ヘルスケアセクター限定レバレッジETF? CUREとは?
【CURE】は、Direxion Investments社が運用する米国のヘルスケア関連企業株式で構成される株価指数をベースにしたレバレッジETFです。2011年6月15日に設定されました。マーケットはNYSEです。
ベースとなるインデックスはStandard & Poor’sが提供しているHealth Care Select Sector Index(ティッカー: IXVTR)です。
米国の製薬、ヘルスケア機器やサービス、バイオテクノロジー、ライフサイエンス企業等の株式で構成されます。
米国の医療費はグラフの通り年々増大しています。OECDの統計によれば、2019年の米国の医療費は3,634,174百万ドルです。同じ年の日本の医療費は608,479百万ドルですから、米国は日本の6倍の規模です。
米国の人口は日本の約2.6倍であることを加味しても、米国民一人当たりの医療費は日本のそれの2倍以上だということです。
つまりヘルスケアセクターのマーケットが巨大だということです。当然、関連企業の数も多く、規模も大きいということになります。だからこそ米国企業のみでインデックスを構成できるとも言えます。
【IXVTR】の構成上位10位銘柄は以下の通りです。 Johnson & Johnson【JNJ】、医療保険の最大手ユナイテッド・ヘルス【UNH】のウエイトが高いです。ファイザー【PFE】、アボット・ラボラトリ―【ABT】などが続きます。
出所: Direxion Investments website
なお、【IXVTR】に直接連動する金融商品は現時点ではありません。【CURE】のために作られたインデックスとも言えそうです。
【CURE】の構成銘柄と経費率はこうなっている
【CURE】は【IXVTR】の日次の値動きの3倍になるように設計されたレバレッジETFです。半導体指数の3倍レバレッジETFである【SOXL】のヘルスケアセクター版と理解すればいいでしょう。
このあたりは、過去のレバレッジ商品記事をご覧いただいただいた方にはなじみがあるでしょうか。経費率は1.04%です。
インデックスが特殊です。そのため、たとえばフィラデルフィア半導体指数のようなポピュラーなインデックスをベースとしている【SOXL】よりも、インデックスの使用料が高いことが想像されます。
上位10位の構成銘柄です。スワップなどを使ってレバレッジを効かせています。このあたりは、【SOXL】と似ていますね。
出所: US版 Yahoo! Finance
CUREの取引値推移とチャート
S&P500(緑)、ヘルスケアセクターのETFである【VHT】(Vanguard Health Care Index Fund ETF)(ピンク)と比較したチャートです。
まずこの5年では【VHT】はS&P500を総じてアンダーパフォームしていますが、10年単位では勝ります。トータルリターンは10年で5倍前後です。対して、S&P500 は4倍前後です。直近の5年はIT系のグロースが全盛だった、ということがここでもよくわかります。
ヘルスケアセクターの特徴は、値動きが激しくないことだということがよくわかるチャートです。【CURE】は5年で見ればS&P500の約3倍になっています。
製薬は1企業単位だと決算や新薬開発でボラタイルな面もありますが、セクターとしてはディフェンシブな安定成長であることが確認できます。
【VHT】のパフォーマンスで読み取れる通り、ヘルスケアセクターはマーケット全体の中で値動きは落ち着いている傾向があります。そのため、レバレッジをかけても大きなリターンになりにくい特徴があるように思います。
一方、落ち着いた値動きはマーケットが低迷する時期には功を奏し、コロナショック時のダメージは3倍レバレッジETFとしては小さいものでした。
【CURE】の分配金推移
分配は3の倍数の月にわずかに出ています。レバレッジ商品は値動きにフォーカスが置かれますから、分配はあればラッキーと言ったところでしょう。
【CURE】ヘルスケアセクターレバレッジETFのまとめ
レバレッジ商品の魅力の一つはブル商品であれば構成銘柄のプライスの上昇によってインデックスより大きなリターンを得られることです。しかし、【CURE】はそのセクターの性格により、ベースとなるインデックスの値動きがそれほど大きくありません。
よって、【CURE】はブル型のレバレッジ商品としては落ち着いた値動きに感じられることでしょう。マイルドなレバレッジ商品を望む方には向いているかもしれません。
同じ3倍レバレッジでも、例えば【SOXL】に比べてボラティリティは低くなりがちですので、下げ相場でもダメージが小さくなる傾向があり、長所ともいえます。
ただし、経費率が相対的に高いです。したがって、長期保有ではよくよく検討されたほうがいいですね。
CUREはSBI証券、楽天証券、マネックス証券等が取り扱っています。
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様々な商品に投資するしないはおいておいて、全体的な知識の底上げはあってよいでしょうね。