証券保管振替機構【保振『ほふり』】とは
証券保管振替機構【保振『ほふり』】という機関があります。これは、文字通り証券・株券の保管や受け渡しを行うための機関です。証券会社からは独立した機関として機能しています。
私たちは株券を通常証券会社を通して売買しています。証券会社がそのまま保管をすると、万一証券会社の経営が揺らいだ時に、預けた株券も一緒に破綻となりかねません。自社の資産と顧客の資産を分けない場合はそうなりますね。
また、私たちが手元に株券を保有するのも、受け渡しを考えると非合理です。風水害や盗難による損壊、遺失も考えられます。昔の株券が旧宅から出てきた、という話が今もありますが、これは電子管理される前の株券ですね。
今はこれらのトラブルを避けるために、証券保管振替機構【保振『ほふり』】で私たちの証券を保管、受け渡しをしています。
このため、私たちは証券会社の経営状況を心配することなく、自由に株式取引ができるというわけです。株式のやり取りが昔のように株券の受け渡しではなく、電子化による帳簿上のやり取りになったことも大きいですね。
証券保管振替機構【保振『ほふり』】のような中立の機関で、分別管理し、帳簿上のやりとりで売買ができるようになったということです。
米国の証券保管振替機構【保振『ほふり』】、DTC
米国市場においては、同じようにDTC(The Depository Trust Company)という存在があります。これは、米国における証券保管振替機構【保振『ほふり』】のような機関です。
ちなみに日本の証券会社は、米国株取引においてはマネックス証券を除いてInteractive Brokers, Inc.を現地取次機関として使っているケースが多いです。この場合は、DTCにIB証券を通して日本の証券会社名義で混蔵保管をしています。
混蔵保管というのは、預けた人名義でそれぞれに保管されるのではなく、同銘柄の証券と区別することなく保管されることを指します。これは、証券保管振替機構【保振『ほふり』】もDTCも同様の保管方法です。
余談ですが、Interactive Brokers, Inc.がダウンすると日本のネット証券での米国株取引もダウンします。これはそのような事情があるわけです。
マネックス証券の場合は、TradeStation Group, Inc.を自社グループ傘下に置いており、現地取次機関が別になっています。
いろいろと書きましたが、証券会社の経営に左右されないよう、私たち個人投資家の株式資産は管理されていると理解しておけばよいですね。
さて、前段が長くなりましたが証券保管振替機構【保振『ほふり』】に関するご質問を紹介します。
私たち投資家の資産はどのように守られているのでしょうか
たぱぞう様、いつもブログ楽しく拝見しております。
私は45歳独身男性です。現在派遣会社の社員として、大手のプラント会社で働いております。激務な業界で、常にセミリタイヤが頭にあります。
ニュースなどで「老後資金2000万円問題」を目にする機会があり、現在の投資方針に少し迷いが生じました。そこで今後の投資の方針に関してご教示いただけますでしょうか?
下記、たぱぞう様のご意見伺えますと幸いです。
【相談内容】
一つの証券口座に1000万円以上の資産はあずけるのは問題ないでしょうか?複数口座に分けるべきでしょうか。
証券会社が破たんしたり、ネットの攻撃でセキュリティに問題が発生したり、何らかの問題があった場合、保証されるのは一つの証券口座につき1000万円分までとなっているので、現在の楽天証券に継続して積立を続けるのは問題でしょうか?
【資産内訳】
約2000万
- 投資信託 約1300万(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)等。NISA360万、毎月¥27,000積立)
- 預金 約400万
- ideco 約300万 (楽天VTI 毎月¥23,000積立)
お忙しい中恐縮でございますが。宜しくお願い申し上げます。
証券保管振替機構【保振『ほふり』】による管理と更なるリスクヘッジ
証券保管振替機構【保振『ほふり』】による分別管理がされており、資産は安全であるというのは前段申しあげたとおりです。
万一、何らかの事故で管理がうまくいっていなかった場合も、日本投資者保護基金にて一千万までは保証される仕組みになっています。
ただ、いくつかの証券会社を使い分けるのは悪くないですね。
私もSBI証券、楽天証券、マネックス証券、サクソバンク証券と分散をしています。そのほうが落ち着くならば、ということになります。
いずれにしても、ご懸念のような共倒れというのは考えにくいことですので、トレードに集中してよいですね。それでも気になるならば、証券会社を分散するということになります。
これはこれでいろいろとサービスが比べられて面白いですけどね。
関連記事です。
楽天証券の記事ですね。
こちらはSBI証券のメリットデメリットです。
こちらはマネックス証券です。