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東証版【QYLD】 GXNDXカバコ【2865】、毎月分配、高配当のシンプル銘柄分析

東証版【QYLD】 GXNDXカバコ【2865】は毎月分配、高分配金だが

 カバード・コール型ETF、高分配かつ毎月分配ETFとして、米国株投資家にすっかり市民権を得ていますね。クセがあるので私はお勧めはしておらず、初心者さんは手出し無用ですが、人気はありますね。

 

 その【QYLD】の東証版が2022/9/30に上場します。


 正式名称は「グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF」、略称は「GXNDXカバコ」、銘柄コードは【2865】です。以下【2865】と呼びます。

【QYLD】に投資する東証ETF【2865】も高分配金が予想される?

 GlobalXによれば、【2865】は「主として、Global X Nasdaq 100 Covered Call ETF の受益証券に投資」する、としています。つまり【2865】は【QYLD】に投資する円建てのETFです。

 

 簡単に【QYLD】をおさらいしましょう。


 【QYLD】はNASDAQ-100 インデックス構成銘柄を保有し、NASDAQ-100 インデックスの対応するアット・ザ・マネーの1 か月物コール・オプションを毎月売却し、オプション・プレミアムを獲得する ETFです。

 

 NASDAQ100については、ご存じの方が多いでしょう。ナスダックに上場する金融銘柄を除く、時価総額上位100社の時価総額加重平均によって算出される株価指数です。

 

 「アット・ザ・マネー」とか「コール・オプション」という言葉だけで耳慣れなく思ってしまうかもしれません。関連記事にオプションの記事を載せておきますので、よろしければ併せてご覧ください。

 

 やや大雑把に【QYLD】を説明すると、NASDAQ100の構成銘柄のプライス上昇部分は捨て、オプションのプレミアムで毎月分配の原資を得る戦略です。

 

 オプションは毎月第3金曜日の前日の木曜日に清算されます。オプションは毎月清算されますから、コールを売った人にはプレミアムが入ります。そのプレミアムが毎月分配の原資になっているということです。

【QYLD】のチャート推移と分配金を確認

QYLDとNasdaq100のチャート

QYLDとNasdaq100のチャート

出典: US版 Yahoo Finance


青は年初来からの【QYLD】の推移です。

赤は原資産であるNASDAQ100です。

 【QYLD】は高分配を得られる一方で、原資産であるNASDAQ100が2022年に入ってから芳しくないため、【QYLD】の推移もさえません。一方毎月NAVの1%程度が分配されています。

QYLDの分配金実績

QYLDの分配金実績

出典: Global X website

 これは、【QYLD】の分配に関してGlobal X社がリリースしている文書に記載されている以下の記述に倣ったものです。

 

“For example, for QYLD, the fund expects to distribute on a monthly basis one-half of the premiums received by writing calls on the Nasdaq 100, capped at 1% of the Fund’s net asset value (NAV).”

 

 (簡単な訳)「例えばQYLDに関していえば、NASDAQ100のコール・オプションのプレミアムの半分を、NAVの1%を上限として毎月分配する」

 

 結論から言えば、とりあえず分配をそこそこもらえればいいや、という方には悪くないETFでしょう。

GXNDXカバコ【2865】の信託報酬、分配金基準日

 【QYLD】を大まかに理解したところで、その【QYLD】に投資する【2865】の信託報酬、分配金基準日などを確認します。

 

2865の信託報酬、分配金基準日

2865の信託報酬、分配金基準日

出典:JPX website

 信託報酬は税込で0.6275%です。【QYLD】の経費率が0.6%ですから、本家とそん色ない水準に収まっています。


 円で取引できることを考慮すると、為替のコストを考慮すればむしろ【QYLD】よりリーズナブルな場合もありそうです。

 毎月分配という性格も本家と同様です。【2865】は毎月10日が分配金支払基準日です。分配の状況については運用開始後、改めてウォッチしたいと思います。

 

 また、東証が公表している資料によれば、分配金は外国税額控除の対象になる見込みです。本家と同様の分配を受けられるのだとしたら、本家よりアドバンテージになりそうな特徴ですね。確定申告なしに外国税額分を受け取ることが可能になります。

 

 信用取引も可能です。

 

 日本の普通株は原則100株単位の取引になりますが、ETFはそのルールがなく、1口単位の取引のものが少なくありません。【2865】も1口単位で取引できます。小額でちょっと試す、ということを円で気軽にできますね。


 一部の証券会社ではそれほど大きくない額であれば、日本株を手数料無料で取引することができます。【2865】も同様の扱いの対象となれば、取引手数料においても本家よりアドバンテージがあります。

 

 EDINETで閲覧できる【2865】の有価証券届出書によれば、当初設定は1口当たり1,000円だそうです。当初のプライスは気軽なものになりそうです。また、為替ヘッジは実施しません。

東証版【QYLD】 GXNDXカバコ【2865】、課題は流動性か?

 東証上場ETFには、S&P500や全世界株式指数に連動した商品があり、円で海外資産を取引できるいい商品が多いと思いますが、一つ欠点があるとすると、流動性に劣る銘柄が少なくないことでしょうか。米国ETFほど、投資家のすそ野がまだ広くないのでしょう。

 

 【2865】を持ちたい人の目的が定期的にそれなりの分配を得ることだとすれば、買ったらそうそう売らないようにも思います。しかし、売りたいときに売りたい値段で売れるかは流動性に依存することです。

 

 その流動性が芳しくないのだとしたら、当初から大きなポジションは持たないほうがいいかもしれません。そのような意味で運用開始後しばしはプライスと出来高の状況を眺めてから買っても遅くないかもしれませんね。

 

関連記事です。

オプション概論です。

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オプションの価格についてです。

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個性的なカバードコール商品の比較です。

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