「バロンズ・ダイジェスト」という金融情報誌
みなさんは「バロンズ・ダイジェスト」をご存知でしょうか。かつて「バロンズ拾い読み」といった媒体ですね。
これは、NYダウ算出に関わる「ダウ・ジョーンズ社」が発行する「バロンズ」を日本人向けに抜粋、日本語訳して提供される金融情報誌です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券など米国株を扱う証券会社各社の利用者であれば読むことができます。
日本語版はエグゼトラスト社によって販売されています。市況解説や銘柄紹介をピックアップして掲載しており、読み応えのなる中身になっています。
さて、今回はこの「バロンズ・ダイジェスト」に関してご質問を頂いています。
バロンズ・ダイジェストに基づいて売買をしています
たぱぞう様
初めまして。いつも楽しくまた興味深く拝見させていただいております。ありがとうございます。さて、問い合わせの件ですが「これからのプラン」についてご教授頂ければ幸いです。お忙しいところお手数ですがよろしくお願いします。
当方53歳で近年は本格的にアメリカ株中心の投資を行っております。現在の保有株は個別銘柄が中心で昨年からは「HDV.SMH.XLP」等のETFも購入し少しではありますが保有しております。仮想通貨も少々。
ご相談はたぱぞう様はじめ多くのブロガーの方がETFや債券の保有を勧めておられる中、年齢も考え自身も「このままでいいのだろうか?」というフィーリングになっております。
極端に言いますと個別銘柄をすべてETFや債券などに変更すべきではないか?と考えています。というのは私自身に投資の知識はなく(勉強はしておりますが)お恥ずかしい話ですが個別銘柄の購入動機がすべて「バロンズ・ダイジェスト」だからです。
「この企業は妙味がある・割安・正しい評価をされていない」などなどのアナリストたちのコメントを何のロジックもなく鵜吞みにして購入しているからです。幸いにも昨今の好況やビギナーズラックといいますか、どの銘柄も十分すぎるほどのリターンをもたらしてくれています。
しかしこのまま保有し続けるのはリスクが高過ぎるのではないか?と考えています。漠然とした内容で申し訳ありませんがたぱぞう様のお考えをお聞かせください。
ちなみに当方アーリーリタイヤなどは考えておらず生涯現役で働けるものならどんなアルバイトでも構わないので仕事は持ちたいと考えております。老後の蓄えとしては退職金はありませんが家のローンは終わりに近づいており不労所得として地方のアパート経営があります。
また若いころに加入したいわゆる「お宝保険」もあと数年で満了を迎え、私が亡き後も妻の生活への不安はそれらでなんとか賄えそうな状態です。以上よろしくお願いいたします。
バロンズ拾い読みは銘柄を幅広く知ることができる
まず、バロンズ・ダイジェストは、良い情報源になると私は思っています。賛否あるでしょうが、少なくとも米国株初心者の方にとってはそうです。理由があります。
- ネット証券に口座開設すれば無料で読める
- 幅広い銘柄を紹介しており、米国企業を知るきっかけになる
- トレンドがある程度わかる
こういうことです。ブログなどと同じく、無料で情報が得られます。しかも、業界の著名人などにインタビューをしてあったり、トレンドとなるニュースを取り上げていたりして、読み応えのあるものになっています。手広く簡単に情報を得る手段として活用している人は多いです。
情報誌で売買銘柄を決めるというやり方
情報誌で銘柄紹介をされていると、あたかもその銘柄が良いかのように錯覚しがちです。しかし、最終的に大事になるのが自分の判断です。個別株投資はプロでも外れることがあります。
ところで、有名なバフェット氏がIBMに投資をしたのが2011年です。かつてハイテクには手を出さないと明言していたバフェット氏がIBMを買ったということで大きな話題を呼びました。しかもポートフォリオの主力となるまで買い進めていました。
しかし、期待されたような成長をすることは無く、バフェット氏も「Amazonを買っておけばよかった。」というような自省の言葉を述べていましたね。
その後、2018年に入り、バフェット氏はIBM投資から殆ど撤退をしました。つまり、あのバフェット氏でも百発百中ではないのです。これからのIBMがどうなるかは分かりませんが、少なくともバフェット氏が期待した期間に期待したリターンを上げることは無かった、そう言えるでしょう。
その後バフェット氏がAAPLで大きな利益をあげているのは周知のとおりです。
個別株投資とはそういう出入りの激しい側面もあるということです。そのことを踏まえて情報誌の活用方法を書いておきます。
- オーサー、つまり誰が書いているのかチェックする
- 自分でも銘柄を調べる
- 納得した銘柄を買う
こういうことです。
雑誌には複数の書き手がいます。彼らは押しなべてモノを書くプロですが、銘柄分析のプロではない場合があります。誰が書いているのか、誰の意見なのか、これを見極めることが大事です。つまり、署名記事で誰が書いているかを知っておくと良いですね。情報は属人性が大事です。
書籍においても編著よりも単著のほうが質の高いものが多いのは、同じ理由です。新聞もそうですね。情報というのは多く属人的な気質があるのです。
次に、面白そうな銘柄を見つけたら、自分でも調べます。企業の永続性、売り上げの伸び、営業利益率、営業利益の伸び方、キャッシュフローの推移、自社株買いのペース、業界の様子、配当性向など様々な見方があります。
自分で大事にするポイントを決めておくと良いでしょう。ただ、これらの諸数値は過去のものであり、盤石の未来を示すものではないことに注意が必要です。
これらを加味して、納得して買うということです。上昇相場では問題は少ないですが、暴落相場では腹落ちする要素が無いと不安に駆られて底値で投げてしまうということになりがちです。
ETFはこういう心配がありません。市場全体、あるいは国全体、セクター全体に投資ができるからです。その分、リターンは限られており、個別のような大当たり、そして大外れもありません。
今は、より落ち着いて相場に望めるのはどちらかを検討される良い時期ですね。
関連記事です。
配当、分配金で収入を増やすのは難しいことではありません。
資産を増やす最適解ですね。
両方とも投資の入り口として最適です。