アンシス【ANSS】の銘柄分析、シミュレーションに定評あり。
アンシス【ANSS】のシンプル銘柄分析です
S&P500に採用されている米国のCAE(コンピュータ支援設計)企業です。電磁界・回路・システム、熱流体、構造など複数ドメインの物理現象の単独解析や、連成解析できる総合CAEソフトウェアの「アンシス」を開発、販売しています。
航空宇宙や防衛、自動車、電機など様々な業界や学界で幅広く用いられています。シミュレーション分野では世界No.1企業です。
1970年に、ペンシルベニア州西部でジョン・スワンソンによってSASI(Swanson Analysis Systems, Inc)として創立され、翌年から「アンシス」の開発及びリリースを開始しています。
当時はコンピュータによる構造解析が研究者だけでなく一般企業での設計にも活用し始められた黎明期でした。
ANSYSは特にユーザインタフェースへの開発に注力することで他製品との差別化をしました。1994年に社名をアンシスにしています。現在も、本社を設立当初の場所の近くのペンシルベニア州カノンズバーグに構え、世界に75以上の戦略的販売拠点を持っています。
アンシスのサービスは、現実世界での試運転や実験、テストなどの回数を減らすことで、結果として市場投入時間の短縮やコスト削減を実現しています。
デジタル空間で現実世界を再現する技術に優れ、技術力は高く世界には数万の顧客がいます。顧客の中には、ワールドクラスの会社も多く、世界最大の半導体メーカーである台湾セミコンダクター【TSM】や、世界最大の消費財メーカーであるP&G【PG】、アメリカの製薬会社ファイザー【PFE】などが顧客です。
日本でも、トヨタ自動車(7203)やデンソー(6902)、パナソニック(6752)などの日本を代表する大手企業がアンシスのサービスを利用しています。
アンシス【ANSS】の株価チャートと配当
足元はやや軟調ですが、株価は5年で3倍強になりました。現時点では無配企業です。
アンシス【ANSS】の基礎データ
- 本社: アメリカ ペンシルベニア州カノンズバーグ
- ティッカー: ANSS
- NASDAQ上場
- 決算期:12月31日
アンシス【ANSS】の売上高と利益
GAFAMなどと比較すると、決して規模は大きくない企業ですが、グラフが示す通り、売上高は順調に成長しています。営業利益率も足元はやや下がっていますが30%程度と高水準です。
近年の売上高の成長は、積極的なM&Aの結果でもあります。10-Kフォームによると、2018年に1社、2019年に5社、2020年に2社を取得しています。2020年8月の投資家向けプレゼンテーションで今後も企業買収を積極的に行う方針を発表しています。
アンシス【ANSS】のBPSとEPS
EPSもBPSもまずまず順調に成長しているといえそうです。
EPSは高い水準ではありませんが、高い営業利益が前述した積極的なM&Aへ投じられているからだろうと推察されます。
アンシス【ANSS】のキャッシュフロー
ソフトウェア企業ですので、設備投資が非常に少なく、結果としてフリーCFが潤沢な企業です。設備投資が不要な代わりにM&Aで経営資源を獲得している構図です。
アンシス【ANSS】のトピック
2019年12月にはマイクロソフト【MSFT】と提携して「デジタルツイン」というサービスを提供することを発表しました。
デジタルツインとは物理空間にある現実の機器や設備を仮想空間上で作成した”デジタルの双子(ツイン)”を意味します。
実空間での稼働状況をリアルタイムで収集し、デジタルツインにインプットしてシミュレーションを実施します。それにより、予知保全や最適運用に活用します。急拡大している市場で、IOT、自動運転、5Gといった先端技術に欠かせないものです。
デジタルツインの真価は、作ったデジタル空間でシミュレーションを行うことで、フィジカル空間に影響を与えることなく、精緻な予測ができるようになることです。
従来は主に設計開発で利用されてきたシミュレーション技術が、IoTを介したデジタルツインによって、製造や保守、運用などでも利用可能になります。このような「デジタルツイン」の実現が、アンシスとマイクロソフトの提携によるシナジーとなります。
調査会社のマーケッツ&マーケッツによれば、デジタルツインの市場は2020年の31億ドルから、2026年には482億ドルに成長すると言われています。アンシスはデジタルツイン関連銘柄の中心的存在といえ、業績は今後も成長しそうです。
関連記事です。
本記事はストレイナーさんとの提携記事になります。
こちらはヴィーバシステムズの銘柄分析です。
米国株を買うにあたっての証券会社の比較検討です。