投資信託で失敗しないために知っておきたいこと
投資信託というは長らく「変な商品」が多くありました。構図は単純で、知らない人に知っている人がロクでもない商品を売りつけるという手数料商売だったのです。それが、この数年で劇的に状況が変わりました。
失敗しない、良い投資信託が出てきたのです。そのため、必ずしもETF一辺倒ではなく、金額や目的に応じた投資信託が以前より買えるようになってきています。しかし、数千本ある投資信託ですが、まだまだ「変な商品」はたくさんありますので注意が必要です。
よく海外では「騙すほうも悪いが、騙されるほうはもっと悪い」という論理があります。国と場所にもよりますが、「人間不信」がベースにあり、安易に人を信じるほうがいけないという文化ですね。道徳観が違うのです。
慣れている人は、「ああそうきたか」と思う程度でしょう。ただ、日本はそういう文化は薄いために、大きな看板を背負った銀行や証券が露骨に変な投資信託を扱っているとびっくりしてしまう、あるいは見抜けないというわけです。
日本において銀行預金や保険以外の金融商品が殆ど根付かなかったのは、そういう積み上げてきた不信が根強くあります。
ちなみに、実は資産運用上ほとんどの保険は不要です。それでも保険にプライオリティが置かれるのは元本が減らない、あるいは減りにくいという1点でしょう。
また、「儲かる話をそんなに簡単に人に教えるわけがない」「儲かる話ならば自分で買えば良い」というマーケット規模を無視した論理も銀行預金や保険を後押ししてきたと言えます。
いまだに「NISAは国の陰謀、全員が投資で成功するわけがない」という意見も散見されますね。インデックスが定着したように見えますが、実はそれは限られた世界での定着と見ることもできるのです。
ちなみに、あくまでケースバイケースですが、銀行融資を受ける際の有価証券の評価額は、日本株で半値だったりします。外国株はそういうスキームが殆ど無いので、評価されないケースさえもあります。
実は比較的堅実な資産運用先である株式投資というものが、いかにギャンブルと思われているかということですね。さて、完全に雑談になってしまいましたが、本題のご質問にお答えしたいと思います。
アクティブ投資信託から楽天全米に乗り換えようと思う
たぱぞうさま
私も最近米国株を開始しました。現在は以下の通りです。
- 米国ディフェンス株 6社 均等
- アクティブ投信 毎月三万積立
アクティブ投信は維持費が高いのと世界分散が気になり、楽天全米に変えようと考えます。
- この変更はどう思いますか?
- 妻(積立)も米国株系の投資信託を紹介したいですがどうですか?
- 積立の出口戦略についてどうお考えですか?
アクティブ投資信託の強みは個性にあるが、失敗する投資信託も多い。
アクティブ投資信託はなにかと毛嫌いされますが、それは実績にバラつきがありすぎるからです。ネットで公平な情報に触れることができる世代が増えれば、質の悪い投資信託は自然と淘汰されていくのでしょう。
アクティブ投資信託の本来の強みは唯一無二であることです。ベンチマークの指数が無いので、ハイパフォーマンスを発揮する投信があれば、それは本当に強い投信、優れた商品ということになります。
ただ、リターンを見てさほどの実績を挙げられていないのならば、乗り換えというのも現実的な選択になると思います。金融商品は結果が全てです。ダメな投資信託がいずれ殆ど駆逐されるのは、ダメであることが分かると売れないからです。
ですから、過去の実績と乗り換え先であるVTIの実績を比べて判断されると良いと思います。逆に言えば、例えば新規のアクティブ投信というのは買うだけの相当な動機が無いとちょっと選びにくいということになります。
インデックス投信はその点、ベンチマークから過去が推測できますから問題ありません。もちろん、過去は未来を保証するものではないですが、1つのエビデンスになることは間違いありません。
米国株系のインデックス投資信託、あるいは全世界系のインデックス投資信託を低信託報酬で選ぶというのが、投資信託で失敗しないために最低限押さえておきたいこととなります。
ここで話題に出た楽天全米株式ファンドはベンチマークが安定的な実績を残しています。コロナショックのようなことが起きても、動揺せずに持てる投信の1つといってよいでしょう。
奥さまの投資信託
奥さまに投資信託をご紹介されるのは非常に良いことだと思います。私も自分の子どもには株の話を良くします。
ご家族、特にお子さん世代というのは、投資が不可欠な時代になっていることでしょう。年収が上がる見込みは薄く、社会保障費が増大し可処分所得が減る。こういう世代だからです。ややペシミズムにすぎるかもしれませんが、私はそう思っています。
S&P500などシンプルで分かりやすい、つまり過去の実績がはっきりとしているものを入り口として示すのは非常に良いことです。米国の将来性、世界経済という器で見ればまだまだ旨味があるのが投資の世界です。
日常までペシミズムに支配されないために、明るい未来を志向したいですね。
投資信託による積立投資の出口戦略
積立投資の出口はずばり、お金が必要になったときです。具体的にはご自分のインカムが無くなったときということになります。あるいは、学費の捻出などがどうしても必要になったときです。
基本的には学費などでは崩さないほうが良いのですが、事情がありますからね。
私の場合は理想はそのままつみたて、相続まで行きたいと思っています。あるいは、病気や衰えで体が動かなくなった時に初めて取り崩そうと思っています。その時までに、元本を削らないで配当や分配金の吐き出しだけでやれる体制づくりが理想だと思っています。ただ、分配金が無い場合は取り崩しが基本になりますね。
仕事は体が全く動かなくなるまでは続けるつもりです。雇われで働くのは限界がありますが、今は雇われだけでなくて様々な収益を生み出す方法がありますから、自分の裁量でやれる仕事を続けていきたいと思っています。
多くの場合、それは趣味のようなものですから、体が続く限りにおいて永遠にやれますね。今より未来のほうが基本的には苦しい時代になると思っており、そのためにも残せるものは残していきたいというのが私の考えです。
最悪を想定すれば、どんな環境でも幸せを感じることができるのではないか。そんなことを考えています。ご質問ありがとうございました。
関連記事です。
マーケットの動きに合わせて、どのようにリバランスをするのかということですね。