たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

純金積立と金ETFのメリットデメリット

金投資は世界標準で見ると常識

 金は株式相場と逆相関を示すことが多いことから、リスクヘッジの有効な手段としていつの時代も採用されてきました。

 

 特に中国や東南アジアでは今でも金は日常に深く入り込んでおり、町中には多くの金屋があります。根底には歴史から学んだ、大陸独特の通貨への不信任があります。金屋では外貨の両替をしていたり、金そのものの売買をしていたりします。換金性の高さはさまざまある商品の中でも優れていると言ってよいでしょう。

 

 ところで、日本人を始めとする比較的豊かな先進国の年配者が、ちょっと仲良くなった現地の若い人に、金の指輪やバングルなどの金加工品を買ってプレゼントしていることがあります。

 

 ここでは、どういう形やモノであるかよりも、「金含有率と重さ」が大事になります。これは金特有の換金性の高さによるもので、「誰にもらったか」も大事ですが「何をもらったか」がもっと大事であるという、極めて合理的な理由によるものです。

 

 プレゼントする側は心情的な理由で贈り物をするのに対し、プレゼントをもらう側は合理的な理由で受け取りたがる。この齟齬がそのまま人生の齟齬になるケースも散見されるわけですが、ここに人生の妙味があるのかもしれません。

 

 日本においては希少性のあるバッグや時計が人気ですが、やはり換金性が無視できません。もっとも、販売店ともどもペナルティがありますから、突き抜けたブランドは換金性以前に別格となっていますね。

 

 私たち日本人はお金について公に話すことは憚られる風潮に生きていますが、やはり人生にまつわる現実と切実とはそういうことです。

 

 話を戻します。大陸では通貨の発行体、つまり政府や王朝が安定しない時代が長く続いたことから、いつの時代も変わらない価値を持つ金というものに対しての信認が深いです。

 

 日本のような安定的な島国にいると、国家体制の根本的な変更というのはあまりありません。

 

 それが大陸だと場合によっては支配する民族自体が変わります。通貨どころか慣習や法律までもが根本的に見直されるということになります。世界的には金というのはある意味では、歴史的な背景、地政学的なリスクを踏まえて、通貨以上の信頼を得てきたと言えます。

 

 いつでもどこでも、変わらぬ価値を持ってきた存在。それが金だということです。前置きがいささか長くなりましたが、今回は金投資に関してご質問をいただきましたので、ここにご紹介します。

純金積立の投資としてのメリットデメリットはどうなのか

 いつも凄く勉強になり、毎日楽しく読ませていただいております。

 

 今日は金投資について、たぱぞうさんのお考えを聞きたいと思い、問い合わせました。今現在私は3年ほど金を積み立てています。


 始めた時にはETFの知識なんか全くありませんでしたし、ただ何となく金の積み立てを始めました。

 

 今では少しずつ知識も増えてきたわけですが、やっぱりコストを考えると金ETFの方がいいのかと思うようになりました。

 

 そこからさらに考えた場合に、金ETFよりもVTI、VOO、VYMの方がいい気がしてきました。

 

 たぱぞうさんは金についてはどのようにお考えですか。

金投資自体は歴史があり、有力なアセットとなる

 金は、先に述べたような安定性が魅力です。また、一般的にはインフレにも負けませんので、通貨をただ寝かせておくよりは良い投資先ということになります。

 

 ただ、株式と違って、自らが業績を上げたり、配当を出すわけではないことが欠点と言えます。つまり、どうしてもリターンの面で課題があります。つまり、完全なる値動き、ボラティリティに依拠した投資戦略になるということです。

 

 金の持つ最大の強みは安定性、不況時における逆相関です。それを考えると、資産の一部に組み込んでおくことは大変意味があると言えますが、成長性という意味において不確実なのが難しいところです。

 

 下記は楽天さんの東京金の長期チャートです。リーマンショック後、コロナショック後の大規模金融緩和から鋭角なチャートを描いています。実際、この間のリターンは株式と遜色ありません。

金価格の円建てロングチャート

金価格の円建てロングチャート

  また、逆相関といいつつリーマンショック時には株式相場ほどではないにしろ、しっかりと連れ安しているのも事実です。このあたりの特性をとらえておきたいですね。

 純金積立と金ETFのメリットデメリット、手数料の考え方の違い

 先に述べたように金は投資先として悪くありません。しかし、気を付けなくてはいけないことがあります。それは、一部の純金積立ビジネスが完全に手数料ビジネスになっているということです。買うべき商品、買うべき場所を選ぶ必要があります。

 

 比較的安いとされるネット証券の純金積み立てで見てみましょう。

  SBI証券 楽天証券 マネックス証券
手数料(買付) 売買代金×2.0%
(税込2.16%)
売買代金×1.5%
(税込1.65%)
売買代金×1.5%
(税込1.65%)
手数料(売却) 無料 無料 無料
年会費 無料 無料 無料
保管料 無料 無料 無料

  手数料はこのネット証券の水準が目安になってくるでしょう。場合によってはこれに保管料がかかるところもあります。

 

 これに対し、円で買える金ETFであるSPDRゴールド・シェア(1326)は信託報酬が0.4%です。4年以上持つならば、売買手数料とトントンになりますね。なお、ドルで買えるGLDMは0.18%ですから、ドル投資をされているならばこちらが有利になります。

 

 株式>債券>金などの商品 というリターンの優位性は歴史が証明しています。しかし、分散投資の1つとして検討するのは悪くない選択になりそうですね。

 

 ちなみに、私は金を持っていませんし、これからも持つことは無いと現状からは思います。余計なことかもしれませんが、申し添えておきますね。

 

関連記事です。

 金ETFに関しての記事はこちらです。世界で最も買われている金ETFがスパイダーのゴールド・シェアです。ティッカーはGLDです。

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 いずれにしても、一気に投資をしないというのが大事ですね。

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リスクゼロのアセットは存在しないということです。

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