株価はどのように決まってくるのか
株価は上下しますね。株価を決める要素はいろいろあります。成長性や成熟性を加味してファンダメンタルズで決まってきます。ファンダメンタルズ、押さえておきたい数字としては以下のようなものがあります。
- EPS
- ROE
- 営業利益率
- 売り上げ成長率
- 営業CF
- (配当)
こういった基礎的な数字に注目すると良いですね。配当に関しては成長株は出していないことが多いため、ケースバイケースですね。ただし、インカム投資家にとっては大きな要素になります。
こういった無数にある数字に加えて、業態が持続可能で過当競争業界ではないかどうか、という定性的な判断をしていくことになります。
定量的なものに関してはどうしても過去のデータに基づくものになるため、当たりはずれはあります。決算発表の予測であるガイダンスなどはその一例ですね。
逆に言うと、適切な値付けが常にされるわけではないため、実態と株価に格差が生じることも珍しくありません。そこが株式投資の最大の醍醐味であるとも言えます。
さて、今回は配当が株価の値付けに影響するのかどうかということでご質問を頂いています。
配当は株価を決める大きな要素になりうるのか
たぱぞう様
株式投資を始めること検討している者です。もしブログに投稿済みの場合は申し訳ありませんが、質問させていただきます。
- 「配当利回りは個別企業で見た場合、どの時期どの銘柄も大体同じでしょうか?」
- 「配当額が増えれば株価もそれに合わせるように上昇するのでしょうか?」
PG・MCD・BAの2008~2018年までの配当利回り(株価は各年の高値で計算)を調べました。各銘柄の配当利回りの平均です。
- PG:約2.6%(期間中最高値約3.0%最低値約1.9%)
- MCD:約2.6%(期間中最高値約3.1%最低値2.4%)
- BA:約2.0%(期間中最高値約2.9%最低値約1.3%)
でした。2019.1.24の終値での配当利回りは
- PG:約3.0%
- MCD:約2.4%
- BA:約2.2%
です。
仮にPGの配当が5ドルになった場合、2019.1.24の終値94.30ドルでの配当利回りは約5.3%になります。2008~2018年の配当利回りの平均値約2.6%に近い値になるなら、株価は約192ドルになってもおかしくないと考えます。
この考え方が正しいのか誤っているのか、ご教示頂きたく連絡しました。大変お忙しいかと存じますが、ブログ上で編集しても構いませんので回答頂けると幸いです。よろしくお願いします。
株価と配当の相関性はあるけれど、全てではない
株価と配当はある程度は相関します。おっしゃる通り、PGは連続増配株ですから、5ドルになる日もいつか来るかもしれませんね。そうなると、200ドル近い株価成長をしているのかもしれません。
ただ、同時に気を付けなくてはいけないのは配当のみが株価を決めるわけではないということですね。先に書いたようなもろもろの数字、さらには業績の成長性、インフレなども関係してきます。
連続増配を株を買う動機にするならば、ペイアウトレシオ(配当性向)も気にしたいところです。
PGはブランド力が強く、営業利益率などにそれが反映されています。半面、地場のプライベートブランドの安売り攻勢は強烈です。価格競争になると、利益率は当然落ちてきますね。価格競争を意識していたころには営業利益率は20%を切っていました。
しかし、昨年から逆に値上げに踏み切り、従来の価格競争から一歩距離を置きましたね。そのため、利益率は反転し、市場にも好感されています。3年間ほど株価は不調でしたが、2018年央から上げてきました。決算の内容、生活必需品銘柄の見直し買いの波に乗りました。
また、数年前からブランドの整理をしました。よく知られるところでは、プリングルスなどはこのブランド整理で売却されたものの1つです。そのため、売り上げ自体はこの10年で伸びていません。
ちなみに剃刀のジレットは元はバフェット銘柄で、永続的に消費され、利益率も高いブランドです。これは今はPG傘下になっています。強くなく、シナジーも期待できないブランドは売られ、逆にそれが期待できるブランドは傘下に入れる、ということを割と頻繁に行っています。
このあたりの経営感覚は極めてアメリカ的ですね。P&Gというブランドを大事にする企業でもこういう合理性とスピード感を持つということですね。そういうもろもろ含めての今の株価ということです。
いずれにしても、少し前には70ドル前半だった株価が今は93ドルです。企業価値が急激に上昇したわけではありません。株価というのは往々にしてこういうものですね。
また、個別株の永続性というのは難しいのは事実です。長期保有を前提として、永続する企業を買うならば、永続するだけの独自性と強みがあるかという定性的な見立てが必要になります。
いずれにしても、こういう分析自体が個別株売買の醍醐味の1つですね。
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例えばVTIなどはそうした分析が一切不要のETFですね。分析がなくなるので、ホルダーは「ヒマ」になります。
個別株を買うということに関しての記事です。リスクと面白さ、当たった時の大きさは何物にも代えがたいですね。そういう意味ではPGなどは個別株でも比較的落ち着いている部類に入ります。
未公開株はリスクリターンのばらつきが非常に大きいですね。当たれば大きいというのはそういうことです。