投資信託の「目論見書」と「レポート」を読んでみる
投資家が投資信託を購入する際には、目論見書を受け取らなければいけないことになっています。
今回は、目論見書の最初の方に掲載されていることを徹底解説していきます。
投資信託の目論見書の最初にはファンドの目的と特色が書かれている
今回も例として、三菱UFJ国際投信株式会社が運用しているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の目論見書を用います。
1ページ目には、「ファンドの目的・特色」が掲載されています。海外のインデックス連動商品であれば、確認しておきたいことは「為替ヘッジ」の有無です。
もちろんアクティブ運用商品であれば、このページにはもっと多くの情報が盛り込まれます。
出典: emaxis.jp
次のページには、運用のしくみ、制約、分配方針が掲載されています。分配の有無、有るのであればその回数などは確認しておきたいところです。
出典: emaxis.jp
投資信託にはしっかりと運用実績や投資のリスクも書かれている
投資信託である以上、基準価額が上がりっぱなしにはならないことを、読者のみなさまはよくご存じだと思います。
「投資リスク」のページには、基準価額の変動要因等が掲載されています。今さらと思うかもしれませんが、「流動性リスク」は普段あまり意識しないかもしれません。
S&P500に連動する商品でそれなりに純資産があれば、あまり問題になりませんが、違う商品の場合はあらかじめ把握しておきたいところです。
出典: emaxis.jp
目論見書には当該商品の過去の「実績」が掲載されます。
原指数が、続けて長く右肩上がりであることが大事です。この場合はS&P500が原指数です。特にインデックス投資は、右肩上がりの指数に投資をしないと意味がありません。
S&P500のような歴史が長いインデックスに連動する商品であれば、過去のデータをたどればいいですが、アクティブ運用型の商品で新たに設定されるものだと、「バックテスト」というシミュレーション結果が掲載されることも多いです。
いずれにせよ、購入する前に読んでおくと良いでしょう。既に運用されているものであれば、目論見書だけでなくホームページなどで基準価額の推移を確認したほうがいいですね。
また、投資信託が保有する割合が高い銘柄についても「主要な資産の状況」で掲載されています。
S&P500連動商品であれば、いちいち確認する必要はないかもしれませんが、アクティブ運用型であれば確認しておいた方がいいでしょう。
この点については後で改めて触れます。投資信託の目論見書の読み方は、ポイントを押さえておけばシンプルですね。
投資信託のレポートは読みごたえがあり面白い。
投資信託は定期的にレポートが発行されます。周期が短いものだと週次で発行されることもありますが、多いのは月次でしょうか。
インデックス連動商品ならば、買いっぱなしになっているかもしれませんが、たまには目を通してみると面白いですよ。
月次のレポートであればそれほどボリュームはありません。掲載されている内容も「目論見書」の「運用実績」と大差はないです。
もっとも、基準価額と純資産総額は目論見書とは違うことが多いですから、変化を確認しておくといいですね。
また、特にアクティブ運用型の投資信託でしたら、前月と比較して、組入上位に変化がないかを確認しておきたいところです。
銘柄が変わっている、比率が変化しているようであれば、何が原因なのかを考えてみたいですね。下記のように組み入れ上位は容易に確認でき、しかも意外と比率は変化があります。
投資信託に慣れると「レポート」だけで、ある程度のことがわかる
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の月次レポートは5ページで構成されていますが、1ページ目以外に掲載されていることは目論見書とほぼ同じです。
ですから、既に運用されていて、月次レポートが出ている商品ならば、購入前の検討資料としてまず月次レポートを読んで、取引ルールなどを把握してもいいですね。
勿論、購入前には目論見書をきちんと読みましょう。
年に1度は「運用報告書」も発行されます。 こちらには全組み入れ銘柄が掲載されます。
たいてい字が小さく若干ハードルが高いです。しかし1年に1度ぐらいでしたら、全部読んでみると面白い発見があるかもしれません。
投資信託の売買もオンライン取引が主流になりました。そのため、取引の敷居が低くなっています。だからこそ、おろそかにしたくないのが商品性の理解です。
投資信託を買われる、みなさまの参考になれば幸いです。
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こちらは投資信託の仕組みの解説です。
投資信託の目論見書について解説しています。
個別株でもリスク分散は大事ですね。