たぱぞうの米国株投資

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定時退社の仕事術。なぜ私たちは帰れないのか。

定時退社の仕事術。なぜ私たちは帰れないのか。

 私のいた職場は人によっては退勤時間がPM11時、あるいは午前様になるような職場でした。責任も重く、やりがいもある職場と言って良いでしょう。

 

 良いのか悪いのか別にして、私は学生のころから与えられた時間の中で最大限に効果を発揮する方法を考えることが好きでした。そのせいか、アルバイトも含めてほとんどの職場で私は仕事がかなり早いほうでした。今もそうです。

 

 生活の中で決して削らないものがあります。それは睡眠時間と趣味の時間です。これを削ると何のために生きているのか分からなくなります。睡眠は日常のクオリティを上げ、趣味は生きることへのモチベーションを上げてくれます。

 

 転職を2回していますが、いずれの職場でも私は残業をしたことはほとんどありません。かれこれ20年近く定時に上がり続けているということです。これは勤務先と同僚に恵まれたということにもなりますが、なぜそういうことが可能なのかを改めて考えてみたいと思います。

 

 もっとも、私は普通の社会人でした。誰もが知っているカリスマビジネスマンや上昇志向バリバリのプロ仕事人とは違います。ああいう向上心は30代前半では薄れてしまいました。人生において重要と考えることが変容したということです。

 

 そういう意味では、誰もができる定時退社術ということになります。気楽に読んでいただければと思って書いてみました。

定時退社のコツはどこにあるのか

 まず、定時退社にあたって必要な発想があります。

  1. 同時進行で仕事を行う
  2. 会議室で会議をしない
  3. 仕事(タスク)を箇条書きにする
  4. 自分の専門分野に投資をする

 「なんだ、この程度か」と思われるかもしれませんが、こういうことしかしていません。これは全く私の経験ですので、業界や職種が変われば当てはまらないことも考えられますが、ともかく述べてみます。 

1、「同時進行で仕事を行う」

 複数の仕事を同時に行うということです。たとえば、会議中に日報や報告書を仕上げてしまうとかそういう単純なことです。学生時代の内職と同じです。真面目な人が読んだら、怒られそうですね。しかし、一日の中で積み上げるとかなりの時間削減になります。

2、「会議室で会議をしない」

 私が主催できる会議に関しては会議室で会議をしないようにしていました。デスクの周りや現場など、その場でするようにします。いちいちメンバーを集めて、会議をするとそれだけで交渉して調整して、時間がかかります。

 

 あるいは、会議をする場合でも参加者がパソコンを持ったまま会議ができるようにします。

 

 会議をしながら他の仕事ができるからです。私自身、他のことをしながら会議に参加しますし、他の人にも黙認しています。特に合意形成や確認事項のみの連絡会議ならばこれで十分だと私は考えます。もし、会議の内容が完璧でなければ誰かに聞けばよいし、逆に完璧でない人がいれば教えればよいのです。

 

 発想を変えると、逆に一から十まで完全に覚えているほうが非効率です。だいたい会議というのは、時間に対して密度が薄すぎるのです。少々聞いていなくても問題ありません。たぶん。

 

 また、会議室に行くと、妙にゆったりして話が変に深まります。どうでもよいことを掘り下げてしまうことがあるのです。ほとんどの会議は合意形成のための地ならしであり、あるいは予定の確認のためでしかありませんから、簡単に終わらせたいものです。

 

 会議の体を成さない、雑談形式で物事を進めてしまうのもコツです。形式にこだわると、会議のための提出文書なども決まってきて煩雑になります。さっさと決定し、さっさと実行することが大事です。

 

 もちろん、逃れられない重い会議もありますが、終わりの時間をしっかりと管理すればこれも割ときちんと終えられます。

 

 ただし。この方向性で組織が効率よく機能するのは、人間関係が良いことが前提です。だから、より良い人間関係を作れているかどうか、フォローし合える関係性ができているかどうか、ここですでに勝負は決しているのです。

定時退社の仕事術。残業の照明が希望の光に変容することはまず、ない。

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3、メモをほどほどにする

 to doリストとでもいうのでしょうか。やることリストを作成します。私はA5サイズの紙を使っています。そこにやるべきことを箇条書きにするだけです。やるべきことが終わったら、線を引いてその箇条書きを消していきます。

 

 メモが消した線だらけになったら、残っている仕事を次のA5の紙に転写します。見にくくなるからです。少ない時で2,3個、多い時で15ぐらいの仕事を抱えます。すぐやれることや、重要度の高いものから処理し、消していきます。

 

