コロナショックで特徴的だったことと、投資面の気づき
コロナショックが広がり、株価は大きく調整しました。その後、各国金融当局の迅速な手当てがあり、アセットが極端に売られたり、買われたりすることは少なくなっています。
象徴的だったのは、社債が売り込まれたことと、原油が大きく売られ、直近月限のものがマイナスになったことでしょうか。株式がおおよそ35%の下落だったのに比べると、従来のイメージをガラリと変える出来事でした。
社債は国債に次いで安全資産と思われていましたし、原油がマイナスになるというのは考えにくいことでした。ただし、複線はあって、CMEが4月上旬に原油価格のマイナスを織り込んだ修正プログラムを出していましたね。
いずれにしても、リセッションというのは予想しないことがいくつも起きます。暴落の時期と内容をぴたりと当てることの難しさを教えてくれましたね。
しかし、そんな中でも今まで大きく勝っている投資家や、多くの荒波を乗り越えてきた投資家は、ダメージを最小限に抑えているように見受けられます。その後の「戻し」が大きかった分、損失もカバーできたような形ですね。
この「戻し」を逃げ場と見るのか、それとも上昇へのひと段落とみるのか。不確実性は暴落時よりもむしろ高まっているといってよいでしょう。
ウォーレン・バフェット氏の「アフターコロナ」
ウォーレン・バフェット氏率いる、バークシャーハサウェイが航空株を全売却しましたね。航空会社というのは、日本にいると寡占事業に見えます。しかし、世界各国に航空会社があることからわかるように、実は資本さえあれば比較的参入障壁は低い業界です。
そういう意味では、バフェット氏が航空会社の株を多く持つことに関して、以前から疑問に思う向きはありましたね。確かに、航空会社はバリューである株が多かったのは事実です。しかし、同時にバフェット氏の言うところの、「ワイドモート」は希薄なのですね。
ウォーレン・バフェット氏は「世界は変わる」として従前の乗客数は取り戻せないという仮説を立てています。
アフターコロナで予想される社会の変容
いくつか、アフターコロナで予想されることを箇条書きにしてみましょう。
- 航空、鉄道、バスなどの乗客数の減少
- テーマパークの縮小
- 在宅ワークの増加
- 都会への人の集中の緩和
- 不動産価格への影響
- オンライン関係事業の増大
こういったことが考えられます。予測が当たるかもしれません。当たらないかもしれません。いずれにしても、ここではそれは主題ではないです。不確実性の高いことを予想することに時間を割くのは、有益ではないからです。
ところで、社会というのはなかなか急激には変わりません。しかし、コロナショックのような、ある種の「外圧」によって変化のスピードが加速することはよくあることです。
日本の近現代史でいうならば、大きな変化を促した外圧は黒船来航と第二次世界大戦の敗戦ですね。
コロナショックにより予期せぬ形で広がったことの1つに、在宅ワークがあります。アフターコロナでは、都市部のオフィスで対面をベースにした働き方というのが見直される可能性がありますね。
そうなれば、企業も高い賃料を払ってオフィスを押さえる必要も薄れますし、固定費の大きな削減になります。また、残業代の削減という面もありますね。こういった、大きな変化がいくつも起こる可能性があります。
今は、従来の価値観を見直す気づきの時代だということです。
いずれにしてもコロナショックは、かつて常識と思われていたことが大きく変わるきっかけになりえます。世界各国の教科書に載るような、変化の時代だということですね。私たちは、今そういう瞬間を生きているということです。
しかし、どの将来も不確実性が高いため、可能性を予想しつつも極端にどれかに依拠するのはリスクがありますね。
ウォーレン・バフェット氏の強みは、長期投資ではなく、修正能力の高さ
ウォーレン・バフェット氏は稀代の投資家と言ってよく、それに疑問を挟む余地はないでしょう。世界の長者番付で唯一起業家以外で上位に入っている、代表的な投資家です。
コカ・コーラ【KO】やアメリカンエクスプレス【AXP】、ウェルズファーゴ【WFC】といった長期保有のイメージが強いですね。
しかし、バフェット氏の本当の強みは、修正能力の高さです。
数字上はバリューで、多くの投資家を引き付けるIBMへの投資も数年で早々に撤退しています。撤退後はアップル【APPL】に投資、含み益を得ています。今回売却した航空会社も、コロナショック初期では買い増しをしていました。しかし、すぐに軌道修正、売却に至っています。
アフターコロナの変化に合わせ、しなやかに生きるということ
アフターコロナかwithコロナか、いずれにしても社会の変化に合わせて、私たち個人投資家も修正していくのが望ましいでしょう。1つの考えに縛られ、従来の見方で変わらぬ投資を続ける。このやり方は個別株は特にリスクがあります。
例外は指数連動ETFです。S&P500の時価総額上位銘柄は、30年ほど前までエクソンやシュルンベルジェ、ゼネラルエレクトリックでした。今はどうでしょうか。Amazon、マイクロソフト、アップルですね。指数連動ETFの強みは銘柄入れ替えを自動で、しかも適宜行ってくれるところです。
アフターコロナの変化に合わせ、マニュアルでポートフォリオを組むのか。それとも自動運転、ETFや投信を選ぶのかというところですね。
どのような変化があっても、しなやかに対応することで、きっと成長の果実をリターンという形で得られると私は確信しています。リスクリターンを踏まえた投資を続けることですね。
不確実性というのは、新たなイノベーションに出会うチャンスでもあるのです。
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バフェット氏考案と言われるバフェット指数に関してです。こちらも、目線を変えないとなかなか投資ができない、そういう時代になっています。
理屈も大事ですが、それ以上に実践が大事というお話です。いくら貯めたら始めるというのも大事ですが、まずやってみて、試行錯誤ですね。
コロナショックで得るもの、失うものです。