リセッションリスクと向き合う投資戦略
リーマンショック以来となるリセッションになっています。感染症由来のリセッションは株式市場始まって以来ほとんど初めてといって良く、暗中模索の状態が続きます。特徴的なのは、素早い金融緩和と、打撃を受けている業界とそうでない業界がはっきり分かれているということでしょう。
特にGAFAMを中心としたITハイテク産業は、20年の時を経てインフラとなった感があります。決算での堅調な売り上げ成長率は時代の変化を感じさせるものでした。
この20年、30年のS&P500トップ企業の変遷はその象徴といってよいでしょう。また、時価総額加重平均に基づく「銘柄自動入れ替え」ともいえるS&P500指数の安定感が際立つところです。
航空や石油といった、あえてハイリスクの銘柄を逆張りで狙う投資家。ハイテクITのさらなる躍進を期待して順張りする投資家。様々なタイプの投資家がいますが、中庸なのはS&P500です。ハイテクITの順張りならばQQQやVGTとなります。
いずれにしても、自分にとって腹落ちのする投資をしていくのが、リセッションで狼狽しない持続可能な投資術ということになります。
リセッションなので、虎の子の100万ドルを投資に振り向ける
たぱぞう様
いつも理路整然と展開されるブログを楽しみに拝見しております。
早速ですが、まず質問を最初に記載させて頂きます。以下の状況の際に、投資初心者が老後に、配当を軸としたある程度ゆとりある生活をおくるべく資産運用をする際のおすすめのポートフォリオ、及び購入方針はどのようなものでしょうか。
年齢: 48歳海外在住(税金なし)
保有資金: 100万ドル(すべて現金)
その他:現在の仕事の収入から1万ドル/月を投資に回すことができる
中学生の子供が二人おり、今後海外もしくは日本に帰国させた上での教育資金が必要
数年前に海外に移り住むこととなり、当面日本に帰国する予定はありません。
昨年、所有していた不動産を売却しまとまった資金が手元に入ってきた一方で、今般ようやくオフショアの投資用口座を開設することができました。
投資経験はゼロに等しく、リーマンショック直後に一度S&P500に連動する投資信託を購入し、約二倍になったところで売却して以来株式などの運用は一切しておりませんでした。
(手元資金に余裕がなかったことと、素人目にわかるくらい大きく下がったところで買い始めよう、、、などと思っていたらそんな機会がなかなか訪れなかったというのが本当のところです。)
日本を離れた辺境の地に住む投資初心者なのですが、最近投資用口座を開設できたと思った矢先にコロナショックが襲ってきて、投資を始めるには良い機会がと思っております。
とは言え自身に投資のセンスはありませんので、堅実に運用していきたいと考えております。
現在検討しているのは、以下の方針です。
- 最終的に株式を5割、債券を2割、現金3割程度の資産配分にする
- 初の1年間は3万ドル/月をVOO(50%)/QQQ(20%)/SPYD(30%)で購入
- 2年目以降は2万ドル/月を同様のETFに、株式比率が保有資産の50%程度になるまで定期的に購入(約1年間)
- その後3年目以降は株式比率50%を維持しながら債券を20%程度まで増やすこの場合、結果的に約5年目以降から1万ドル/月を上記の株式・債券・現金比率での投資する形に移行することとなるかと思います。
ここでたぱぞう様にお伺いしたいのは、以下のポイントです。
- 上記の方針に何か致命的な間違いはありませんか?(株式購入のペースなど)
- 現在手元資金がすべて現金ですので、当面株式のみの購入としていますが、初期段階から債券も組み込んでいくべきでしょうか?
- 15-20年後に負けていなければ良いと考えた場合、短期で株式(5割)及び債権(2割)に変えてしまうということはアリなのでしょうか?
- 可能であれば、組み込むと面白い銘柄を教えて頂けませんか。
お忙しい中恐縮ですがご回答頂ければ幸いです。
リセッションリスクをどのように考えて、投資に繋げていくのか
致命的な間違いはありません。王道は、5年程度に分けての均等額投資です。ただ、リセッションだからとややペースを速めるという考え方は無くもないです。ただし、これはリスクを積極的にとる投資法ですね。そこさえ認識していれば、今後もありえる急騰急落も受け止められるのでしょう。
最初から債券を入れるのも、金額が大きいので妥当性があります。しかし、債券が高くなる利下げ局面で、なおかつ現金が多いので、おっしゃるように後からバランスをとるほうが私は好みです。
組み込むと面白い銘柄ですが、インデックス指数ならばVOO、QQQというのは王道です。理由は、冒頭申し上げたような中庸さとトレンドを盛り込んだものだからです。SPYDだけが少し目線が違うことになります。
SPYDは組み込まれている銘柄がシクリカルなので、株高局面だと手を出しにくいところがあります。実際、リセッション局面では先に挙げた指数以上に落ち込みました。あえて、それを逆張りで狙うという目線は無くはないです。ナスダック総合指数が年初水準まで戻したのに対し、戻りが大変甘いのは組み入れ銘柄がそういう銘柄だからです。
人が買っているときに売り、人が売っている時に買うというのが逆張りの基本です。VOOやQQQはいつ買っても良い、順張りのETFとも言えるでしょう。SPYDは逆張り目線だと、リスクは高いですが妙味はあるかもしれません。
少々乱暴ですが考えようによっては、QQQとSPYDを混ぜたものがVOOと言えなくもないですね。少なくとも、重複が多いのは知っておきたいですね。つまり、分散にはなりません。
いずれにしても、これらは人気ETFです。広く支持されるだけの理由がありますから、特徴を押さえて選択、目線に合うものを買っていくということになりますね。
関連記事です。
リセッション前の記事ですが、SPYDの記事になります。
長年持っておくと、暴落しても耐えられる腰の強い資産になります。順張りできるETFはそのような利点がありますね。
強い銘柄、セクターがこれからも強いのか。それとも弱いセクターが循環的に盛り返すのか。はたまた四の五の言わず、中庸を取るのかということですね。