【JEPI,JEPQ,AIPI,CEPI】高分配利回りで人気のカバードコール
高分配利回りで人気のカバードコール商品が注目を集めています。
低金利時代に高配当株が支持を得たのと同じように、インカムを重視する投資家にとって魅力的な選択肢になっています。
blogでもたびたび触れてきましたが、カバードコールとは、株式を保有しつつ、その株に対してコールオプションを売る戦略です。株価が大きく上昇する可能性を放棄する代わりに、オプションプレミアムを受け取ることができます。その結果、安定した分配金が投資家に還元されるというわけです。
この仕組みをETFや投資信託の形でパッケージ化した商品が増えています。特に米国市場ではJEPIやJEPQといったETFが人気です。株価の値上がり益を狙うというより、毎月の分配金を得ることを重視する投資家層に広く受け入れられています。
配当利回りは年率で8%から10%を超える水準が珍しくありません。銀行預金や債券の利回りと比べれば圧倒的に高いです。そのため短期間で投資資金を回収したいと考える投資家にとっては大きな魅力となっています。
とはいえ、利回りが高い分だけ注意も必要です。まず元本の値動きが安定しているわけではありません。株式市場の下落局面ではETF自体の価格が下がり、受け取った分配金以上に評価損を抱えることがあります。
また分配金の原資にも違いがあります。オプションプレミアムから生まれる部分に加え、場合によっては元本の一部を取り崩して支払うことも珍しくありません。見かけ上の利回りは高くても、実際には元本が減っているケースもあるということです。
それでも人気が続く背景には、投資家の嗜好の変化があります。株価上昇益だけを追いかけるのではなく、毎月一定のキャッシュフローを得たいというニーズが強まっているということです。
インフレや金利変動の影響を受けやすい環境では、配当収入の安定感が心理的な安心につながります。また年金や生活資金を補う手段としても機能します。日本の投資家にとっても、海外ETFを通じて簡単にアクセスできる点は大きいですね。
一方で長期投資家にとっては、成長株の値上がり益を享受できないというデメリットは無視できません。オプションを売ることで上昇分が限定されるからです。
高分配利回りのカバードコール商品は、インカム重視の投資家にとって強力なツールとなりえます。しかしその利回りの裏側には必ずリスクがあります。
私たちは商品の仕組みを理解し、元本の変動や分配金の性質を冷静に確認したいですね。魅力的な数字に惑わされず、資産全体のバランスを考えた上で活用することが望ましいということです。
さて、今日はなかでもおやんちゃなカバードコール商品についてのご質問です。
AIPIとCEPIに興味があります。
たぱぞう様
結局セミリタイアは延期、資産管理会社の立ち上げも雲散霧消、全て練り直しとなり、数年が経ちました。資産については、順調に推移しています。たぱぞう様はじめ、諸先輩方の智慧、情報展開のおかげと常々感謝しております。
さて、先日たぱぞう様のyoutubeを拝見、AIPIとCEPIの紹介をされていました。私としましては、セミリタイアに向けて構成の一部に入れたい気持ちは持っています。
しかしREX社が非上場で不透明、配当金は元本払い戻し、設定来まだ浅いという情報もあり、かなり怖い印象があります。たぱぞう様は深い知見をお持ちですので、可能ならば、両ETFおよび運営会社に対する評価を、もう少し突っ込んで教えていただければありがたいです。
もちろん勝手な質問ですのでスルーして下さっても構いません。
日々お忙しいこととご推察します。どうかお体ご自愛下さい。
AIPIとCEPIは、オススメはしにくい
長らく温められてきた計画を再度練り直されているのですね。仕事を辞めるというのは勇気が要りますから、慎重になるに越したことはないですね。
ご質問のAIPI、CEPIについてですね。両ETFは、米REX社が運営する新興の高配当ETFです。生成AIや成長セクターを意識しつつ、分配金を厚めに設計している商品です。ただし、以下の点には注意が必要です。
まず、運営会社REX社ですが、まだ小規模で歴史や実績という点では大手のブラックロックやバンガードとは比較になりません。非上場であるため情報開示も限られています。
形としてはよくあるカバードコールの商品で、、分配金は純然たる企業からの受取配当だけでなく、基本はオプション収入を分配金として払い出しています。また、元本の払い戻し(Return of Capital)が含まれる可能性、つまり特別分配金の可能性が大きいです。
つまり、見かけ上の利回りは高く見えても、資産そのものを取り崩して分配している可能性もあるということです。これは、特に年齢が若い人は元本取り崩しは運用スピードを落とします。
また、運用開始から日が浅いため、実績の積み重ねがほとんどありません。マーケット環境次第で大きな価格変動に晒される可能性もあり、安定感には欠けます。

したがって、私はコアに据えるETFではなく、ポートフォリオの一部にサテライトとして組み入れる程度が現実的ではないかと考えています。もっとも、私自身がポートフォリオに組み込むことはまずないでしょう。
特にセミリタイアを視野に入れる段階では、キャッシュフローの安定性が切望されるところと思います。伝統的な高配当ETF(HDV、VYM、SCHDなど)とのバランスを取りつつ、少額で試すのが妥当でしょう。
新しい商品はなるべく紹介していきたいと思っています。早速ご覧いただいたようで、ありがとうございます。
コアとサテライトで使い分けながら、過度に何かに偏った投資とならないようにしていきたいところですね。
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金融デリバティブ商品は、その中身を理解したうえで手出しされると良いですね。