
そういう意味では、個別株は入れ替えが必須になります。米国株は順張りが功を奏する株です。くすぶっている低リターンのものは適宜置換する必要があるということです。今回、個別株を処分されるというのは、これも理にかなっていますね。
加重させるならば、成長セクターが長期では良いです。
ご質問ありがとうございました。共にがんばりましょうね。
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株はシンプルに米国株ですね。先進国の低成長、新興国の夢がある中での非合理、これらは投資判断上なかなか難しいリターンを示しています。といっても、新興国は2000年代のように吹くことがたまにありますね。
自分の中で目線をもって投資をするということです。
為替リスクは無視できないことを痛感した年でしたね。