たぱぞうの米国株投資

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S&P500レバレッジ3倍ETF【SPXL】をどう考えるか

S&P500レバレッジ3倍ETF【SPXL】とは

 S&P500は米国の大型500株の集合体です。AmazonやMicrosoft、apple、ボーイング、ジョンソンエンドジョンソン、ファイザー、などなど米国を代表する銘柄が組み込まれた、最も有名な米国株ETFの1つです。

 

 このS&P500にレバレッジ3倍をしたものが【SPXL】ということになります。経費率は0.96%と少々高めです。しかし、レバレッジ3倍という付加価値を考えると妥当な線でしょう。ちなみに、現段階ではこのS&P500に関連した商品は以下のようになります。

S&P500連動のETFは他にどのようなものがあるか

SPY 最も歴史があり、運用額は全ETFの中で世界一
IVV ブラックロックでトップの運用額。
VOO 低コストETFで有名なバンガードのETF

  大きく3つあります。機関投資家は流動性の高いSPYを好みますが、個人投資家であれば、経費率が0.04%と安いIVV・VOOが良いですね。チャールズシュワブなど他社からもっと経費率をおさえた商品が出ていますが、日本の証券会社を使うならばこの3つが一般的です。

 

 SPGIに支払う指数使用料を考えると、貸株があるとはいえ、ほとんど下限の経費率でしょう。

 

 なお、経費率の差が倍あることから、近年ではSPYはやや運用総額を減らしており、IVV・VOOは運用総額を増加させ続けています。いずれSPYも経費率競争に巻き込まれる時が来るのでしょうね。

S&P500連動の投資信託

 2018年から、投資信託でもS&P500連動の商品が安価で買えるようになりました。候補としては以下の2社の投資信託に絞られます。

社名 商品名
三菱UFJ国際投信 eMaxis Slim 米国株式(S&P500)
大和証券投資信託委託 iFree S&P500 インデックス

 より信託報酬が安いのはeMaxis Slim 米国株式です。現時点でのS&P500連動投資信託の最適解ということになりますね。この2つはつみたてNISAやiDeCoでも購入できます。三菱さんはmattocoという口座サービスを立ち上げていますね。

 

 こちらは日本円で購入でき、つみたてNISAにも対応している商品です。投資を始めたばかりの人にはこちらのほうが買いやすいでしょう。

 S&P500レバレッジ3倍ETF【SPXL】の構成銘柄

 以上のことを踏まえ、SPXLについてみていきましょう。

 基本的にはS&P500の構成銘柄になるのですが、構成銘柄トップ10を見てみます。

Symbol Name %
AAPL Apple Inc 4.10%
AMZN Amazon.com Inc 3.49%
MSFT Microsoft Corp 3.23%
GOOGL Alphabet Inc 3.09%
GOOG Alphabet Inc 3.06%
BRK.B Berkshire Hathaway Inc 1.97%
FB Facebook Inc 1.72%
JPM JPMorgan Chase & Co 1.42%
JNJ Johnson & Johnson 1.37%

 この数年で急激にITハイテク系が増えましたね。以前はエクソンやプロクター&ギャンブルなどの伝統的な企業も見られましたが、トップ10圏外になっています。実質的にはGoogleが1位ということですね。

 S&P500レバレッジ3倍ETF【SPXL】と【SPY】の比較

 それでは、SPXLとSPYの比較をしてみましょう。

SPXLとSPYの比較

SPXLとSPYの比較

青=SPXL

赤=SPY

 S&P500レバレッジ3倍ETF【SPXL】のパフォーマンスの単純比較です。10年チャートだとSPYがおよそ3倍、SPXLが18倍になっています。素晴らしいパフォーマンスですね。SPYは分配金再投資をすると、パフォーマンスはもう少しよくなります。おおよそ4倍ですね。

 

 2018年以降のチャートも比較してみましょう

2018年以降のSPXLとSPYの比較

2018年以降のSPXLとSPYの比較

 SPYも決して値動きが少ないわけではありません。しかしSPXLと比べるとまるで、SPYが債券のように感じますね。レバレッジ3倍というのはそういうことで、シンプルに言うと、上にも下にも3倍動くということです。厳密には減衰する分があるので、多少変動します。

