できたてほやほやインフレ恩恵ETF 【PPI】
当ブログでは昨今の米国のインフレを追い風に受けるETFをすでにご紹介しています。例えば、米国Horizon Kinetics社が運用している"Inflation Beneficiaries ETF"、ティッカー【INFL】がありました。
【INFL】は2021年1月11日に設定された日が浅いETFですが、インフレが顕著になってきたのは2021年秋ぐらいですので、近未来をなかなか言い当てたETFの設定であったように思います。
出典: US版 Yahoo Finance
インフレが顕著になれば、インフレを追い風にするETFの設定が増えるというものです。日本の投資信託なら流行りのテーマ型みたいなものでしょうか。
今日ご紹介する【PPI】はインフレが顕著になってきた2021年末に設定されたものです。
AXS Astoria Inflation Sensitive ETFとは
“AXS Astoria Inflation Sensitive ETF”、ティッカー【PPI】はインフレから直接的または間接的に利益を得る可能性のある「インフレに敏感な」資産で構成されるETFです。
米国AXS investments社が2021年12月30日に運用を開始しました。
マーケットはNYSE Arca、経費率は0.7%です。
分配は年1回の予定です。ベースとなるインデックスは無い、いわゆるアクティブETFです。投資対象は、株式に限らず債券や商品もOKというETFです。また、米国以外の国も投資対象にされています。
AXS investment社は、インフレの上昇から恩恵を受ける可能性があると考えている企業として、金融サービス企業、生活必需品企業(住宅建設業者や家庭用耐久品など)、産業機械、金属、鉄鋼を生産する企業、探査、生産、輸送、鉱業とコモディティ資産(石油、ガス、石炭、農業、鉱業、その他の実物資産など)を挙げています。
2021年末まで飛ぶ鳥を落とす勢いであった情報技術セクター銘柄は対象外ということでしょう。詳しくはのちほどETFの構成銘柄で確認することにします。
【PPI】のチャート
2021年末に設定されていますので、レコードは少ないですが、さしあたり設定来をS&P500と比較してみました。
S&P500の逆張りETFとでもいえそうな好対照な動きです。2022年に入ってからのマーケット環境における銘柄選択がうまくいっているということでしょう。
出典:US版 Yahoo Finance
PPIの構成銘柄
設定されてから日が浅いため、設定時の構成がFact Sheetで公開されています。設定時は48銘柄で構成されています。
出典:AXS investment社
上位にはエネルギー産業と金融サービス企業が多いです。少し銘柄に触れましょう。
Devon Energy Corporation デボン・エナジー 【DVN】
米国の独立系エネルギー会社です。S&P500採用企業です。
APA Corp. APAコーポレーション 【APA】
天然ガス、原油、天然ガス液の探鉱、開発、生産を行う独立系エネルギー会社です。
S&P500採用企業です。
ConocoPhillips コノコフィリップス 【COP】
米国の独立系エネルギー企業。世界各地で石油と天然ガスの探鉱・生産を営んでいます。
S&P500採用企業です。
EOG Resources, Inc. EOCリソーシズ 【EOG】
米国とカナダで天然ガス・原油の探鉱、開発、生産、販売を行っている企業です。
S&P500採用企業です。
Marathon Oil Corporation マラソンオイル 【MRO】
米国の大手エネルギー会社。米国、カナダ、赤道ギニア、ノルウェー、英国等で石油・天然ガスの探鉱、生産を行うっています。S&P500採用企業です。
2022年に入ってからはエネルギーセクターが好調ですから、好調な値動きの恩恵をまともに受けている格好ですね。
紹介した5銘柄はすべて米国のエネルギー企業ですが、構成銘柄一覧には、ヨーロッパやオーストラリア、南米の企業も存在しています。また、ETFなどでコモディティにも投資しています。
出典:AXS investment社
PPIは「賞味期限の見極め」が肝心といえそう
設定から日が浅いこともあり、オンライン大手3社での取り扱いはありません。
FRBは今後少しずつ利上げしていくであろうと想定すると、金融政策としてインフレとは戦うスタンスであり、インフレの恩恵を受けるETFもいつか陰りが見えることでしょう。
であれば、このETFが日本で取引できるようになったころ、果たして「おいしい」ETFかどうかは微妙と言えそうです。
比較的短期間でインフレ恩恵を受ける銘柄を探したいという要望には、【PPI】の銘柄選択が参考になると思います。
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コアにするならば円建てのメジャーなETFか投信で十分ですね。
今年のどこかのタイミングで仕込み時が来る、かもしれませんね。
当然ですが、あらゆるバックテストはあくまで参考ということです。