GURUというヘッジファンドを参考にしたETF
今回はGURU・ETFというヘッジファンドの後追いETFについてのご質問をいただきました。前置き無しにさっそく本題に入りたいと思います。
いつもブログ拝見しています。(以下引用)
先日、日経新聞でアメリカのGURUというETFのことが紹介されていました。著名なヘッジファンドが買い付けた銘柄に分散投資するというユニークなETFです。
今のところパフォーマンスもいいようです。アクティブファンドとインデックスファンドの中間のような存在です。手数料が0.75パーセントとやや割高ですが、ヘッジファンドのフィーに比べると格安ですね。
たぱぞう様はGURUについてどう思われますか。下記は参考の日経記事のリンクです。
米国の個人投資家の間で「グル(カリスマ)ファンド」と呼ばれる投資信託が話題だ。ヘッジファンド業界の大御所、ジョージ・ソロス氏や著名投資家のウォーレン・バフェット氏らが買った株式を探し出し同じ銘柄を組み入れる。カリスマたちの運用をまねるファンドだ。その一つである「グローバルXグル・インデックスETF」という上場投信(ETF)は複数のヘッジファンドを対象に保有株式を追跡しプロの間で人気がある銘柄を組み入れる。
このグルETFの2012年暮れからの値動きをみると、ダウ工業株30種平均を1割強上回る上昇率だ ヘッジファンドだけでなく大手機関投資家の保有株も調べて、運用をまねる上場投信もある。カリスマの銘柄選びのレシピをどうやって手に入れるのだろうか。種明かしすると簡単だ。米国では米国株への投資が1億ドルを超える投資家は四半期に1回、保有株のリストを米証券取引委員会(SEC)に出す義務がある。この公表情報をみれば手の内が分かる。
例えば、最近りそなホールディングスへの投資を明かして話題となった著名投資家のデイビッド・アインホーン氏。経営するヘッジファンドのグリーンライト・キャピタルもSECに保有株リストを提出しており、それをみるとアップル株などを持つことが分かる。ただ、米国の上場株だけが開示対象なので日本への投資などは分からない。
通常は四半期末から約1カ月半たった後にリストを公表する点にも要注意だ。直近の状況がすぐ分かるわけではない。それでも、カリスマ好みであれば、遅れて買ってもいい結果を得られるはずだというのが物まねファンドの発想だ。(世界の現場から)「教祖」にならう米ETF 著名ファンド保有銘柄で構成 :日本経済新聞
(引用終わり)
ここ数年の数字はVTIを大きく上回っています。手数料率が0.75%と少し高いようですが、とても魅力的に思えます。たぱぞうさんは、このような一風変わったインデックスETFをどのようにお考えでしょうか。ご意見聞かせていただければ幸甚です。
GURU系ETFとして定着しつつある
ここで取り上げたGURU・ETFのティッカーは、そのままGURU(Global X Guru Index ETF)です。カリスマ・教祖・尊師、ということでサンスクリット語のGURUが当てはめられています。
私は信託報酬が気になることと、ヘッジファンドの未来についてはあまり楽観していないので、今のところ買うことはないと思います。
しかし、リターンは確かにS&P500を上回っており、その動向は面白いと思います。ちなみに、似たような発想のETFとして以下のラインナップがあります。以下はシェアトップ5のGURU系ETFです。
Symbol | ETF Name | Total Assets | YTD | Avg Volume |
GURU | Global X Guru Index ETF | $55,266.30 | 14.19% | 8,381.00 |
GVIP | Goldman Sachs Hedge Industry VIP ETF | $31,314.89 | 16.23% | 7,844.00 |
ALFA | AlphaClone Alternative Alpha ETF | $27,962.90 | 14.77% | 3,283.00 |
VALX | Validea Market Legends ETF | $24,113.79 | 2.62% | 2,725.00 |
GURI | Global X Guru International Index ETF | $1,479.66 | 12.97% | 565 |
記事中にあったGURUが最も運用総額が大きく、流動性も富んでいます。2012年登場時も少し話題になりましたが、その後数々の同じ発想のETFがリリースされ、GURU系としての地位を固めています。
関連して、gurufocusというサイトがあります。このサイトもなかなか読み応えがあります。
1つ紹介します。
これはGURU系ETFが何を買っているかというのを視覚的に表した表です。緑が濃いほどGURU系ETFの買いが集まっている銘柄です。
それに対して、GURU系ETFが何を売っているかということも分かります。
左上ほどよく売られているということです。このときはバンク・オブ・アメリカが売られています。
いわば、ヘッジファンドの後追いをGURU・ETFが行い、さらにその後追いもできるということですね。直接GURU・ETFを買って運用報告書などを見ながら、自分の投資行動の参考にするということもできます。
GURU系ETFに見るように商品の多様性が米国市場の魅力
こういう多様性こそが米国株投資の良さの1つであることは間違いのないところです。例えば日本の投信で海外投資をしようとすると、買える指数の種類はわずかです。大方がMSCIコクサイであったり、ダウ30種であったりします。
それも悪くないのですが、商品選択という意味ではやはりまだまだ貧弱と言えます。低信託報酬で、高リターンな商品がもっと登場してくれば面白いのですが、この条件に当てはまる商品はわずかです。そして、連動する指数は極めて限られています。
高信託報酬で低リターンな商品ならば、多くの毎月分配型投信が当てはまるのですが、当然ながらあえてそれを選択する人は殆どいません。
ドルで資産を持っていれば、GURUのような個性的な考えと運用に基づく商品も買うことができます。私が米国株を選好する理由の一つとして、こうした優れた商品に投資をするチャンスが得られるということがあります。
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発想としてはこの「最大多数投資法」が近いですね。ヘッジファンドの開示情報に基づきETFとして商品化してしまうあたり、米国らしい合理的な発想だと思います。
数あるETFも自動化してしまうというのがロボアドバイザーです。投資に興味がない人でも効率的な投資ができる、そういう時代になりつつあります。まさにETFは金融技術の粋、現代社会に生きる良さを実感できるテクノロジーです。
長期投資に適したETFはどれか、ということをテーマに記事にしています。