 すべてを終わらせて退社することはありません。それは不可能だからです。時々、会議でもなんでも、メモを取りまくる人がいます。慣れないうちはそういうこともあるのでしょうが、書く内容を精選しないと情報過多になって効率が落ちます。

 

 必要な情報、必要な仕事だけを精選してメモします。そして、処理したら線を引き、次から次へとメモを捨てます。優先順位の高いものから実行していけば良いのです。

4、自分の専門分野に投資する

 専門分野への投資というのは、書籍を買ったりセミナーに参加することを指します。私のようなチャランポラン組織人でもかれこれ150万円以上、書籍やセミナーに使いました。多いのか少ないのか分かりませんが、部屋の壁は背丈以上の本棚が本でびっしりと埋まっていました。専門書は金額も高いです。

 

 あるとき、自分の仕事分野について本を書く機会に恵まれました。その時に読み返した本だけ手元にとっておき、残りは全て捨てました。出版物を出すということは自分の経験、知識と発想を絞り出す作業になります。ここで読み返さなかった本は、おそらくこれからも読まないだろうということです。場所がもったいないので捨てました。

 

 手元に残った本は、マーカーがたくさん引かれ、ポストイットがたくさん貼られていました。逆に捨てられた本は、そこそこのマーカーとポストイットでした。

 

 これらの専門書は読めば読むほど、学びが薄くなっていきました。最初はどの本を読んでもたくさんの気づきがあります。しかし、ある時から1冊につき数点程度の学びになります。既知であることが増えるのです。

 

 つまり、知識・知恵が自分のものになった瞬間です。この知識・知恵のストックが増えると、準備よりもその場で動ける力がつくので仕事が俄然早くなります。専門職は特にそうでしょう。実はこの専門知識、経験の蓄積が大きいのです。

 

 若い時こそ自分の専門分野に投資すべきです。年を取って家族や地域、役職を抱え込むと専門分野に関しての興味が薄れたり、時間が取れなくなったりします。想像もつかなかった劇的な変化です。

 

 ただし、書籍をさらに出版しようと思うならば、本はとっておいたほうが良い場合もあります。私の場合、仕事の専門分野での出版欲はあまりなく、そのためきれいさっぱり捨てました。退職、独立した今は元の仕事の専門書は一冊も残していません。

なぜ定時退社ができない、帰れないのか

 定時退社できない理由は、仕事の重点が人それぞれ、バラバラだからです。

 

 例えば、こういう価値観があります。

  • ある人は細かく正確な日報を書くことが大切だと言います。
  • ある人は、毎日の計画をきっちりと立て、ミスの無いようにすることが大切だと言います。
  • ある人は売上さえ伸びればよいと言います。
  • ある人は利益さえ上がればよいと言います。

 結論から言うと、どれも大切です。そのため、どこの職場においても、全て大切にした仕事スタイルが出来上がっています。つまり、いちいち細かくなっているのです。あんまりまじめすぎると、どれも大切にして、結果的につぶれていきます。

 

 日本の生産性が下がっているのは私はこういうことだと思っています。細かく仕上げるのは日本人の気質に合っているのです。

 

 米国株を選好するのは、日本の組織にいて、その強みも弱みも十分肌で感じた結果です。こういう無駄なことを山ほどしていては国際競争に勝てません。これは、うちの組織だけでなく、恐ろしいことに日本全体が高度に複雑化してきていることからもみて取れます。

 

 個人に話を戻します。つまり、自分なりに「これ!」と思うものを大切にしてあとは適当にそれっぽく仕上げてしまえばよいのです。「これ!」というもの、それが本質ということになります。

 

 私が大切にしていることは1つです。

 

 「心を通い合わせること」

 

 この一点でした。だからシンプルに仕事を組み立て、なるべく時間を顧客や同僚のために使いたいと思うのです。そして、意外にこれさえできていれば、他が適当でも意外に許されます。

 

 もちろん、職場によっていろいろ大切にするポイントは違います。しかし、仕事の特性を踏まえて「仕事の本質」を見抜くことで、無駄な努力、無駄な時間を省けることは間違いありません。

 

 私たちは、自分の身の回りから働き方改革、生き方改革をしていかなくてはいけない時期に差し掛かっています。その改革とは、「引き算の発想」で要らない仕事を減らしていくということです。

 

 そのためには中堅、あるいはベテランが率先して定時に上がるというのは意味があると私は思っています。

 

 「引き算の発想」というのは、仕事だけでなく、自分の生活においても必要だと確信しています。生きる時間は限られており、価値あることにリソースを最大に振り分けるということですね。

 

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