米国株投資家がともに抱く米国の未来という夢
米国株投資家は、ETFだろうと、投資信託だろうと、個別株だろうと、方向としては同じ方向を向いています。それは、「米国市場の成長力」というところです。
目先の上下はありつつも、最終的には右肩上がりでその恩恵に浴したい、というのが共通した見方ではないでしょうか。
これは、S&P500の確かな歴史が1つの証明になっていますし、力強い人口動態などが心理的な支えになっています。
しかし、それはいつしか大きく膨らんでおり、ファンダメンタルズで見ると米国株というのは、実は割高さというのが他国に比べると際立っています。それは国別GDPと時価総額の比率で言ってもそうです。
先進国への分散投資であるMSCIワールドを見るとその比率の大きさを実感することができます。
国名 | 比率 |
---|---|
米国 | 61.92 |
日本 | 8.23 |
イギリス | 5.82 |
フランス | 3.71 |
カナダ | 3.46 |
スイス | 2.97 |
ドイツ | 2.91 |
オーストラリア | 2.43 |
香港 | 1.4 |
オランダ | 1.17 |
スペイン | 1.05 |
キャッシュ等 | 0.65 |
Other | 4.27 |
全世界への分散投資であるVTでも米国株の比率は5割を超えています。時価総額加重平均による分散投資がいかに米国偏重になっているかの1つの証左になっていますね。さて、こうしたことを踏まえて、ご質問を紹介したいと思います。
米国株投資は逆に成長の罠にはまっているのではないか。
初めまして、悪魔まーくんと申します。1か月ほど前からブログを拝見させていただいて、シーゲルの「株式投資の未来」も読まさせていただきました。
その「株式投資の未来」を読んでの疑問です。
たぱぞうさんはこれに影響を受けて配当狙いの長期投資を行っている、そのなかでも投資するなら人口増加ボーナスが継続して将来も安泰な米国株だ、ということで米国株長期投資をされているとのことだと思います。
しかし、この「人口ボーナスもあり将来も安泰(と思われている)」米国株を買うということ自体シーゲルの「成長の罠」ではないでしょうか。むしろ人口減で成長が見込めないどころか没落していく(と思われている)日本株を買うほうがシーゲル流の考え方なのではと、「株式投資の未来」を読み終わって思いました。
この点、いかがお考えでしょうか。一応自分なりに考えたのは
- 日本株は配当が安すぎて話にならない
- 将来が不安すぎて「永続する企業」に含まれない
- 世界的に見て時価総額に応じた分配で投資すべきで、最大規模の米国に投資すべきである。(ただこの場合はほかの国にも投資するべき気もしますが」
といったところでしょうか。ぜひたぱぞうさんの意見を教えていただければと思います。
「万年割安株」状態にはまっているEU株と日本株
実は日本株というのは割安株が多くあります。一部のEU株などもそうです。それは、成長性があまり期待されていないからです。実際にEU経済は非常に弱く、ドイツ銀行の経営問題や、各国経済指標の弱さが目につきます。
ギリシアショックなどで表出した、南欧を中心とした経済危機も依然くすぶっていますね。
EUの有力国も人口動態的には移民を入れざるを得ない状況なわけですが、それをめぐって文化的、経済的な衝突が起きています。
対する日本も実は外国人労働者は多く受け入れているのですが、スピードとしては足りず、人口が減少しています。株価はなかなか上がらず、中央銀行がETFを積極的に買い入れても過去最高値を超えるようなことにはなっていません。
実はマーケット全体の時価総額ベースだと底から大きく反発しているのですが、世界に伍していくような企業は限られます。
株というのはある意味では人気投票なところがあり、EU株と日本株がパッとしないのは将来に対する漠然とした不安があるからです。そういう意味では、割安さというのは確かに感じられるところです。
ただ、「万年割安株」という傾向は知っておいて良いでしょう。フェアバリュー以下ではあるけれど、売り上げも利益も横ばいか漸減傾向で永遠にフェアバリュー以下という株ですね。
特に日本株に関しては、強い指数を作ることが喫緊の課題です。インデックス投資が報われるような仕組みを作らないと、個人投資家はこれからもどんどん離れていくでしょうね。一部のプロ級の個人投資家のみが成果を残せるような市場に、資金は流入してきません。
参考までにMSCIジャパンのリターンですが、およそ20年間年率平均0.4%のリターンです。過去のほとんどの時点においてマイナスだったというのは知っておきたいところです。
そういう意味でも、東証の改革には個人投資家として非常に期待していますが、英断と決断が必要で、骨抜きにされる可能性もかなりあると見ています。東証に限らず、時代を変えようとする日本の改革はいつも殆ど骨抜きになるのです。
いささか話が飛躍しましたが、消去法でも投資先はやはり米国株ということになります。
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VTIのような指数を作るのは市場の特性上難しいと思います。しかし、日本株でもダウ30種のような方向で、厳選した銘柄で指数を作るというのは面白いのではないかと思います。
海外投資を始めようとする人へのメッセージですね。指数が上がるというのは、相場としては大変恵まれており、投資をシンプルにしてくれます。
つみたてNISAは殆どが指数への投資になりますから、米国、少なくとも国際分散投資というのが妥当性があります。その場合は楽天証券さんでクレカでポイント1%を付けるというのが王道になります。