たぱぞうの米国株投資

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東証REIT指数はなぜ堅調なのか

東証REIT指数が底堅い動きを示している

 東証REIT指数が底堅い動きを示しています。下図は東証リート指数の1年チャートです。

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※SBI証券のチャートから

 見ての通り、2月の株価調整では連れ安したものの、10月の株価調整ではほとんど影響を受けませんでした。これに対して、下図のTOPIXは2月よりもむしろ10月のほうが落ち込んでいます。

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 東証リート指数のチャートは、2月よりも深い落ち込みを見せたTOPIXとの違いが鮮明です。一般的にリート指数は株よりも景気に敏感で、ボラタイルなものです。それが今回は全く違う値動きを示したということで、面白い傾向にありました。

 

 今回は堅調な東証REIT指数は債券の代替になるのではないか、ということでご質問をいただいています。

堅調な東証REIT指数は債券の代替になりうるのではないか

たぱぞう様

 はじめまして。いつもブログ拝見しております。いつも丁寧で分かりやすい解説をしてくださるので、毎朝7時の更新が楽しみです。


 さて、今回の下落相場を見ていて気になったことがあったので、意を決して質問させていただくことにしました。


 今回の下落ですが、日経平均やトピックスに比べて、東証REIT指数の下落幅が小さいのは何か理由があると思われますか?今年2月の下落の際は日経平均につられて下落していたと思ったのですが。実際、8951日本ビルファンドなどは日経平均の動きとあまり関係なさそうに上昇基調を続けているように見受けられます。


 もし今後もREITの下落幅が限定的なものに留まるなら、債券的な位置付けとして検討してもいいのかと思った次第です。


 当方、まだ投資を始めて2年くらいの初心者ですので、見当違いのことを言っていたらお恥ずかしいです。それと、最後になってしまいましたが、米国株にまったく関係ない質問をして申し訳ありません。

東証REIT指数が底堅い要因

 東証REIT指数はこのところ非常に好調です。

 

 ちなみにリーマンショック時の時は、東証リート指数も株と同じように大暴落をしました。そのため、利回りが10%を超えるようなREITもゴロゴロありました。当時は日本でREITが生まれたばかりということもあり、ヒストリカルなデータの蓄積が無く、個人投資家でもあえて買い向かう人が少なかったですね。

 

 しかし、そのころに買っていた人たちはキャピタルもインカムも得られるお宝を拾ったことになります。

 

 米国のリートETFであるiShares US Real Estate ETF【IYR】やSPDR Dow Jones REIT ETF【RWR】を見ても、株よりも激しい値動きを示すことが多いですね。

 

 では、なぜ今回は違ったのでしょうか。それは、それだけ不動産の需給がひっ迫しているからです。

オフィスの空室率はバブル以後では最低水準

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※三鬼商事のサイトから

 

 上図はリーマンショック後、ギリシアショック時の東京のオフィス空室率推移です。おおむね8%後半から9%前半で推移しています。札幌や福岡といった地方都市ではもっと高水準で、10%を超える空室率でした。

 

 不動産は空室率をある程度見込んで商品化します。それでも10%を超える水準というのは体力のないところにとっては厳しい水準ですね。それだけ投資に対する利回りが落ちます。

 

 その空室率は2018年は2%台前半まで下がっています。ほとんど満室状態と言ってよく、オフィス需要は旺盛と言ってよいでしょう。この水準は、ほとんど0%台だったバブル期には及びませんが、リーマンショック直前のころの水準よりも良い数字です。バブル以後では最良の時期ということです。

オフィス賃料も回復基調にある

 オフィス空室率の低下に伴い、オフィス賃料も回復傾向にあります。

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 平均賃料も2014年ごろまでは低迷したままでしたが、それから2018年まで右肩上がりで来ています。4年間でおおよそ1.4倍の水準まで上昇しています。バブル期の半値ではありますが、それでも近年では高止まりしているほうです。実に57か月連続で平均賃料は上昇を続けています。

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 こういう背景から、不動産市況に連動する東証REIT指数は底堅い値動きを示しています。不動産市況が大変好調なので、売られる理由が無いというわけです。ただし、だからと言って債券と同等の安定感があるかと言えば、それはやや早計ですね。

 

 結局東証REIT指数も市況次第ですから、本格的に景気が悪くなれば当然下がります。

 

 とはいえ、米国株もそうですが、基本的には企業業績は悪くありません。本格的なリセッションを迎えるときには経済指標のほとんどすべてが悪くなります。そういう意味では、2018年2月と10月の調整は今のところは恐れる必要は無いものです。

 

 過度のポジションは不要ですが、リスクを取らないリスクもあります。うまく相場と付き合っていきたいですね。

 

関連記事です。

  Jリートの総本山?である不動産証券化協会【ARES】に取材に行った時のお話です。Jリートの魅力に迫ります。

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  米国リートETFといえばIYRかRWRというぐらいに有名なETFですね。

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  こちらは米国REITの考え方と使い方です。

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