専業主婦になるということが極めて困難な時代に
コロナで働き方改革が進んだ、と言われつつも仕事の負担は依然として大きいですね。多忙を極める子育て世代は特に「専業主婦になりたい」「時間が欲しい」という切実な願いを持つ人が少なくないのではないでしょうか。
私たちの親世代は物価も比較的抑えられており、給与も右肩上がりでした。そのため、専業主婦という立場の人が多くみられたように思います。
学校から帰ってきて、母親におやつを出してもらって、遊びに行く。そんなスタイルの家庭は珍しくありませんでした。友達の家に遊びに行けば、やはりそこでもおやつをごちそうになるということもありましたね。
しかし、今やそういう家は少なくなっており、共働きの家庭が殆どです。
- 女性の社会進出が当然になった
- 共働き前提じゃないと経済的に苦しくなった
- 核家族化の進展
理由は様々ですが、このような背景があります。特に経済的背景が色濃いように思えます。
ちなみに、園児の在園時間が短い幼稚園の数は減り続けており、逆に幼保連携の子ども園や保育園のニーズは増しています。お迎え時間の制約がある幼稚園はなかなか利用しにくいのが現状です。
幼稚園は文科省、保育園は厚労省と管轄が違います。しかし、管轄に関わらず、義務教育以前の教育機関を行政はどんどん手放していますね。すなわち民営化です。維持管理費がかかるからです。
時代は専業主婦という存在を経済的に許容しにくくなっており、共働きで世帯収入を増やすという方向になっています。しかし、そうすると夫婦そろって時間が極めて限られ、下手をすると職場より家のほうが忙しいという状態を数年過ごすことになります。
平和ではありますが、大変困難な時代を私たちは迎えているのです。さて、こうした状況の中で専業主婦の資産形成術ということでご質問を頂いています。
将来が不安なので、資産運用で教育費と老後資金を稼ぎたい
はじめまして。
たぱぞうさんの記事を読ませて頂いて日が浅い新参者ですがよろしくお願いします。
家族三人(夫38 私35 娘2)です。娘が生まれるまでは共働きでしたが、今は専業主婦です。現金150万程度を残して、300万程は投資で試行錯誤しています。FXや株価指数など分散投資を心掛けて、トータルで年利7%程は取れるように考えています。
夫の年収は600万弱で、マンションをローンで購入済です。70歳まで月々管理費込で9万です。今のところ繰り上げ返済はしないつもりです。住宅購入については賛否両論ありますが、都市部で便利な場所なので、賃貸で同条件ならもっと割高になると考えています。
今悩んでいるのは、赤字ではないものの余裕を持てないため、毎月まとまった額を貯金もしくは投資に回せないことです。心配しているのは、教育費と老後資金です。学資保険はメリットが少ないと考え加入しません。
こどもはもう一人考えています。こどもが大きくなり私も少しでも働けば変わるかもしれませんが、いつも不安が頭から離れません。
なので上記のように自分なりに資産運用をしていますが、損を出すこともあり、どうすれば比較的心穏やかに投資し続けられるか相談させて頂きました。投資信託などコツコツ積み立てるのが一般的かもしれませんが、今あるお金に働いてもらい少しでもプラスにしていきたいです。
どのような運用が良いと考えられますか?また生活面(ローンや働き方など)でもアドバイス頂けると幸いです。宜しくお願い致します。
専業主婦の資産運用は基礎基本を押さえるとこうなる
将来に対して不安を覚えるということですね。大丈夫です。ご主人が一生懸命働いていられるので、それを信じて、まず子育てを頑張るという当初の目的を尊重されてよいと思いますよ。時間を得られているわけですから、家族みんなが心穏やかに過ごせるような切り盛りをするのが一番です。
そうでなければ、何のために仕事を辞めて家庭に入ったのか分からなくなってしまいますね。そのうえでいくつか気づいたことを書き記しておきます。
FXで資産運用はできない
まず、FXで資産運用はできません。これは、多くの日本人が誤解していることです。FXは単なる通貨の両替に過ぎません。通貨の価値はすべからく漸減するのが基本です。それはデフレ下の影響の強い日本円でさえもそうです。
通貨そのものは何の価値も生み出しません。ここが株や不動産と違うところです。単なる額面通りの商品引換券なのです。
にもかかわらず、日本人がFXが大好きな理由は2点あります。
- 広告に乗せられている
- 成功例が自分にも当てはまると思っている
これに尽きます。成功例が当てはまらないなら、おすすめの商材を買おうということになり、二重に損をする仕組みになっています。ですから、FXはゲーム、投機と割り切ってお付き合いをされることです。
資産運用とは、価値が増えるものに投資をすることで初めてうまくいきます。通貨は歴史的に見ても価値が減り続けるものです。
種銭を作らないと、資産運用は効率化しない
次に、300万円の資産ですが、この種銭で人生を変えるインパクトを得ようと思うとかなりの無理をしなくてはいけません。つまり、リスクが高まります。
年利6%、7%というのはそれなりに保守的ですが、やや高い見積もりです。しかし、それでも300万だとせいぜい18万円得られる程度なのです。これでは大して増えませんから、運用以外に種銭を増やすアクティビティが必要になります。
一番効果があるのは、勤労です。しかし、今から働くのは大変ですから、今はそのタイミングをはかっておけば良いですね。もし、ご主人が昇給して700万円の年収になり、ご自分が年収300万でも稼げるようになれば、世帯年収で1000万円を超えることになります。
今まで600万円でやりくりしていたわけですから、生活レベルを変えなければ加速度的に資産運用も上手くいくでしょう。
焦らず、確実なものに投資、淡々と過ごしていくのが良いと思います。急いては事を仕損じる、時計の針は急には回らないのです。せっかく、子育てのために時間を作ったわけですから、今しかできないことに最大の時間を割くのがよい、そのように考えますが如何でしょうか。
ご質問ありがとうございました。
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こちらは夫婦の家計管理の在り方、考え方についてです。
投資における現金比率も頭に置いておきたいですね。
資産運用は今の時代を生き抜くのに必要なたしなみとなりましたね。