アムジェン【AMGN】は独立系バイオ製薬会社
アムジェンはバイオ製薬では世界一の規模になります。医薬品業界全体でみると、アムジェンは医薬品売上ランキングではだいたい10位前後です。医薬品業界はその国の化学技術水準が大きく影響するため、欧米、つまりアメリカ、スイス、イギリス、ドイツ、フランスといったところが伝統的に強いです。
それ以外の地域では、イスラエル、日本などの企業が入ります。日本の武田薬品工業が17位、アステラス製薬が19位に食い込んでいます。
医薬経済社から引用
アムジェンは日本ではアステラス・アムジェン・バイオファーマとして、アステラス製薬と合弁で事業展開しています。以前は武田薬品工業と協力関係にあり、子会社を合弁で持っていました。しかし、ライセンス供与と同時に株式も武田薬品工業に譲渡しています。
なお、このアステラス・アムジェン・バイオファーマは2020年にアムジェンが完全子会社化する予定です。
続いて、やや古いですが2015年の医薬品売上ランキングです。
順位 | 製品名 (一般名) |
薬効分類 | 会社名 (国籍) |
売上高2015年 (百万米ドル) |
前年比 (%) | 14年順位 | 13年順位 |
1 | ヒュミラ アダリムマブ |
抗リウマチ薬 | アボット アメリカ |
14,012 | 12 | 1 | 1 |
2 | ハーボニー ソホスブビル+レジバスビル アセトン不可物 |
C型肝炎治療薬 | ギリアド アメリカ |
13,864 | 552 | 47 | |
3 | エンブレル *注1 エタネルセプト |
抗リウマチ薬 | アムジェン/ファイザー アメリカ |
8,697 | 2 | 4 | 3 |
4 | レミケード *注1 インフリキシマブ |
抗リウマチ /クローン薬 |
ヤンセン/メルク アメリカ |
8,355 | △10 | 3 | 2 |
5 | リツキサン リツキシマブ |
抗悪性腫瘍剤 | ロシュ スイス |
7,321 | △1 | 6 | 6 |
6 | ランタス インスリングラルギン |
インスリン製剤 | サノフィ フランス |
7,090 | △16 | 5 | 5 |
7 | アバスチン ベバシズマブ |
抗悪性腫瘍剤 | ロシュ スイス |
6,945 | △1 | 7 | 7 |
8 | ハーセプティン トルスツズマブ |
抗悪性腫瘍剤 | ロシュ スイス |
6,794 | △1 | 9 | 8 |
9 | プレベナー13 肺炎球菌ワクチン |
小児肺炎球菌 ワクチン |
ファイザー アメリカ |
4,464 | 40 | 17 | 20 |
10 | レプラミド レナリミド |
抗がん剤 | セルジーン アメリカ |
5,801 | 16 | 14 | 16 |
11 | ニューラスタ /ニューポジェン ペグフィルグラスチム /フイルグラスチム |
G-CSF製剤 | アムジェン アメリカ |
5,764 | 0 | 11 | 9 |
業界情報 製薬企業の動向 医薬品売り上げ上位品目(世界) - 製薬専門転職紹介 メディサーチ
3位のエンブレルと11位のニューラスタにアムジェンの社名が見えます。3位のエンブレルは遺伝子組み換え製剤で、リウマチの炎症性サイトカインを抑えるお薬です、バイオ医薬品で、ターゲットはTNFαのレセプターになります。
ニューラスタは赤血球増殖薬のエポジェンの薬効を長くしたものです。これもアムジュンの経営に大きく寄与した大ヒット薬品です。ただし、これらはすでにバイオシミラー、つまりジェネリック医薬品が出ており、今後の需要には注意が必要です。
製薬会社各社はこのような大きな売り上げを持つ大ヒット医薬品、ブロックバスターの開発に力をいれています。
※アムジェン本社サイトから
アムジェン【AMGN】の基礎データ
続いて基礎データを見てみましょう。
ティッカー:AMGN
本社:アメリカ・カリフォルニア州サウザンドオークス
上場:NASDAQ
Nasdaq銘柄ですね。
アムジェン【AMGN】の配当と配当性向
勢いのある増配歴ですが、配当は2012年からです。それまでは他のNasdaq銘柄と同じく、無配当でした。今後、さすがに増配スピードは鈍化が見込まれますが、配当性向からは余力十分と判断されます。
アムジェン【AMGN】のBPSとEPS
一株利益は2018年は落ち込んだものの、10年で2.5倍のペースです。市場の拡大を考慮しても良く伸びていますね。アムジェンはBPSの伸長にも比較的熱心ですね。米国企業はBPSを伸ばす企業とそうでない企業と割とはっきりしています。
アムジェン【AMGN】の売り上げと利益
営業利益率は殆ど30%を切ることはありません。直近では40%を超えています。売り上げは右肩上がりというわけではありませんが、それでも好調な10年といってよいでしょう。
特に、100億ドルで行ったOnyx社買収は大きく寄与していますね。そのほかには4億ドルでDecode社を買収したり、アムジェンに限らず製薬各社は新薬の囲い込みに忙しいです。
アムジェン【AMGN】のキャッシュフロー
とてつもないフリーCFをしています。営業CFがほとんどそのままフリーCFになっています。潤沢なフリーCFを生かした次の買収戦略が注目されるところです。
アムジェン【AMGN】の株価
長らく横ばいの株価でしたが、2012年以降は順調な株価を示しています。直近では200ドル前後ですが、割高感はあまりありません。ただ、ヘルスケアセクターは世界的な高齢化社会も相まって、セクターとしては伸びることは間違いないでしょう。
しかし、個別の企業としてはブロックバスター次第です。つまり、新薬次第で業績ががらりと変わる難しいセクターです。ただ、アムジェンは規模といい、現在抱えている製薬の独自性といい、他の追従を許さない地位を築いているのは確かです。
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米国株でも買わないセクターということで記事にしてみました。セクター改編でまたちょっと変わりますね。