ゾエティス【ZTS】はペット・家畜用の製薬メーカー
ゾエティス【ZTS】はペットや家畜用の製薬メーカーです。高品質の診断キット、遺伝子診断、米国や日本においてはペット用の薬の販売で存在感を示しています。新興国を含む世界では、家畜用の薬の販売で良く知られていますね。
動物向けの製薬業界は、一般的な人の製薬業界と比べるとライバル企業がまだまだ少ないです。そのため、市場をほとんど寡占しており、強みがあります。
もともとはファイザー【PHE】の一部門でした。1950年に、現在も使われているTerramycin(テラマイシン/オキシテトラ サイクリン)をファイザーの研究者が発見しました。このTerramycin は 100 種類以上の感染性微生物 に有効とされています。
その後、この成功をもとに1952年にファイザーが農畜産部門を設立、1988年にはファイザーアニマルヘルス部門と改称しています。
その後は、牛の治療薬であるLiquamycin(リカマイシン) LA 200や、広範囲寄生虫駆除剤Dectomax(デクトマックス)を開発しています。特にDectomax(デクトマックス)は画期的で、今もゾエティス【ZTS】の売り上げに大きく貢献しています。
ファイザー内でのアニマルヘルス部門がスピンオフされたということですね。ファイザー時代からの歴史は70年に及び、この間数々のM&Aを経て業界トップの座を得ています。ファイザー時代のアニマルヘルス部門のM&Aとしては以下があります。
西暦 | 買収した企業群 |
---|---|
1995年 | SmithKline Beecham(スミスクラインビーチャム) |
2003年 | Pharmacia(ファルマシア) |
2007年 | Embrex(エンブレックス) |
2009年 | Fort Dodge Animal Health(フォートダッジ) |
2009年 | Wyeth(ワイス) |
2010年 | Microtek International(マイクロテックインターナショ ナル) |
2010年 | Synbiotics(シンバイオテック) |
2011年 | King Pharmaceuticals(キングファーマシューティカル) |
2011年 | Alpharma(アルファーマ) |
2017年にはバイオファーマのNexvet(ネクスベット)、2018年も血液検査機器で有名なAbaxis(アバキス)を買収していますね。
製薬会社というとどうしても新薬開発からのジェネリックとの競合が問題になります。しかしゾエティス【ZTS】の場合は、業界自体がそこまで大きくなく、競合が限られるため、ジェネリックとの競合は緩やかです。例えば、犬の鎮痛薬であるRimadylなどは21世紀初頭に特許が切れましたが、未だに売り上げを伸ばしています。
買収も効果的で、シナジーを生み出すと同時に寡占傾向を強めるのに一役買っています。参入障壁は高く、製薬業界でも数少ない、唯一無二の存在感を持つ企業の1つと言ってよいでしょう。
ゾエティス【ZTS】の基礎データ
引き続いてゾエティス【ZTS】の基礎データを見てみましょう。
ゾエティス【ZTS】の配当と配当性向
スピンオフ後すぐに配当を出しています。利回りは0.5%程度ですが、株価が非常に伸びています。典型的な成長株というところですね。それでも配当はこの5年で2倍になっており、配当性向も抑えられています。
ゾエティス【ZTS】のBPSとEPS
ゾエティス【ZTS】のBPSとEPSです。EPSは順調で、たった5年ですが2倍に届こうという勢いです。IPOを行ったばかりですが、自社株買いもわずかながらしています。このEPS成長率が好調な株価の要因の一つですね。
ゾエティス【ZTS】の売り上げと利益
ゾエティス【ZTS】の売り上げと利益です。営業利益と営業利益率の向上が目覚ましいですね。ペットは家族の一員であり、一頭あたりの健康管理コストは以前に比べると上昇しています。それだけ大事にされているということですね。
また、家畜は抗生物質の使用の規制というネガティブな要素はありつつも、世界的に肉や魚の需要は旺盛で、養殖なども増え続けています。これらを考えると、業界全体としてはやはり有望です。それらを反映した結果と言えます。
ゾエティス【ZTS】のキャッシュフロー
キャッシュフローも順調に伸びています。ファイザーからのスピンオフだけあって、ファイザーモデル、M&Aによりシナジーを踏まえた効率的な規模拡大を目指す方向が明確ですね。
ゾエティス【ZTS】の株価とチャート
上場以来、右肩上がりの株価ですが、2018年はやや調整していました。その後2019年に入り急伸、決算も良く120ドルを突破してきました。
2019年8月の直近決算も良く、純利益は微減なものの、売上高は前年同期比9.3%増の15億4700万ドル、1株当たり利益は0.77ドルでした。
これを受けて通年の業績見通しを修正しています。売上は予想で6190億ドルだったものを6175億ドルから62億7,500万ドルへ、調整済み希薄化後EPSは予想で3.49ドルだったものを3.53ドルから3.60ドルへと変更しています。
相次ぐ好調な決算で値を飛ばしています。テクニカル上は90ドルから100ドル近辺に強固なサポートラインを築いています。これは、2018年にはレジスタンスとして意識されたラインでした。
競争の激しいヘルスケアにあって、比較的買いやすい銘柄の1つですね。
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独立系バイオ製薬で最大手のアムジェンですね。
ゾエティス【ZTS】は下記の記事中の証券会社で買うことができますね。
ファイザーからゾエティスがスピンオフされたように、米国では割と頻繁におきますね。そうした時の米国株の扱いです。