スピンオフとは何か
米国株では時々、スピンオフが起きます。スピンオフとは一言でいうとこのようにまとめられます。
会社の1部門を切り離し、別会社にすること
ただ、スピンアウトが完全に資本関係も無くなるのに対し、スピンオフでは子会社化などある程度の資本関係は維持されることが多いです。
このスピンオフに伴い、株式も分割されます。
米国株がスピンオフされたときの扱いはなかなか・・・
米国株ではこのスピンオフというのが割とよく起きます。これにより、経営の効率化を図ることがあり、実際にスピンオフ後の株価は親会社・子会社ともに上昇する例が多く見られます。ただ、当たり前ですが確実に上がるわけではありません。
ちなみに、米国株で近年話題になったスピンオフには以下のようなものがあります。
ABBV | アブビー | バイオ医薬品 | 2012年12月 | アボット ラボラトリーズ |
PYPL | ペイパル | ネット決済 | 2015年7月 | イーベイ |
ZTS | ゾエティス | 動物用医薬品 | 2013年1月 | ファイザー |
BXLT | バクスアルタ | バイオ医薬品 | 2015年6月 | バクスター |
NWSA | ニューズ コーポレーション | メディア | 2013年6月 | 旧ニューズ コーポレーション |
※SBI証券のデータから抽出作表
もし、株式が分割されると以下のようになります。以下の説明はマネックス証券のものです。
- スピンオフが発生した場合、お客さまの保有株数に応じて割当てられた子会社の新株を入庫いたします。
- 保有株数に応じた割当で1株に満たない株数は当社で売却し外貨お預り金(米ドル)として入金いたします。
とくに株主側でアクションを起こさなくてはいけないことはありません。こうしたことを踏まえて、以下のご質問をご紹介します。
スピンオフだと一般口座扱いになってしまう
たぱぞう様、いつも楽しくブログを読ませていただいております。
さて質問なのですが、私は現在楽天証券でGE株を特定口座で保有しております。
そのGEに会社分割の噂が流れております。いわゆるスピンオフというやつと思われますが、その場合の特定口座での扱いがどうなるか不安になり楽天証券にメールで問い合わせたところ驚きの返答が。
内容にもよりますがコーポレートアクションによっては一度一般口座に払い下げられてから処理されるそうでスピンオフもこれに該当するようです。さらに驚きだったのは一般口座に入庫するのに価格が引き継がれないので取得価格0円で入庫されるとのことです。
SBI証券での扱いがどうなのかは分かりませんが買収、合併等が盛んなアメリカ株への投資が不安になりました。たぱぞう様は保有している個別株にこのようなコーポレートアクションが発生した場合どうされているのでしょうか?お忙しいとは思いますが教えていただけると助かります。
米国株スピンオフ銘柄の課題は2つある
米国株スピンオフ銘柄の取り扱いは証券会社各社によって若干扱いが異なります。
そのうえで課題が2つあります。
- 子会社が一般口座扱いになってしまうこと
- 取得価格が0円になってしまうこと
この2点ですね。
子会社が一般口座扱いになってしまうこと
このスピンオフ子会社が一般口座預かりになってしまうのはネット証券各社一緒です。つまり、特定口座預かりから一般口座預かりになってしまいます。ちなみに、SBI証券の場合は親会社も一般口座預かりになるとヘルプに明言してあります。
これへの対応は、スピンオフ前に売却してしまうというのが1つの対応になります。
継続保有を考えるならば、スピンオフ後に買い戻しということです。そうすれば特定口座で管理ができます。含み損益がある場合は、そこで損益確定になってしまいます。
ちなみに私は持ち株の多くが一般口座です。記録すべき事項を押さえてしまえば、長期売買ならば一般口座もさほど手間ではありません。自分の投資の状況が把握しやすいのであながち悪くはないということです。
ですので、前向きにこれを機に一般口座に親しんでみるというのも手と言えば手です。ちょっと悠長すぎますかね。
取得価格が0円になってしまうこと
これも対応が各社違います。もし親会社の株価が100ドルあるとします。そこで、7:3で親会社と子会社に分割したとします。そうすると単純に考えるとそれぞれの株価は70ドルと30ドルになります。
つまり、子会社ぶんを0ドルにしてしまうのはちょっとちがうのです。証券会社によっては親会社もゼロ円ですね。
ゼロ円になるのは、自分で確定申告してね、ということです。分割前の株価、分割の比率を記録しておくべきでしょう。そして確定申告時に計算して出すということになります。ただ、これも一般口座前提になります。
税務は税務署で事前に相談したり、エビデンスをしっかり提示できると意外にフレキシブルに対応してもらえます。ですので、証券会社の条件は条件として対応するのが大事です。また、微妙に各社違うので自分なりに考え方を身に着けておきたいものです。
こういったもろもろの交渉や手続きが面倒、という場合にはやはり売却してしまうのが1つの対応策なのかもしれません。
昨今は米国株を取り扱う証券会社が増えてきました。証券会社ごとに違う可能性もありますので、ご自分の株に関しては念のため、証券会社にお問い合わせくださいね。
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