人気があるS&P500レバレッジ3倍ETF【SPXL】

 このS&P500レバレッジ3倍ETF【SPXL】をどう考えるかということですね。このSPXLは大変人気があり、国内証券でも売買ランキングでしばしば上位にランクインします。その理由を書いておきます。

レバレッジ商品が人気がある理由

 まず、うまく使えばレバレッジですから投資資金に対して大きなリターンを得られるのは間違いないところです。それは、上記の値動きを見ても確かです。そういう意味では、キャピタルゲインに適した投資先ということになるでしょう。

 

 ただ、長期ホールドしている人は少ないですね。理由は3つあります。

  1. 値動きが激しい
  2. 経費率が高い
  3. 上下動を繰り返すことで、徐々に減衰する面がある

 まず、値動きが激しいので、資産総額の上下動も大きくなります。長期投資家は債券なども視野に入れる傾向があります。これは比較的マイルドな値動きを好むからですね。値動きの激しさというのは、短期売買筋に好かれます。短期でのボラティリティで利益を出していく、トレーダータイプですね。

 

 次に経費率の高さがあります。約1%という数字はギリギリ長期保有の許容の数字ですが、それでも気になる人は気になるでしょう。

 

 最後に、上下動を繰り返すことで減衰することが避けられない性質を持つということです。これはレバレッジ商品の宿命ともいえ、ブル系のレバレッジ商品はもとになる指数の上昇が必須と言えます。横ばいやボックス相場だと、レバレッジの分戻り切らずに徐々に取引値を下げていくことになります。逆の複利効果が働きますね。

他にもある、米国ETFレバレッジ商品

 米国市場にはレバレッジ商品が多くありますので、併せて一部を紹介しておきます。

  • 【CURE】米国ヘルスケアブル3倍
  • 【DRN】米国REITブル3倍
  • 【EDC】新興国株ブル3倍
  • 【EDC】新興国株ブル3倍
  • 【INDL】インド株ブル3倍
  • 【FAS】米国金融株ブル3倍
  • 【LABU】バイオテックブル3倍
  • 【NUGT】金鉱株ブル3倍
  • 【TNA】米国小型株ブル3倍

 こういったものがあります。いずれも、市場動向に合わせたうねり取りをする投資家に人気があります。

SPXLのリスクは常に頭に入れておきたい

 レバレッジや借金というと、多くの人が悪い印象を持つのではないでしょうか。ただし、このレバレッジをうまく使うと、一気に資産を増やすこともできます。例えば不動産投資家や太陽光投資家は殆ど借金が前提となる投資をしています。

 

 ただし、実物投資の場合は比較的収支が読みやすいというのがポイントです。電卓をはじいて、収益見通しにストレスをかけていくというのが基本になります。この読みはある程度完成されており、確度という意味では株式投資の値動きの比ではありません。

 

 それに対して株式投資で値動きを予想するのは至難の業です。財務諸表が読めても、業績が当てられても、株価を当てることは難しいのです。これが、株式投資におけるレバレッジの醍醐味でもあり、リスクでもあります。長期はともかく、短中期の確度が低いのです。インデックス投資が誰でもできる投資とされるゆえんです。

 

 とはいえ、CFDなどもそうですがチャレンジ自体は悪いことではありません。資産を増やすという意味において、自分の引き出しを持っておくのは意味あることです。すでに守りに入っている投資家には馴染みませんが、アグレッシブに資産を増やしたい投資家にとってSPXLなどの高リスクETFは相性が良いでしょう。

 

 中級以上の投資家向けの商品ということは言えそうです。リスクリターンを踏まえて、どの程度のポジションを取っていくかということですね。レバレッジ3倍ということは、リスクも3倍です。

 

関連記事です。

  CFDも使い方次第ですね。いきなり投資するのではなく、少額投資でCFDのようなレバレッジ投資をしてみるのは悪くありません。ただし、あくまで余剰資金ということになります。

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  こちらは150年チャートです。長期ならば、と思うかもしれませんが短中期的な上げ下げ、1%近い信託報酬、これに耐えられるメンタルを持つ人は多くありません。

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  ここでの米国株暗黒期のような時代になるとレバレッジ系は大きな損失を生むことになります。

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