たぱぞうの米国株投資

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サンバイオショックから私たち投資家が学ぶこと

サンバイオショック。株価暴落が示唆に富む

 バイオ系企業であるサンバイオが暴落しています。大日本住友製薬との共同開発薬であるSB623への期待が大きくなりすぎましたね。そもそも、脳損傷というのは不可逆さが難しいところです。

 

 外傷や出血により圧迫ないしは傷つけられた部位は、腫脹して、その後壊死します。壊死した部分はCT上、黒く空洞になります。表現が適切かどうかわかりませんが、溶けて消失してしまうのですね。もし、それが可逆的になるならば、非常な希望と可能性を秘めた画期的な開発となることでしょう。

 

 しかし、それを実現するにはやや時計の針を急に回しすぎです。時計は急には進みません。話題性に気付いた人が、煽り、提灯を付けていくわけですね。

 

 こうなるとサンバイオはリスク込みで売りか買いで取りに行くか、触らないかの二択になります。

サンバイオの株価推移

サンバイオの株価推移

 

 サンバイオにかぎらず製薬系というのは、新薬開発ができれば業績にインパクトがあるので、煽りやすいといえばそうですね。収益や財務は米系のバイオ企業よりも良いことが多いため、数字も良く見えます。

 

 製薬、広い意味での化学というのは古くからはドイツ、今ではアメリカが強く、資本提携なども含めて、多くの場合は利益のどこかにこれらの国の企業が噛んでくることが多いです。つまり、日系資本で独占的に得られるというケースは多くないわけですね。上手くいったとしてもです。

 

 そういう意味では「本当かなぁ」と思うような銘柄が多く、世界シェアを取れるようなインパクトを残せる企業は殆ど無いということです。例外的な近年の日本発の大ヒットは小野薬品でしょう。

 

 小野薬品の有名な抗がん薬であるオプジーボですが、これも製造販売元の小野薬品とブリストル・マイヤーズスクイブの関係がありますね。力関係が如実ですね。

 

 ノーベル賞も関係する素晴らしい開発ですが、小野薬品の株価の推移というのは株式売買における「思惑」をよく表しています。オプジーボというしっかりとした材料がありながらも以下のような株価推移になるのです。

小野薬品の株価推移

小野薬品の株価推移

 現在は高値の半値以下になっています。まさに「兵どもが夢の跡」ですね。

 

 また、ちょっと前にC型肝炎治療薬で名を馳せた米国株のギリアド・サイエンシズも同じような推移ですね。実際に決算数字は非常に良かったですね。

ギリアド・サイエンシズの株価推移

ギリアド・サイエンシズの株価推移

 上手くいってもこのような経緯なのですね。思惑というのはこういうことです。

いつしか冷静さを失い、銘柄に惚れる危険性

 ところで、Twitter界隈にしても、ブロガー界隈にしても、時々「銘柄に惚れる」ことで危険な状態になっているケースを見かけることがありますね。

 

 惚れ抜いて大金を得ることもあるので、難しいところです。しかし、このタイプの投資を続けていると、よほどの才覚がない限りはいつかやられますね。残念ながら私たちの殆どは、そういう突出した投資の才覚に恵まれていないのです。

 

 銘柄に惚れるといえば一時期のIBMはそうですね。流石に最近はほとぼりも冷めてきましたが、バフェット先生が大量買いしたあとは顕著でしたね。確かにファンダメンタルズは安いので、逆張りあるいはバリュー的には魅力あるものでした。

 

 しかし、バフェット先生が買ったあとこそ200ドルの大台に乗せましたが、その後も業績はパッとせず、本尊のバフェット先生も売ってしまいましたね。その結果、妥当性のある株価に落ち着いています。

IBMの株価推移

IBMの株価推移

 コグニティブ部門の決算が良ければ反発し、がっかりであれば下げる。もう長いことこの連続なのです。AmazonやMicrosoft、Googleといったプラットフォーマーへ伍していくというのはなかなか一筋縄ではいきません。

 

 どの銘柄にも提灯はつきますから、事実と理想の区別は大事ですね。

自分の描く投資のストーリーは修正可能なものなのか

 結局、長く相場にいられるということは自分の描く投資のストーリーの修正を受け入れられるかどうかということです。

  • 失敗を受け入れず、固執してしまう
  • 集中投資で損切りが出来ない

 この2つは極力避けなくてはいけませんね。失敗というのはストーリーの崩壊です。例えば、ソフトバンクのIPOで初値が取れなかったら、どうするのか。

 

 IPOの初値狙いならばストーリーが崩れているので売るべきですね。

 

 エヌビディアのような成長株の決算がコケたらどうするのか。「いや、次の決算は行ける」「いや、前に比べると売られすぎで割安だから反発するだろう」・・・おや。いつしかストーリーが変わっています。成長性に期待してbetしたのに、違う動機でbetするわけです。

 

 成長株の決算がコケたら売るべきですね。

 

 自分の描く投資のストーリーの修正ができないと、いつか大きなワナにハマります。銘柄に惚れて、ストーリーの変化に気づかないのです。いつか都合のよい、耳障りの良い材料にしか耳を傾けなくなります。

 

 サンバイオの場合は、基本的に日本のバイオの底力に夢を見すぎず、仕手と割り切って参加するならアリでしょう。また、万一開発がうまくいったとしても、その時は買われ過ぎになっているケースが殆どで、どこで逃げるかという勝負になります。小野薬品やギリアドがいい例ですね。詳述すると少々事情が異なるのですが、くどくなるのでやめます。

 

 Twitter界隈の知見ある医師投資家さんは良心的なツイートを多くしていましたね。無料で専門的な知見に基づいた本音が聞けましたね。それを拾えるか、戯言としてとらえてしまうのか。そういうことです。

 

 視点を変えて表現するとこうなります。お祭りと割り切って一緒に踊るのか、外から眺めて雰囲気を楽しむのか。それはとりもなおさず、私たち一人ひとりの相場観が問われるということですね。

 

 弊ブログでは持続可能な投資術に焦点を当てていますが、サンバイオは久々におやんちゃな時代を思い出しました。

 

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 バフェット氏のストーリーが崩れたときの引き際の鮮やかさは知っておいて良いですね。儲けと同じぐらい損切りは大事なのです。

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