東証株価指数【TOPIX】とは、東証1部すべての株を含む株式指数
東証株価指数【TOPIX】とは、東証1部すべての株を含む株式指数です。日経平均と並んで日本を代表する株価指数と言ってよいでしょう。
関連して、東京証券取引所が、東証1部、2部などの区分を見直そうとしています。2018年秋に始まった有識者会議では、東証1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場体制の再編、特に東証1部の扱いをめぐって議論が交わされています。
東証1部上場企業と言えば、大企業の代名詞と言っても良いでしょう。しかし、かつてに比べると東証1部銘柄というのは倍増しており、その意味は薄れつつあります。もちろん、企業数の変動にTOPIXも大きな影響を受けてきました。
現在の東証の現状の確認をしつつ、今後期待することを書いてみたいと思います。
東証1部2部、マザーズ銘柄数の推移
西暦 | 東証一部銘柄 | 東証二部銘柄 | マザーズ |
---|---|---|---|
2018年 | 2,128 | 493 | 275 |
2015年 | 1,934 | 543 | 220 |
2010年 | 1,670 | 431 | 179 |
2005年 | 1,667 | 506 | 150 |
2000年 | 1,447 | 579 | 29 |
1995年 | 1,253 | 461 | --- |
1990年 | 1,191 | 436 | --- |
上場株の殆どすべての銘柄が東証1部を目指すことになります。そのため、この30年で東証1部銘柄数が激増しています。これには大きな理由があります。まず、退場の基準が緩いことです。退場基準と上場基準を続いて見てみましょう。
東証1部2部の退場基準と上場基準
主な退場の基準は以下の通りです。
- 株主数400人以下
- 時価総額10億円以下
- 債務超過が1年以上続いた時
時価総額が10億円を下回るような状態が長く続くようだと、おのずと退場になるということです。また、株主数が増えず、流動性が乏しい場合も退場の可能性があります。近年では東芝が東証2部になっていましたね。
続いて東証一部上場審査基準を見てみましょう。
- 株主数2200人以上
- 時価総額250億円以上
- 連結純資産の額が10億円以上
- 最近2年間の利益の額の総額が5億円以上か、時価総額500億円以上
審査基準ですので、全てを必ず満たさないといけないというわけではないですね。
これからわかるのは、マザーズなどと同じく「上場ゴール」というのがありうるということです。つまり、一度でも東証1部に上がってしまえば退場の憂き目を見る可能性は低いということです。与えられた条件を常にクリアし続けなくてはいけないわけではないということですね。
東証1部になるメリットは企業側には大きい
実は東証1部になるメリットは企業側には極めて大きいです。まず、ネームバリューが違いますね。「東証1部上場企業」というだけでもインパクト、ブランド力があります。また、実際的なメリットとしては、TOPIX連動投信などに買われ続けるのも大きいです。
経営努力をして企業価値を上げようとも、現状維持、あるいは業績が低迷していても東証1部ということでパッケージにして買ってくれるわけですね。しかし、日本の上場企業の多くが東証1部となっている今、弊害が指摘されています。
東証改革とともに、上がらないTOPIXをどうするか
TOPIXは東証1部銘柄を対象とします。そのため、2000銘柄を超える買い付け対象があることになります。規模だけ見ても時価総額が40兆円を超える企業から、数十億円の規模の企業まであります。つまり、幅が広すぎるということです。
米国株で言うならば、ラッセル2000のような状態になっているということですね。東証では、こうしたことから「市場構造の在り方等に関する懇談会」を発足させ、有識者から意見を募っています。
上記チャートはTOPIXのチャートです。見ての通り、バブル期を頂点に、緩やかに下落、ボックス相場を描いています。リーマンショック以後は1000ポイントを超えることもままならない状態でした。
しかし、今はアベノミクスによる日銀のETF買い入れにより、底上げされています。逆に言うと、中央銀行の買い入れがあってもなかなか上がらない指数と言えます。
東証改革の結果、TOPIXとは別に東証プレミアム市場・指数ができるとするならば
こうした実情を踏まえ、選別した企業からなる市場を作ろうという動きがあります。「プレミアム指数」とか「プレミア指数」とか言われるものがそうです。もし、プレミア指数ができれば、銘柄はグッと絞られるはずですし、指数としての魅力も増すものと思われます。
ただ、1点気になるのは流動性とそれを担保する株数、時価総額も大事ですが、何より大事なのは選別される企業の質がどうかということです。
- ROE(株主資本利益率)
- 営業利益率
- EPS
- 営業CF
- 負債比率
つまり、安定した利益成長が見込める企業かどうかが大事です。規模だけ大きくて、利益が上がらない、利益が伸びない、株価が伸びない企業はたくさんあるのです。それと同時に、財務健全性、例えば有利子負債の比率なども重要でしょう。
とにかく、日本市場に投資資金を呼び込むためには、「伸びるインデックス指数」を作り出すことが喫緊の課題です。指数と市場は違いますから、指数は改革とは直接的には無関係です。しかし、この東証改革が伸びる指数創設につながる端緒となれば良いと思っています。
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TOPIXだけでなく、日経平均もなかなか上昇しませんね。こちらもまた大きな課題です。インデックス投資が難しい状況になっています。
TOPIXの30年チャートを基に記事を書いています。国内市場の最も有名な指数が上昇しないというのは、国民の資産形成上大きな課題だということです。
これに対して、旺盛なオフィス需要に支えられて東証REIT指数は堅調です。しかし、景気の影響を大きく受ける指数ですから、手放しの安心は禁物です。